牧野雅彦のレビュー一覧

  • 今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢

    匿名

    購入済み

    よい

    100P足らずで、入門できるので初学者にオススメです。しっかりした文章で読み応えもあります。
    この本を足掛かりにアーレントの思想を学びたい人にお勧め

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    2024年03月08日
  • 精読 アレント『人間の条件』

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    「人間の条件」を新訳した訳者による丁寧な解説本。

    アレントの哲学的な主著であるが、アレントはなかなかに屈折の多い思想家なので、簡単には理解できない。単に難しいだけでなく、皮肉で言っているのか、本気なのかも分からないところもあって、分かったつもりでも逆の意味で理解していることもある。

    そんなアレントの「人間の条件」は、いろいろ解説書を読んだり、ドイツ語からの翻訳「活動的生」を読んだり、いろいろ読んで、なんだか初めて、分かった気になっている。

    複数性を大切にするアレントをある一つの方向で、ここまで分かってしまって、大丈夫だろうか、と思ってもしまうが、これまでいろいろ悩んできた点と点がやっとつながった感じというか、複層的なものとして理解が大きく進んだ感覚がある。

    理解が進んだのは、マルクスとの比較が視点としてはっきり打ち出されているためだと思われる。アレントは、「人間の条件」を書く前にマルクスをかなり研究しており、ある意味、その「誤読」を通じて、彼女の独創的な見解に到達したともいわれるところで、そのあたりがだいぶ見晴らしがよくなったと思う。

    そして、この本は、人工衛星の打ち上げから始まり、マルクス的な労働の疎外ではなく、世界疎外を打ち出すわけだが、その冒頭での主張は印象的ではあるものの、途中の労働、仕事、行為の3分類の説明を読んでいるうちに、もともとの問題意識がわからなくなってしまうところがあった。

    マルクスとの関連で、活動的生活の3分類が整理されたところで、20世紀においける科学技術の問題があらためて議論され、その関係において、世界疎外という話しにつながっていく、第Ⅵ章「活動的生と近代」の議論がようやく分かった気がした。

    ここには、極めて現代的な技術の問題、たとえばDXとか、AIとかに直結する議論がすでになされていたんだなとアレントの慧眼にあらためて驚いてしまった。

    あらためて、アレントの「人間の条件」を起点に政治的なさまざまな概念について思考を展開した「過去と未来の間」、当時のアメリカの政治状況へ展開した「暴力について」あたりを再読してみたい。

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    2023年04月26日
  • 今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢

    購入済み

    はじめの一歩

    ハンナアレント。いつか読もうとしていたけど、著書の分厚さに尻込みしていた。この本はうまくまとまっていた。著書を買うことにした。

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    2023年01月02日
  • 危機の政治学 カール・シュミット入門

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    一国、世界秩序を舞台とした政治学の論であり、その致命的な綻びを全力で乗り越えようとしたのがシュミットだ。ナチスとの関係で危険な思想家とみなされがちなシュミットだが、原著にあたれば、欠陥に取り組み、思想を深めた言動があらわになる。

    中公新書よりも偏見かなく、時代背景や思想的系譜を踏まえた詳細な記述によってシュミット復権に成功していると思う。

    国法と教会法、イギリスの海洋国家への一歩、戦争の正当性への問いかけ、恩赦、欠かすことのできない宗教。読み応えがあった。

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    2020年11月30日
  • マックス・ウェーバー入門

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    ウェーバーについては様々な本が出ているが、ウェーバーが生きていた当時の状況に忠実に彼の主張をなぞっていて非常に貴重である。

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    2020年10月06日
  • 新書で名著をモノにする 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

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    「マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は不思議な論文です」という一文から本書は始まる。その理由は、「資本主義」と銘打っているにも関わらず、経済システムとしての資本主義にはほとんど触れられていないからだという。しかしながら、この論文が古典として読み継がれる理由は、「資本主義」がもたらした現代社会の課題を分析する上で有益な洞察が含まれているからである。資本主義社会を理解するにあたって、その成立を支えた原理のようなもの、つまりプロテスタンティズムの倫理、にまでさかのぼることで見えないものが見えてくるのだ。

