熊田忠雄のレビュー一覧
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ネタバレ酒に酔ってペリーに抱きついたり、洋食に戸惑う侍たちの様子が純粋に面白かった。
当時は西洋諸国が日本に高圧的な態度をとっていたと勝手に思い込んでいたが、多額の負担で「おもてなし」をしていたことにイメージが改められた。
福沢諭吉を始めとした渡航日記から、どういう思いで幕末の歴史が刻まれていったかが目に浮かんでくる。
幕府が西洋諸国に対して弱腰な外交を続けた結果、倒幕・尊王攘夷の思想が強まっていくが、確かにこの体験をしたら弱腰外交にならざるを得ないかもしれない。
読み物として純粋に面白いし、当時の様子がより鮮明に頭に浮かぶようになる良書でした。 -
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本書では、「長州ファイブ」、「薩摩ステューデント」、更に新島襄のような“有名”と見受けられる事例の他、ロシアで“ヤマトフ”を名乗り、露和辞典を編纂することに力を貸したという橘耕斎や、サッポロビールの前身となる会社でビール醸造に携わった中川清兵衛というような、「ややマイナー?」な人達の話題も取り上げている…
本書は、興味尽きない史上の挿話を集めているものであるが、他方に「“内向き”な人が圧倒的多数ではないか?」という最近の傾向の中、「昔はこういう人達も在った…」ということを説いてみるという感じに纏まっている…
本書は、気軽に向き合えて、なかなかに興味深い内容を含んでいる。お薦めだ!! -
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卒論のテーマに選ぶほど、幕末期の外国人と日本人の接触に関心があった。価値観や文化の違いによる衝突が面白いと同時に、瞬時に情報を確認できる現代でもそれが続いているのが不思議でたまらなくなる。
本書のテーマである「食文化の違い」も昔から大変気になっていた。幕末期外国へと渡ったサムライ達は食事面で苦労していたのか?そもそも最大の難関と思われる肉文化はクリアできたのか?
「異域の旅行の難儀は筆にも尽くしがたき事どもなり」
結論、答えは全部ここに書いてあった。何ならタイトルにも書いてあるけど、大半がしっかりつまずいている笑
安土桃山時代から幕末にかけて日本人と西洋料理の接触遍歴を追う。といっても本書 -
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皆さん、洋食は好きですかー??!
私は大好きです。伝統的な西洋料理も日本に馴染んだ洋風料理も大好きです。ハンバーグもピザもチーズフォンデュも美味しいですよね。外食産業が盛んな日本では世界各国の様々な料理を食べる事が出来ます。それだけでこの時代のこの国に生まれて良かったと思います。
今では当たり前のようにバターを使い、肉を食べ、ビールを飲んでいる私達ですが、開国以前の日本人は何を食べていたのでしょうか。当時の一般的な武家の食卓は現代の和食よりずっと質素です。邸内の畑で採れた野菜、自家製の梅干しや沢庵、ご飯は玄米か麦を混ぜたもので、魚は毎日食べられるものではありませんでした。日本人が小柄だった -
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サムライ洋食事始~味の国粋主義者_初期日本人渡航者の洋食体験~鎖国まで_開国前夜の西洋料理~ペリー主催の饗宴_太平洋を渡った170名_ヨーロッパへ_遣仏使節団(池田使節団)_その後の使節団_各国派遣留学生_初期渡初期渡航者たちの味認識~1860年から8年間で欧米へ渡航した日本人は延べ400名超。想像以上に多様な食物を口にしていた。最初は忌避感や抵抗感を訴え,回を重ねる毎に洋食嫌悪の傾向は弱まり,洋食に慣れ親しむ期間が短縮される。初めは新たな食べ物に目を白黒させ,牛乳・バターや脂臭い調理法,塩気の乏しい味付けに閉口し,不満を抱く。中には最後まで異国の料理に違和感を捨てきれずに帰国した者もいたが,
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候言葉で書かれた、西洋料理が愉快です。魚と野菜と米飯を割と質素に食べていたご先祖たちは、突然の開国で西洋料理なるものに遭遇し、海を渡った先で、国賓としていかに豪華な晩餐で歓迎されても、それは困惑するしかないわけで……。
徳利の口を開けると大きな音がして(シャンパン)小刀と熊手(フォーク)がテーブルに並び、獣の肉は臭く、香辛料に閉口し、バターまみれの米飯が食べられないといえば砂糖まみれにされ(オートミール感覚だったんでしょうかねえ)、煎じ薬のようなコーヒーを飲む。醤油もなければ味噌もない。飢え死にの危機まで感じてる。意外に口に合う者もいれば、まったく受け付けない者もいて……でも、ハンバーガーだろ -
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ネタバレほかの国では食物は十分にあります。ところがここには美味しいものは何もないのです。いくら食べたいと思っても肉体を満足させるものは全然ありません。ここに住んでいる人々は決して鳥を殺して食べたりせず、常食は野菜と米で、小麦も、魚も、リンゴも、その他の果物も、ここでは全て贅沢品になっています。
��「ザビエルの見た日本」ピーター・ミルワード(著)/松本たま(訳)
あくまでも粗食を貫く私達の祖先のソウルが、そこには描かれているような気がします。
キリシタン弾圧と鎖国に至った理由は、キリスト教が日本を席巻することを恐れたからではなく、宣教師達を始めとする西洋人達の飽くなき「肉好き」に恐怖を感じたからか -
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筆者は純然たる歴史学者ではないので、平易で読みやすくてよかったけれども、コアは歴史ファンから見ると一寸ものたりないかな~と思ったり。
昨今の五代友厚ブームの影響で出版された本なのかもしれないけど、私的には長州ファイブ>薩摩の英国密留学 なので・・伊藤と井上の交情の話とか面白かったですww
あと、長崎の大浦お慶さんの話なんかは興味深く拝読しましたねえ。お慶さんといやぁ司馬先生の『竜馬がゆく』でまるっきり漫画みたいな人物像でしたからw
等身大の大浦お慶さんを本書にて垣間見ることができました。
それから、上海視察の際、土佐藩の谷干城が後藤象二郎にだまされて、真っ赤な袴を履かされた件はすごい面白 -
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面白かった!
洋食が日本に入ってきて「日本風」に受け入れられていく流れを書いているのかな~と思ったけど、日本人が初めて洋食と出会った時の話だった。掛値なく。
やっぱり油気と塩味不足…味付けと、肉っていう未知の食材が問題なんだな~。そして果物に救いを求める、と。
出汁なんかの海由来の味付けの多さに苦手を感じ、魚やら玉子やらの生食が受け付けず、果物を買おうとしても高くて困るっていう、日本食が合わない外国人とおんなじような反応でちょっと感慨深い。
現代の日本人はほんとなーんでも受け入れちゃってんだなあ…。まあ私もその一人ですが。未知の料理とか聞くとちょっと食べてみたくなっちゃうしな。そういうとこプラ -
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「日本人の世界一周」という変わった切り口の世界史の本といえばいいだろうか。世界一周というからには、大昔ではあり得ず、マゼラン以降、本書では江戸時代以降ということになるが、幕末や明治期という日本人にとって外国が異世界であった時期に日本を出た人たちの意気込みや必死さが伝わってくる。また、色々な土地について、初めてそこを訪れた日本人を記したり、アフリカにまで進出して商売をしていた無名だが逞しい日本人のことが書かれていて、面白かった。
個人的には、船で遭難・漂流の末に外国で救助され、心ならずも世界を旅することとなった江戸時代の人の数奇な運命が一番興味深かった。
他方、後半の「80日間世界一周」の話は、