あらすじ
勘定役として働いていたヤナギは、職を失い故郷への旅路へ着こうとしていた。彼の口から悪事が露見することを恐れる勢力は、その動向を窺っており、騒ぎに巻き込まれたゼンは、城で行われる御前武芸会で、剣術の腕を披露することになる。
城主は年若く、姉とも奥方とも言われる女性が政を仕切っているという。その女性が、ゼンに強い興味を示し、九日後、山寺で待つよう指示する文を寄越した。ゼンを待つのは、いかなる運命か。
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Posted by ブクログ
ゼンが現将軍の兄弟だと解る、まぁまぁ衝撃の巻だけど正直その辺はどうでも良くてw
ヤナギがタガミのフリするくだりとか、冗談を言うゼンとか、建物は作っている時が成長してる=生きてる訳で、完成した建物は死んでるのだから価値がよくわからない、みたいなのが印象に残った。
「強くなる事、生きる事」を仏像を掘る過程になぞらえる話がすごく良かった。
この辺り↓
あるものが正しく、あるものが間違いだといった明らかな区別はありません。
なにものも一つではない。
すべてを見て、あらゆる面から捉え、近くから、遠くから、見据えて、眺めて、その時々で修正し、あちらを削ってはこちらを削ってみる。そのうちに段々と、己のもの、己れが考えるものに近づいてきます。
あそこだと目指して到達できるものではない。僅かずつ近づくものでしかない。
あと、ノギが段々可愛く思えてきた。森博嗣ヒロインって大体ケムマキ系の主人公に振り回されるよね。
Posted by ブクログ
前作はしっかり話がまとまっていたが、それに比べると今回は話の起伏が大きい。
しかし、派手な切り込みシーンもあるし、いよいよガイの出自もわかるというシリーズの転換点かな?
相変わらず自問自答の内省シーンが多いが、剣だけでなく、哲学、政治経済、進化人類学、動植物学と多岐にわたるのが特徴で、これは我々現代を生きる者にとっても分からない部分もあって、ここらは筆者の知識からくる遊びの部分でもあろう。
また、アスペルガーを装うようなガイも面白く、ノギとのすれ違い会話にはユーモアすら漂う。