    著者は『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』というタイトルが長いために、本書の中では短縮型を使う。一般的には『プロ倫』という略称が使われることも多いが、著者はそれを内輪の隠語で、小馬鹿にしたようで趣味が悪いとして使わず、『「倫理」論文』と呼称する。この辺りに同論文に対するレスペクトが感じられる。

    また、複数の訳書(大塚訳、梶山訳、中山訳)があることが知られているが、引用するにあたって、それぞれどの訳で何ページ目にその引用があるのかを”O”、”K”、”NK”の文字とともに引用文の後に示すようにしている。こういった丁寧さに好感が持てるし、また著者に対して信頼を置くことができるのである。

    本書は基本的に、「倫理」論文、とくに『宗教社会学』に所収されるにあたって改版されたものを構成に沿って解説していく。とてもよく勉強になったので、ここでも備忘録とともに、追いかけていこう。

    【ベンジャミン・フランクリンの勤勉・節約・正直の倫理】
    第一章で例に挙げられるアメリカ建国の父の一人でもあるフランクリンの言葉は、勤勉・節約・正直の倫理が広まっていた証であり、またそれまでのキリスト教の論理とは違い、良心の呵責なく誠実に営利を追求する、つまり疚しくない良心、を持つようになっていることを示している。こうしたフランクリンが抱いていたような「合理的な利潤追求や職務の遂行を義務とするような「職務義務の思想」はどこからきたのか」というのがウェーバーの問題意識だという。

    また、フランクリンは、『資本論』におけるマルクスの労働価値説の説明にも引用され、価値の本質が労働であることを見抜いていたと指摘する。
    「およそ商業はある労働と他の労働との交換にほかならないのだから、すべての物の価値は労働によって最も正しく評価されるのである」
    ウェーバーはまさにこのような公正な取引を求めるフランクリンの「資本主義の精神」を問題としていた。その観点において「倫理」論文は、マルクスの『資本論』に対する応答でもあったのである。今日の資本主義社会に対してわれわれはどういう態度をとるべきか、という問題の文脈で「倫理」論文が読まれる理由があるという。

    【ルターによる天職概念】
    「倫理」論文によると、ルターの宗教改革における聖書のドイツ語への翻訳において天職(Beruf)という言葉が採用され、これが世俗の職業が天から与えらえた使命であるという観念を生んだという。
    一方で、ルターの天職だけでは、資本主義を成立を支えた精神の獲得へは至らない。それにはカルヴァンによる「予定説」が必要になってくる。

    【カルヴァンの予定説】
    カルヴァンの予定説から禁欲的倫理が導かれて、禁欲的行動につながったが示される。
    カルヴァン派にとって、人間は神の容器ではなく、神の道具であり、地上での「神の栄光」を増すために人間が働くのである。ここにルターとカルヴァンの違いがあるという。カルヴァンの教えを敷衍すると、救いの確証は労働の成果から得られ、またそこからしか得られない。すでに決定されている救いは、祈りや、呪術や、お布施や、修道士的禁欲によってはもたらされないのだ。それは、日々の労働の成果を通して確認しなくてはいけないことであり、そのためにその禁欲的行動が義務化されるのである。

    また、このことにより天職の概念もルターのものから若干変容し、職業の変更もそれが神の栄光を増す場合においては肯定されるようになる。また、得られた財産は神から委託されたものであり、その浪費は慎まねばならないし、その維持と増加に心を砕く必要が出てくる。その財産が大きければ大きいほど、救いの確証が得られる代わりに、その責任も大きくなるのである。

    【資本主義社会の「鋼鉄の檻」】
    こうして、プロテスタンティズムの倫理は、非合理的な富の追求を神の栄光の名のもとで正当化し、推奨化した。同時にマルクスの剰余価値の生産者としての労働者を準備することとなった。またこの職務に忠実で勤勉な労働者を企業家が搾取することを「合法化」することによって近代資本主義の前提条件が整ったのである。

