鈴木貞美のレビュー一覧

  • 鴨長明 ──自由のこころ
    鴨長明の生涯と、その著作である『無名抄』『方丈記』『発心集』を解説し、彼の求めた「自由」の意味について論じている本です。

    著者が長明に見いだした「自由」とは、「束縛を嫌い、自身にしっくり感じられることを求める心の意味である」と説明されています。『無名抄』は、「名」を捨てても「自矜」は残るという長明...続きを読む
  • 満洲国
    そういえば満洲国については今までちゃんと調べてなかったなと思って読んでみたものです。満州国自体は15年ほどの期間しかないので本書も細かい内容まで記載されているように思えます。とはいえ、全体に軸が時系列なのか分野別なのかが見えにくくて、そこが読みにくかったかなと(それでも見えてくる日本軍と政府の戦略性...続きを読む
  • 日本人の生命観 神、恋、倫理
    副題の「神、恋、倫理」の変遷を、膨大な参考資料から解説しています。参考資料の紹介がメインなのではないかと思うくらい、思想家や資料が登場します。大まかでいいので日本史と高校倫理を知っていることが前提な内容です。
    あとがきで著者自身が「参考文献が膨大にすぎる」と言っているくらいなので、日本人の宗教観、文...続きを読む
  • 日本人の生命観 神、恋、倫理
    日本人の「いのち」をめぐる見方、生命観史を、新書にしては多くの資料に当たってまとめたもの。

    前近代については言語学的なアプローチや宗教史観という趣で、生命観の歴史をなぞるという意味では統一感が少々あやふやで追いにくい。
    しかし、書の中盤から始まる明治維新以降の近代日本の生命観史については、文学作品...続きを読む
  • 満洲国
    戦前〜戦中の日本を考えるにあたって、外してはいけない、というか、最重要キーワードの一つは満州。

    2021年に出版されているので最新の研究も織り込んだものになっているのではないかと思って、読んでみた。

    たしかに、満洲について、軍事、政治、経済などに加えて、文化的な側面からアプローチしていて、全体像...続きを読む
  • 鴨長明 ──自由のこころ
    何となく興味を持ったから読んでみたのですが、私にはちょっと難しかった。
    貴族社会から武家社会へと移行するという時期にも関わらず、平清盛については一切の言及なし。わかっていないなりにも、歴史的背景や時代感を感じ、方丈記を読む、鴨長明を知ることができた。私の全く浅い日本中世が少しだけ深まりました。
  • 自由の壁
    日本思想史の中から、「自由」という概念をめぐる諸問題について論じている本です。

    全体は二部構成となっており、第一章では、伝統的な「自由」の理解の背後に陽明学の影響があったことが、ややくわしく解説されています。つづいて第二章では、戦前と戦後を分断し、戦前には「自由」はなく、戦後になってはじめて人びと...続きを読む
  • 日本人の生命観 神、恋、倫理
    古代から現代に至るまでの日本思想史のなかから、日本人の生命観にまつわる事例を数多く紹介している本です。

    古代から近世までを扱った章では、あまり立ち入った考察は展開されておらず、いくつかの事例を通して、日本人の生命観の諸相を概観する内容になっています。著者の専門である近代以降は、さすがに議論が濃密で...続きを読む
  • 日本人の生命観 神、恋、倫理
    『日本人の生命観―神、恋、倫理』(鈴木貞美、2008年、中公新書)

    本書は、『古事記』『日本書紀』の時代から現代まで、それぞれの時代区分の作家や文学から、「日本人の生命観」がどのようにつくられていったのかを解説しようとしています。

    ただ、それぞれの時代の背景や歴史的出来事、それらが反映された文学...続きを読む
  • 日本人の生命観 神、恋、倫理
    「命」や「生」について、古事記や平安時代の読み物、はては現代の文学と全歴史からその生命観を考察しています。
    後半、テーマが「命」というよりかは「生き方」についての記述が目立ったため、少し生命観という命題にずれ、ないしはブレを感じました。
    しかし、これまで文学史としてしか聞くことのなかった作品から日本...続きを読む