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日本人なら、誰もが習い覚えた『方丈記』。その作者の鴨長明といえば、「数寄」の語で語られ、ディレッタントともいわれてきた。他方、その世界観は、しばしば仏教的無常観といわれてきた。これまで鴨長明の名は、かなりの長きにわたってよく知られてきたが、その像は、なかなかひとつに結ばれなかった。そこで、『方丈記』に『無名抄』『発心集』を加えた三作から、新たな鴨長明像を提出する。そして、「ゆく河の流れは絶えずして」にはじまる世界観がなぜ現代人の心によく響くのかを明らかにする。
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Posted by ブクログ
鴨長明の生涯と、その著作である『無名抄』『方丈記』『発心集』を解説し、彼の求めた「自由」の意味について論じている本です。 著者が長明に見いだした「自由」とは、「束縛を嫌い、自身にしっくり感じられることを求める心の意味である」と説明されています。『無名抄』は、「名」を捨てても「自矜」は残るという長明...続きを読むの精神にもとづいて書きのこされた作品です。「『無明抄』は、現世の「名利」を捨て、うたの道に賭けた長明の自矜が残したものだからである」と著者は述べています。長明の生きかたをめぐってしばしば指摘される自己への執着の残滓は、彼が後鳥羽院の配慮に対する恩義を感じつつも、不逞とも見られかねないような態度を示したことに通じており、そうした彼の生きかたと『無名抄』に見られる歌の道に向かう彼の態度に共振するものがあることを著者は指摘します。さらに、こうした長明の態度の変遷を追って、『方丈記』や『発心集』の解釈がおこなわれます。 また本書では、「随筆」というジャンルの形成されるプロセスと、そのなかで長明の『方丈記』がどのように位置づけられることになったのかということも、比較的ていねいに説明がなされています。『方丈記』の受容史というには、やや簡潔にすぎるところもありますが、近代以降の展開については著者自身のこれまでの研究成果にもとづいて詳細に論じられています。
何となく興味を持ったから読んでみたのですが、私にはちょっと難しかった。 貴族社会から武家社会へと移行するという時期にも関わらず、平清盛については一切の言及なし。わかっていないなりにも、歴史的背景や時代感を感じ、方丈記を読む、鴨長明を知ることができた。私の全く浅い日本中世が少しだけ深まりました。
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