    このシステムは、プロテスタンティズムという宗教的な支えがなくなった後も「鋼鉄の檻」(というよりも固い外殻といったニュアンスが正しいという)として、われわれの考え方や社会システムを支配することとなったという。こういった点が「倫理」論文が、特に日本では、現代社会の根源的な問題を論じた一種の文明論として読まれることになった理由である。

    【末人とニーチェの思想との関係】
    「倫理」論文は、まずはマルクスに対する応答であり、その後のウェーバーの歩みはニーチェの問いに対する応答の試みであったと著者は指摘する。ウェーバーによるニーチェへの言及は次の末人に関わる部分である。

    「そしてこの巨大な発展が終わる時、まったく新しい預言者が現れるのか、あるいはかつての思想や理想の力強い復活が起こるのか、それとも――もしそのどちらでもないとするなら――、一種異様な病的尊大さで粉飾された機械的化石化に行きつくことになるのか、それはまだ誰にも分からない。だがもしそうなれば、こうした文化発展の『末人』たちにとっては、次の言葉は真理となるだろう。『精神なき専門人、心情なき享楽人。この無に等しい者たちは、自分たちこそ人類がいまだかつて到達したことのない段階に到達したのだと自惚れることになるだろう』と」

    「末人」は、二―チェの『ツァラトゥストラ』に批判的にでてきたものである。「末人」を生む人間の矮小化がキリスト教の影響であったというニーチェと、資本主義の精神がその行く末に「末人」を生むというウェーバーの思想は絡みあっているという。

    カルヴァンの教えは、自分たちが神から選ばれた特別な存在であるという、貴族主義を生みだし、罪を犯した隣人を援助するのではなく、憎悪するようになる。プロテスタンティズムの倫理が一種の排他性と攻撃性を孕むものであることをウェーバーは見抜いていたという。それはウェーバーのすぐ後の時代において大きな問題となるものであった。

    「「倫理」論文にそくして言えば、プロテスタンティズムの禁欲的精神そのものにある種の攻撃性が潜んでいるのであって、それこそが近代世界を生み出す原動力であったのではないか、ウェーバーの「倫理」論文の本来の主題もそうしたプロテスタンティズムの問題を批判的に明らかにすることにあったのではないか、というのです」

    【まとめ】
    著者は「おわりに」と題した節において、次のようにまとめる。

    「ウェーバーは近代世界というものの特質、それをもたらした淵源をめぐるマルクスならびにニーチェの問題提起を正面から受けとめて、彼らの議論と対決するかたちで自らの見解を形成していったのでした。『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を出発点にして、ヨーロッパの近代とそれがもたらした諸事物についての精神的・歴史的起源を明らかにするという一連の宗教社会学の作業は、マルクスとニーチェの問題提起に対する応答の試みでもありました」

    マルクスとニーチェという巨人は両者とも宗教を否定した、一方は無視をするという形で、もう一方は徹底的にその害悪を遡上に上げる形で。ウェーバーは、これに対して彼らが問題とする近代世界が、深くプロテスタンティズムの宗教倫理に根差したものであることを指摘しつつ、宗教的実践がなくなった後もその影響が残る、皆が自明のものとしてみなすような資本主義の精神とシステムを可視化するのである。その意味でも、ウェーバーは現在でも読まれるべき思想家であると言える。

    新書版であるが、気合のこもった良書であり、ウェーバーの「倫理」論文および宗教社会学の入門としてお勧めできる本である。

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    2020年10月10日
  • 危機の政治学 カール・シュミット入門

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    カール・シュミットについて、カトリシズムとの関係から丁寧に掘り起こして解説した本。内容としては高度で理解が難しいが、カール・シュミットの思想を根底から説明しており、その意味で貴重である。

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    2018年07月02日
  • 新書で名著をモノにする 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

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    原書プロ倫理の注釈本みたいな内容かとおもったら、ニーチェやマルクスにシュミット、そしてユダヤ・キリストの原典にもあたりつつの独自の解釈を提示しており、なかなかの好著。このシリーズの続編があるのなら是非読みたいところだ。人物間の連関をマッピングした本はよく見るけど、著書を軸に言説にひもづけられるソーシャルグラフ的な本ってないような気がするんだよね

