梓崎優のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何かすっかりお馴染みとなった書き出し(^ ^;
「一応ミステリに分類したけど」(^ ^;
一冊通して、何とも「高貴な」印象を受けた。
テーマ、ストーリー、推理、人間模様、
そして文体や繊細な感性がにじみ出る表現。
すべてが「俗」を超え、神々しく光っている。
一応殺人事件が起きたりもするし、
「探偵役」による「謎解き」もきちんとある。
が、それは決して物語の主流ではない。
日本人には馴染みの薄い、海外の特殊な環境の中、
価値観やものの考え方がまったく違う人々との邂逅と齟齬
みたいなものが大きなテーマかと。
高貴な文体ながら、ハンマーで頭を殴られるような
インパクトの強い内容が次々と現れる -
Posted by ブクログ
世界をまたにかける語学堪能なジャーナリスト。まぁたいがい日本人でバリバリ外国語をしゃべるって時点でなんかイラッとしますね。何故なのか。やはり日本人なら日本人英語をしゃべるべきではないか、という謎の先入観があるからでしょうなぁ。まさに出る釘を打つという日本人の精神。
しかしこの出木杉君みたいな男の行くところ行くところ、事件が起きる!コナンや金田一ばりのトラブルメーカーなわけですね。というか死神です。こういういけすかないやつには酷い運命が待っている、という神様はちゃんと見てるんだな、とほっとしますね。でもそんなひどい目にあってもイチイチ哲学臭いというか、あれですな、中二病?的な難しい話をすぐ持ち出 -
Posted by ブクログ
このミスベスト10、2011年版3位、本屋大賞2011年6位。良質の小説。独自性の高いテーマ、意外性のあるストーリー、高尚な文学的表現、工夫を凝らした構成。連作短編集だけど全体が一つのストーリで構成されてる。お話も面白く飽きさせない工夫があるのですが、自分にとっては少しリズム感に乏しく、一気読みといった感じではない。こんなのが好きっていう人もいると思うけど、若干難解で読みにくい。読んでるときに意識を失ってしまうこともたびたび。村上春樹とかも毎年文学賞候補なるぐらい文学的だと思うんだけど文章はとても読み易いですよね。もう少し平易な文章で文学的な香りを出してもらえるとありがたい。まあ、こういった丁
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ネタバレ学園ミステリアンソロジー『放課後探偵団』の「スプリング・ハズ・カム」がよかったのでこちらの短編集にも自ずと手が伸びる。
「砂漠を走る船の道」や「叫び」における限界状況におけるホワイダニットという切り口、視点というのはなかなかに面白いが、前者の解に感じた痺れるような切れ味が後者には感じられず、物足りなさがある。「砂漠を」のクオリティを期待していたが、ほかがもうひとつだったかな。「砂漠を」も、動機の部分はおもしろかったが、倒叙トリック的なものは不完全燃焼感が察せられてしまったこともあるけどそれを差し引いても今一つおもしろさに繋がっていないような。全体的に現実離れしているように思える異国の地を舞台に -
Posted by ブクログ
ネタバレ・砂漠を走る船の道
んんん、これはどうなんだろう。
意外性はあった、けれど。
最初の出だしが素敵だっただけに、残念な気持ちの方が大きいかもしれない。
・白い巨人
んんん!本当に素敵な文章!先が気になる話の進め方、雰囲気大好きなのに!
最後が残念すぎる。泣いてたから気づかなかったはさすがにない。
サクラの発想は素敵。ブルーのサングラスのせいか、斉木が妙にかっこよく感じる。
・凍れるルーシー、叫び
これは面白かった。いい意味でぞわぞわする。
・祈り
んんー。どういう状況なんだ?と先が気になって読み進めたけれど、最終的に特に驚くことはない。
全体的に世界観、描写、雰囲気は素敵すぎる。かなり独創的で -
Posted by ブクログ
人間になりたかった少年の話。
カンボジアを旅する、ということで、買ったわけですが、舞台カンボジア、だけで選ぶのはなかなかリスキーですね。
とはいえ、純粋に読んだ感想としては、「この作家は何を目指してるんだろうか、と、他の作品も読んでみたくなるね」でした。
とはいえ、急な旅人の参入、推理の唐突さ、など、推理パートは要らなかったんじゃないかな的な急な軽さを見せる残念さを持ちながらも、根底にあるストリートチルドレンへの眼差し的なものは、読み応えがありました。
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ゴミ捨て場を山と呼び、ゴミ拾いを狩りと称する。天敵である警官には黒と名付ける。暗号めいた呼び名は、現実をうまく隠すためのオブ -
Posted by ブクログ
デビュー作の『叫びと祈り』では砂漠をいくキャラバンに始まり、果ては病気が蔓延した未開の原住民の集落という設定でもミステリを成立させた梓崎優さん。
その著者の第一長編の舞台がカンボジア。さらにストリートチルドレンが主人公のミステリーと、またとない設定にそれだけで強い興味を惹かれました。
前半で描かれるのはストリートチルドレンの日常。社会や大人、そして警察につまはじきにされながらも仲間たちで助け合い、日々を精一杯過ごす子どもたち。しかしその日常も暗転。
仲間の一人が警官に殺されてから、穏やかな日常は崩壊。混乱と不安、そして絶望のなか一人、また一人と子供たちは殺され、そして崩壊していくコミュニテ