梓崎優のレビュー一覧

  • リバーサイド・チルドレン

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    読み終えるまで、だいぶ時間がかかってしまった。カンボジアのストリートチルドレンが主役となる本格ミステリ。題材が重く、理不尽な状況に心が折れそうになる上に、中盤まで読み進めないと事件が起こらない。なぜストリートチルドレンの中で殺人が起こってしまったのか、この物語の根幹とも言える謎の解明は梓崎優氏の真骨頂ではあるだろう。ただ、物語の展開の遅さ、探偵役の唐突さはマイナス点といえる。

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    2022年05月08日
  • 叫びと祈り

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    作者のデビュー作らしく、表現が固く描写に技巧を使い過ぎ、非常に読み難く場面をイメージしにくい。5作とも舞台が世界中の各地(中東、スペイン、ロシア、ブラジル、)となっており、余計知らない世界の描写のためイメージできない。
    ただ第5回ミステリーズ!新人賞を受賞し、綾辻行人や有栖川有栖から激賞されたという一番最初の『砂漠を走る船の道』や『白い巨人(ギガンテ·ブランコ)』は、読んでいて自分が勝手に思い込んでいた想定を見事にひっくり返され、やられた感はあった。
    また最後の『祈り』は、前4作に登場する斉木が精神病院(?)で、自分が世界中で経験したジャーナリストとしての体験を失われた記憶として記録したものと

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    2021年12月05日
  • 叫びと祈り

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    砂漠を行くキャラバンを襲った連続殺人を始めスペインの風車の丘、ロシアの修道院などひとりの青年が世界各国で遭遇する数々の異様な謎を解き明かしていく。

    なんとも不思議な雰囲気の話。
    最初の「砂漠を走る船の道」はミステリーとしてとても面白かったが他は微妙。
    謎解きというより異国文化を描いた作品。

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    2021年10月18日
  • リバーサイド・チルドレン

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    ネタバレ

    昔日のプロレタリア文学的な意図を感じさせる、ストリート・チルドレンの告発的な描写に、無意味な殺人と奇妙な死体装飾の目的を探るホワイダニットを組み合わせたミステリー。『叫びと祈り』もあまりといえばあんまりな殺人の動機がメインのホワイダニットだったから、このへんのが作者の得意なフィールドなんだろう。ただミステリとして見た場合、動機が無茶すぎるのは確か。この動機の無茶さを物語として成立させたかったのは分かるから、否定はしないが。それより主人公が過剰にダメダメくんに見えるのをなんとかしてもらいたい。普通にリアリズムで描けばそうなってしまうのだろうが、だからこそ踏みとどまって欲しい。この手の作者が主人公

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    2021年10月04日
  • 叫びと祈り

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    ネタバレ

    結局は最初の引用文に尽きるのかな。
    "だいじなのは、お話の裏にこめられた意味なんだよ"

    まず連作とは知らずに読み始めたので、「砂漠を走る船の道」の舞台に感動して、重厚な話であるといいと期待して臨んだら、割と早くに終わってしまい、気持ちがちょっと萎んだ。
    メチャボも犯人も手がかりをたくさんくれていたので「!!」となることはなく、とにかく読後の印象はラクダと砂漠である。それは凄くいい。もっと読みたかった。
    「白い巨人」のサクラもあからさまだし、彼女が生きてるのもかなり示唆してくれてたし、何よりフェイクの話で冒頭の引用文の存在感が増した。わかりやすいのはデコイで裏があるのかな、

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    2020年11月26日
  • 叫びと祈り

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    連作集。最初の仕掛けは面白い。これもある種の密室、そしてミスリード!しかしその後、ちょっと雰囲気に凝りすぎて、ミステリの部分はむしろ意味不明、読後モヤモヤする話が続く。最終話に少し揺り戻しがあり、紀行ものとしてファンタジーを楽しんだことにする。

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    2020年03月04日
  • 叫びと祈り

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    ネタバレ

    先の気になるストーリーも相まって、とても読みやすい。
    日本ではないどこかの、文化や風土に基づいた謎解きということで、
    非常に面白く読んだ。
    しかし、最終章”祈り”の位置づけは、とあるサイトの解説を読まないと理解できなかった。
    この1冊が、最初は探偵役であった主人公が、自分の理解できない何者の存在に心情を打ち砕かれていく
    という構成だったとのことで納得。

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    2018年06月22日
  • 砂漠を走る船の道 ミステリーズ!新人賞受賞作品集

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    ネタバレ

    ミステリーズ!新人賞受賞作品集
    ・漂流巌流島 高井忍
    ・殺三狼(しゃさんろう) 秋梨惟喬
    ・田舎の刑事の趣味とお仕事 滝田務雄
    ・夜の床屋 沢村浩輔
    ・砂漠を走る船の道 梓崎優

    印象に残ったのは、「砂漠を走る」。一番しょうもないと思ったのは「田舎の」。新人さんだもんね。どれもぐいぐいその世界に入るということはできなかった。

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    2018年04月02日
  • 叫びと祈り

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    ネタバレ

     「斉木」という青年が世界各国で遭遇する異様な謎について書かれた4つの短編と、その後日談が書かれた短編集。文章が詩的であり、好きな人にはたまらないんだろうけど、あまり肌に合わなかった。
     「砂漠を走る船の道」、「凍れるルーシー」及び「叫び」は、動機に焦点が当てられた作品。いずれもその異様な動機は、心に残る。「白い巨人」は、日常の謎風のミステリだが、スペインが舞台であり、叙述トリックにより主人公がスペイン人であることが伏せられている。「白い巨人」は、サクラと表記されているスペイン人男性とアヤコという日本人女性の恋の話で、読後感が良い秀作。
     白眉は、「凍れるルーシー」。生ける聖人だった修道院長で

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    2015年09月23日