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    2011年07月10日
  • はじめての政治学

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    小中学生からでも読める、政治そのものへの素晴らしい入門書

    政治というとだいたいの人間はTVに流れる国会や官僚とかを思い浮かべるがそれは間違いだ。家族や学校の中で誰かと関わる時、そこにはすでに政治という現象が生まれている

    ではその日常のミクロな場にも働く政治とは何で、何のために存在し、それがオレたち全体にどう関わっていくのか。それをまず踏まえなければどんな行政学もニュースも政治哲学も、底の底は理解できない。この本はコミュニケーションや権力とかの、わりと最新の学説も背景に踏まえていて実は結構濃い

    第八章、文化とアイデンティティの章は、高校に入る前に熟読しておけば後々の人生に心強い


    著者いわく、政治という現象は権力が背景にあり共存の作法がその意義という。だが政治の相対化に多様な見方も提示していて、誰が読んでも面白いし何度もここにたちかえることができるだろう

    単に政治を語りたがるのはただのおっさんくさいガキだが、政治の本質を知るのは大人の営みだ。本当の意味で大人になりたい読者にこの書を送ろう



    【いままで話してきたことをまとめるとこういうことになると思う。つまりこの世界はみんなお互いに自分が正しいと主張しあっていつ、それが原因でいろんな争いが起きている、話しあいでなかなか解決がつかないから力で解決しようとして争いが起きると言った方がいいかな、ともかくそういう世界だということ。そこでは一方の立場に立てばこちらが正義で向こうは悪者だということになる。それは相手から見ても同じだ。そういう中で互いに生きていく、できるだけ互いにうまくそうした問題を解決しながら共存していくやり方を見つけること、これが政治の仕事なんだと思う。(本書158ページより)】

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    2010年12月22日
  • 今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢

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    ハンナアーレントの思想に興味があったので、その入門の1冊目としてチョイスした。
    アレントの思想は言葉の定義も独特で、入門であっても読み進めるのが難しい。
    しかし、現代社会とらこれからの未来に刺さりまくる要素が詰まっているので、これから必須級の教養になるのでは、と思う。
    本書は原典と違って100ページぐらいの短さで全体を外観できるので、入門として優秀。
    実際に今原典を読んでいるが、役に立っている。
    気をつけた方がいいのは、速読・読み流しには向かない、ということ。
    先にも述べたが、アーレントの思想は言葉の定義が一般の用法と少し異なる上、普遍的テーマを扱っているため、いくらでも誤読できてしまう。
    引っ掛かりを放置すると、何を言っているかわからなくなってしまう。
    本書は入門書で、全体をまとめた本ではあるが、それは同様。精読向きの本。
    おすすめの読み方は、ChatGPTなどのAIを読書メモ兼解説者として並走させながら、引っ掛かるところを潰しながらじっくり読み進めること。
    原典はその読み方でないと本当についていけなくなるし、誤読してしまいそうになる。
    原典に向けた読み方の訓練本としても短いのでおすすめ。
    ただ、アーレントの思想を全部カバーしているわけではないため、注意が必要。(例えば"赦し"の概念については本書では触れていない。)

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    2026年02月08日
  • 精読 アレント『人間の条件』

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    ネタバレ

    ハンナアレントさんの思想について概要から詳細まで学べた

    代表的な思想
    人間の条件は、労働と仕事と行為に分類されるという思想であるが、そもそも公的空間と私的空間の定義から入り、マルクスの労働価値説との解釈の違いについても学ぶことができた

    アレント自身の労働に対する定義では、生命活動を維持するためのものであるため、マルクスが考える労働とは違い、マルクスが考える労働は自身の再生産以上の生産力のことを労働力と評しているためアレントで言うところの仕事にあたる

    産業革命後の世界によって労働の解釈性が変わったことについても学ぶことができたのは大きい。

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    2025年03月04日
  • 今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢

