梓崎優のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
五つの短編ミステリが掲載されている連作小説。
広大な砂漠、情緒あふれる風車の風景、秋の美しさとほの暗さを感じさせるロシア、熱帯の不快さと未知の不気味さ。異国の趣を流麗に描いた筆致がエンタメミステリとしてだけでなく、文芸としての読み応えを増させている。
ロシアを描いた「凍れるルーシー」は、読者の気付かぬうちに事件が起こり、突然の解決パートに入る独特な手法。
そもそも何が起きていたかの解説と解決が同時に行われる新しいパターンだった。
どの作品も、その国、その場所だから成り立つトリックや事件ばかりで、読みながら未知の扉が開けていく感覚だった。
建物や風景の説明が細かく、若干読むのにもどかしい思いをし -
Posted by ブクログ
海外の動向分析の雑誌を発行している会社に勤務する男性の、海外で出くわした出来事の連作短編ミステリ
海外の動向分析を主な内容とする雑誌を発行する会社に勤務する青年 斉木
NPOや政府関係機関も一目置く情報誌の質を維持するためには相応の取材が必要なめ
多言語を操る彼は海外を飛び回る生活を送っている
年間百日以上を海外で過ごす彼が巻き込まれた、様々な出来事の謎解きのお話
収録は5編
・砂漠を走る船の道
・白い巨人
・凍れるルーシー
・叫び
・祈り
砂漠のキャラバンに同行した際の連続殺人事件
風車に入って消えた人の謎
朽ちない聖人の遺骸調査への同行
エボラ出血熱と思われる感染症で滅びかかってい -
Posted by ブクログ
ジャーナリストである主人公が、取材に赴いた世界各国で遭遇する謎を描いた連作短編集。
梓崎優さんのデビュー作です。
ミステリ要素のみに着目すれば、少々物足りなさを感じてしまうかもしれません。
でも、その土地に根ざした文化や価値観が、謎と深く関わっているところに、他のミステリ作品とは一線を画する斬新さがあるように思います。
それに加えて、風景描写と情景描写の巧みさは新人離れした印象で、他の国々を舞台にした作品も読んでみたくなりました。
10年以上前の作品とのことで、今更シリーズ化するのも難しいかもしれませんが、物語としての整合性の高さと、ミステリの新たな可能性を感じる一冊だと思います。 -
Posted by ブクログ
『叫びと祈り』が最高だったので、続けて買ってしまった。主人公のミサキがカンボジアでストリートチルドレンとなった経緯や、ストリートチルドレンの日常や周囲からの認識を、かなり細かく書かれていて胸が苦しくなる場面も結構あった。精緻に書かれたそれらの描写によって、事件の真相を知った時、読み手は異国の論理を受け入れることが可能になっている。構成が丁寧なので、事件が始まるまでのやや長い前フリを超えれば、もうノンストップで続きが読みたくて仕方なくなるのではないか。
殺意は避けられぬ衝動(叫び)であり、その殺意に対して理解を試みることが祈りなんだなと解釈していて、この『リバーサイド・チルドレン』でも主人公の心 -
Posted by ブクログ
何かすっかりお馴染みとなった書き出し(^ ^;
「一応ミステリに分類したけど」(^ ^;
一冊通して、何とも「高貴な」印象を受けた。
テーマ、ストーリー、推理、人間模様、
そして文体や繊細な感性がにじみ出る表現。
すべてが「俗」を超え、神々しく光っている。
一応殺人事件が起きたりもするし、
「探偵役」による「謎解き」もきちんとある。
が、それは決して物語の主流ではない。
日本人には馴染みの薄い、海外の特殊な環境の中、
価値観やものの考え方がまったく違う人々との邂逅と齟齬
みたいなものが大きなテーマかと。
高貴な文体ながら、ハンマーで頭を殴られるような
インパクトの強い内容が次々と現れる -
Posted by ブクログ
世界をまたにかける語学堪能なジャーナリスト。まぁたいがい日本人でバリバリ外国語をしゃべるって時点でなんかイラッとしますね。何故なのか。やはり日本人なら日本人英語をしゃべるべきではないか、という謎の先入観があるからでしょうなぁ。まさに出る釘を打つという日本人の精神。
しかしこの出木杉君みたいな男の行くところ行くところ、事件が起きる!コナンや金田一ばりのトラブルメーカーなわけですね。というか死神です。こういういけすかないやつには酷い運命が待っている、という神様はちゃんと見てるんだな、とほっとしますね。でもそんなひどい目にあってもイチイチ哲学臭いというか、あれですな、中二病?的な難しい話をすぐ持ち出 -
Posted by ブクログ
青春×ミステリ。普段はあまり手に取らないジャンルですが、評判が良かったのでずっと気になっていました。
ロサンゼルスからおじの家があるハワイに引っ越してきた少女が、本棚で古い日記帳を見つける「美しい雪の物語」。
同級生が学校の屋上から転落死する事件が起こり、残された写真からどうやってその写真を撮ったのか考察する「重力と飛翔」。
野生の狼を見るためにカナダを訪れた農学部の大学生たちのうちの1人が子供の頃しゃべる狼に出会ったという話の謎を探る「狼少年ABC」。
同窓会に出席した主人公が15年前の卒業式の日に起こったとある事件の謎を探る「スプリング・ハズ・カム」。
以上の4編が収められています。