【感想・ネタバレ】デューン 砂の惑星〔新訳版〕 上のレビュー

あらすじ

アトレイデス公爵は皇帝の命を受け、惑星アラキスに移封されることになる。過酷な砂漠の惑星アラキスは、抗老化作用を持つ香料メランジの唯一の産地である。宿敵ハルコンネン家に代わりそこを支配することは、表面的には公爵家に大きな名誉と富を約束する。皇帝やハルコンネン男爵の罠だと知りつつ、公爵は息子ポールの未来のため惑星アラキスに乗り込むが……ヒューゴー・ネビュラ両賞受賞の壮大な未来叙事詩を新訳で!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

かれこれ30年以上前、映画館でリンチ版の映画「砂の惑星」を観た後に旧訳版を読みましたが、今ひとつ訳がこなれていない感じがあり、その頃から新訳版が出ないかと、漠然と思っていました。
という割には、新訳が出てからの積ん読期間が長く、読むのがヴィルヌーヴ版「砂の惑星Part2」を観た後にになってしまいました。
酒井さんの訳は一読して明瞭というべき分かり易さであり、登場するキャラクタと情景が頭の中に生き生きと立ち上がってきます。
もしかすると旧訳の分かりにくさの中に哲学的な奥深さを感じていた人もいたかもしれませんが、個人的には新訳を断然支持します。

さて、上巻は、新たな統治領アラキスに到着したばかりのアトレイデス公爵が、ハルコンネン男爵の襲撃を受け、ジェシカとポールの母子が辛くも砂漠へと逃亡するところで終わります。
覚えていなかったのですが、この時点で既にポールはほとんど覚醒していたようで、後に命の水(砂蟲の”死に水”)を飲むのは儀式にすぎなかったのでは、と今にして思います。
また、ポールが覚醒した時に見たヴィジョンは、量子論でいう多世界解釈に影響されているように思われることも興味深かったです。
そういえば、ゲーム「STEINS;GATE」は、主人公がヒロインを救うために、何度もやり直して何とかその世界線を探り当てる話でしたが、本書の主人公ポールは、未来を視る力(万能ではないようですが)を使い、犠牲を最小限にしつつアトレイデス家再興・ハルコンネン家殲滅を達成できる世界線を探り、進んで行くことになります。

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2024年05月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画化されていることも承知の上で手に取ってみたのだが、SFファンタジーとしては久々の当たり本。

科学的な要素の裏付けこそ少ないが、主人公の母親・主人公などが持つ読心術的な特殊能力や、宇宙全体を舞台にした陰謀戦という感じは期待が高まる。
上巻は主人公が目覚めるところまで。罠とわかっていたものの最終的に回避できず追い込まれてしまう展開。時々出てくるプリンセスとか、ハルコンネン家の後継とか…存在が見え隠れしている登場人物達にも期待したい。

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2025年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『Dune』はいつか読まなくては、と思いながら、なんとなく読みづらそうなイメージがあり読んでいなかった。
今回ドゥニ・ヴィルヌーヴにより再度映画化されたのを機に、また(おそらくそのために)新訳が出たのでようやく手にとった。

いわゆるソフトSFにカテゴライズされる作品で、ハード好きな私の好みからはややずれるのだが、それはそれ。

ところでサイエンス・ファンタジーとソフトSFの境界線って難しい。感覚的なものだけど、『第五の季節』はファンタジー、これはSF。自分でも何故かは理屈で説明できない。
Wikipediaにも「境界線は明確ではなく慣習的なもの」という記載があるのでそういうことなんだろうけれど、しかしながら自分の中では性別が違うように明確な線引が引かれており、SFには惹かれるが、ファンタジーには惹かれない。

閑話休題。
『DUNE』はつい先日私の中で若干信用度が落ちたヒューゴー賞の他、ネビュラ賞も受賞している。クラークにして「匹敵する作品は『指輪物語』のみ」と評され、私が敬愛して止まないハードSFを代表するカール・セーガンさえもが「惹き込まれる」と評した作品。
長編だがその長さは感じさせず、読み応えがあり、最後までその歯ごたえは持続する。
世界観は確立されており、説得力がある。
文章には抑制を感じ、私が苛立ってしまう賑やかし要素はほぼなかった。

私が読んだバージョンは文庫本で三部に別れている、程度には長い。そしてその世界観はその長さの分はある。
私が『DUNE』を初めて知ったのは1984年のデビット・リンチ監督の映画だった。リンチ好きの私にはリンチ監督作品というだけで「読んでみよう」と思わせるには充分だったが、小説を読んでみると、そのリンチでさえこの物語を充分に描いていなかったのがわかる。(それはリンチのせいではなく、映画という時間的制限と当時の技術的制限によるところが大きいと考える。さらに余談だが、一方でドゥニ・ヴィルヌーヴは映画を二本に分割することでこの世界を忠実に描こうとしている(私は嫌いな方法だが)。そして一部を観る限りではなかなか忠実に表現しているように思う)。
しかしながらそれだけでは物語は終わらず、『DUNE』は実はサーガであり、Wikiで調べれば簡単にわかるが、この他に5作ある。
『砂の惑星』だけで充分大きな世界観を感じさせるが、さらに5作も続くとは。
正直に言うと続く作品群はこの質を保っているのか若干の不安を個人的には感じるが、いつか時間が許せば読みたい。

違う世界の星をまたぐ勢力争いという意味では、例えば『スター・ウォーズ』だったり『ガンダム』だったり他にも作品があるが、『DUNE』は勢力争いだけではない点を描いているという点で物語に厚みが出ている。
主人公(ポールが主人公だが時にその母ジェシカも)の内面を丁寧に描き、一つの特異な民族を高い完成度で描き、アラキスという星にも焦点を当てる。
それらの描写の完成度を実現させているのは、また主人公ポールが持っている描き方によってはファンタジーとも受け取られかねない力が説得力を持つのは、その描かれる世界の完成度故だ。物語として描かれる部分は一つの事件だが、(下巻の感想にも書いたが)その水面下にはフランク・ハーバードが構築した大きな世界があり、その世界によって物語が地に根付いたものとなっている。
魔法じみた力も、ストーリーを進める上で便利に使われているものではなく「何なのか」という設計がきちんとされている。
その世界・設計に基づき、しかしながら闇雲に構築した世界全体を描くのではなく一つの事件にフォーカスを当てることによって、『DUNE』の世界は実現されている。

そういう意味では、ラストに若干ポール、アリアの万能感を感じさせるところが残念かなー。ややご都合主義を感じる。まあでもそういう物語なのかも。でも故に私的には★4。

重厚感は公爵や帝国などの設定もあるのかな。
あとこれは人類の未来の姿なのだろうか。それともパラレルワールドなのだろうか。私達の人類と類似性はとても感じるが。フレメンはなんとなく中東の人々を彷彿させる。(ということをソフトSFに問うてはいけないのかもしれない)。

続く物語は売っているのだろうか。

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2022年01月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

60年代SF長編とのことで、読むペース的にかなり苦戦しました。()で登場人物の気持ちを表すのね。

アラビアのロレンス的といいますか。
70年代なのでモロに中東戦略ですよね。
中東の人たちとどう付き合っていくのか、砂漠とは何か。香草は石油でもあり、またドラッグでもある。

クイサッツ・ハデラッハとして覚醒し、父の公爵が死に、ジェシカが男爵の娘だとわかり、物語は新たな展開へ!

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2021年11月03日

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