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    最初、新書にしては、たった100ページ程度だと、思っていたが、内容は濃縮還元ジュースのように、濃かった。
    1ページごとに内容が濃いので、じっくり読んだ方が良い。

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    2024年05月31日
  • 今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢

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    全体主義は拠り所を失った人々に首尾一貫した説明を与えます。依拠できる指針を求める人は荒唐無稽な説明を受け入れます。孤立した個人を巻き込んでいく運動が全体主義の本体です。これに抵抗するには絶対に揺るがない真実や事実といった拠り所が必要となります。

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    2023年02月18日
  • 今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢

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    去年飲み友だちのまりちゃんが「最近アレントが流行っているし、私も買ったんだよね」と話していて、私はアレントはかろうじて聞いたことがあるくらいだったから、相槌を打つのに焦った。そして、その夜まりちゃんと解散して一人で家の近くのバーに入ったら、アレント関連の本が数冊置いてあった。このバーには何度も来ていたけど、今まではなかったはず。バーテンダーに聞いてみたら、彼のお父さまがアレントに憧れてやまない学者さんらしく、確かに置かれた本のうちの数冊には彼と同じ苗字の著者の名前も見られた。ウクライナ戦争で再びアレントのことを思い出している人が多いらしく、バーテンダーも店に置く本を入れ替えることにしたらしい。

    この日に二度もアレントが私の前に現れたという偶然を逃したら、私はアレントを読まないまま死ぬに決まっていると思った。それで本屋に平積みになっていたこの本を読んだのだけど、100ページだからあっさり読み終えてしまったし、あまり歯ごたえも感じられなかった。バーテンダーにそう話すと笑われた。
    「アレントの解説書でしょ。それじゃわかるわけないよ。人間の条件くらい読まないと」

    というわけで、次は「人間の条件」に挑戦する所存です。私の現在の恋人はアレントの名前も聞いたことがないらしく、今後の付き合いを考えてしまいます。

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    2023年02月05日
  • 今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢

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    ジャンルで言えば「全体主義」についての本ということで「社会」にあたるのでしょうけど自分は「思想、考え方」寄りの内容と捉えました。
    前半の方はアレント入門といったテイストでしたが、4章から趣が変わりアレントの考え方を引用した著者自身の全体主義というものの考え方というか向き合い方の主張?のような内容となっているように思います。私自身はアレント自身について書かれた本は何冊か読んだことがありますがその思想についての本はほぼほぼ読んだことがなく、そこの知識がないので入門として読むのに良かったです。
    しかしあんまり理解できなかった気がする。著者の方は、多分私のように興味はあってもなんの知識もない人間のために出来るだけ分かりやすくポイントを要約しつつ書かれたのだろうと思いますが(いかに噛み砕こうか、という表現の工夫は感じられました)私の頭が悪いのか知識がなさすぎるのか…もう一回読んでもきちんと理解できる自信がない。
    ただ、3章を読むと、とても十九世紀の話しとは思えない今の日本の話では?と思うような不穏な内容で、今の日本の社会に警鐘を鳴らすべく今発刊されたのかなというふうに自分には感じられました。
    巻末にもっとアレントの思想を深く知りたい人のための読書リストが挙げられており、そちらを読もと思われるような人には本書は物足りなく感じられるんでしょうね。
    意外と読者層を選ぶ一冊かも。私は多分あんまり呼ばれる読者じゃなかったんですね。

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    2023年01月02日
  • 今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢

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    アーレントを100ページで紹介する入門書。

    アーレントは屈折の多い思想家なので、100ページにまとめるのは無理だろうと思いつつ、読んでみたら、かなりいい線でまとまっていると思った。

    もちろん、議論はかなりフォーカスされていて、「全体主義の起源」を中心に説明されている。あとは、それに関連するところとして、「人間の条件」がすこし、ポスト・トゥルースの時代に参照されることが多くなった「真理と政治」や「政治における嘘」に言及。そして「エルサレムのアイヒマン」を紹介という感じかな。

    つまり、全体主義の歴史解釈とそれと比較的関連性の高いものにフォーカスされているということ。アーレントのコアな政治哲学的なところはあまり言及していないので、まとめることができたということかな?

