Posted by ブクログ
2012年07月13日
皆さん、洋食は好きですかー??!
私は大好きです。伝統的な西洋料理も日本に馴染んだ洋風料理も大好きです。ハンバーグもピザもチーズフォンデュも美味しいですよね。外食産業が盛んな日本では世界各国の様々な料理を食べる事が出来ます。それだけでこの時代のこの国に生まれて良かったと思います。
今では当たり前...続きを読むのようにバターを使い、肉を食べ、ビールを飲んでいる私達ですが、開国以前の日本人は何を食べていたのでしょうか。当時の一般的な武家の食卓は現代の和食よりずっと質素です。邸内の畑で採れた野菜、自家製の梅干しや沢庵、ご飯は玄米か麦を混ぜたもので、魚は毎日食べられるものではありませんでした。日本人が小柄だったのも頷けますね。明らかに栄養不足です。
そんな慎ましい食生活を送っていた武士達が、幕府や雄藩によって使節団や留学生として諸外国へと放り出されたのが約150年前。慣れぬ異国の食事への戸惑いと嘆きの愚痴が彼らの日記や手紙に残っています。それらを取り纏めたものがこの本です。「拙者は食えん!」と実際に言った者が居たのかどうかは分かりませんが、心中は苦悩に満ちていたようです。
とは言っても洋食がそれほど絶対に食べられないものって訳ではなかったみたいで。開国以前のエピソードですが、ペリー提督が開いた宴では水夫が運ぶ料理を次々と平らげ、ひとつひとつの料理の名を聞いてメモし、家人のためにと懐紙に包んで懐へとしまう有様(んなオミヤゲなんぞ食べたくないわい)だったそうです。しかし一晩の饗宴なら好奇心で楽しめても、連日毎食となるとやはり食べ慣れたものが良いと言うことですね。
航海中に異臭騒ぎで泣く泣く海へ捧げた味噌、異国の地で奇跡的に見つけて買い占めた醤油、はじめて食べたアイスクリームを絶賛し、フランス滞在中に図らずも舌が肥えてイギリスの食事に毒を吐く。慣れぬ西洋料理も長旅の内に徐々に馴染んでいったようです。ロシアでは完璧な日本風おもてなしを指揮する謎の人物も登場します。
他にも日本での肉食事情やカレーライスの歴史など豆知識も満載。食べるのが大好きなアナタにおすすめの一冊です。