    とくに「権威主義体制」、「専制」と「全体主義」の違いをイメージ図で整理しているところが、秀逸。

    アーレントの本はある程度読んでいるので、そこまで驚く話しはないのだが、面白かったのは、「共通感覚」や「判断」の話しが「政治」や「活動」との関係で語られるところ。

    「判断」といえば、アーレントの書かれなかった「精神の生活」の第3部を思い起こさせる。「判断」が、「活動」で生まれる公的空間や政治、そしてそれを定着化させる政策、事実の真理などなどと関係づけられて議論されるところが頭の整理になった。

    アーレントの入門書としては、わかりやすくてよいのではないかと思う。

    ただ、前半の「全体主義の起源」関係の説明が、歴史的な事実の説明なのか、アーレントの解釈による説明なのか、著者の読解による説明なのか、あいまいな印象があった。基本、アーレントの説明についての著者の解釈なのだろうと思うが、もうすこし原著との関係を明示してほしかった。(これもやりすぎると読みにくくなるのだが。。。)

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    2022年12月29日
  • 今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢

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    ナチスについてのハンナ・アレントの考察が,不気味な程現在の日本に付合する…まるで『1984』の様なdystopiaと薄い膜一枚で辛うじて隔てられている様な,実はその膜は半透膜で,エッセンスは既に充分に流れ込んでしまってるんじゃないかと息苦しくなる様な内容だった.人間の完全な均質化は不可能,故にfascismの永遠の完全な勝利はあり得ない,と言う記述に希望はあれど,与えられた時間はないなぁ,と.

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    2022年12月12日
  • 今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢

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    ネタバレ

    コンセプトがはっきりしており、分量も短くて読みやすかった。もちろん、あとがきにも書かれているように、ある思想の概要を可能な限りコンパクトにまとめるという作業は非常に困難だろうし、これだけを読んでわかったつもりになってはいけないのだろうとは思った。
    全体主義について、何となくの言葉のイメージはもっているつもりでも、暴政や権威主義体制といった他の体制との違いや、全体主義の中にいる人はどのような状態になるか、等の新たな発見があった。一方で、共通の感覚が失われる、リアリティを信じられず、想像力、一貫した論理を信じる、といった、全体主義がもたらす状態は、少しだけでも理解できたようにも思うが、では、本当に人間がそうした状態に陥ってしまうのか、そこに至るプロセスをもっと詳しく知りたいようにも感じた。
    また、全体主義への抵抗手段として「事実の真理」があり、ただそれを証明する段階で、結局のところ多数決等の脆弱性のある方法によらなければならないというのも、イメージがついたように思った。さらに、アレントは歴史学や人文系の学問にこそ価値を見出していたという。確かに、「事実」だけを告げられるのか、そこに(もちろん虚偽ではない)ある程度の物語性というか背景も含めた語られ方というか、そうったものが必要となるようにも思うが、そのような理解で良いのだろうか。
    最初に書いたように本シリーズ「現代新書100」のコンセプトはわかりやすく、ぜひ読んで教養を深めたい、との気持ちにさせてくれる。一方、個人的には、「なぜその思想がいま必要とされるのか」の観点はなくても良く、その分もっとその思想そのもの等について紙面を割いてほしいとの感想をもった。
    なぜなら、その思想に触れて、それを現代のあるいは現実の世界にどう還元していくかは、読み手の判断によるべきと考えた。また、それは言い換えれば、「今こそ読まれるべき」でなければ、見過ごされてよい思想があるという発想は、かえって危険ではないかと私は思った。もちろん、現代にどう応用できるかについても書かれていればもっとより理解できるとは、思うのだけれども。
    さらに言えば、読書は、読まれる「べき」という視点ではなくて、読みたいものを読まなければいけないとも思う。

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    2022年12月04日
  • 今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢

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    ハンナアレントの思想がわかりやすい言葉で述べられている。稀有な人間の行為が、社会的全体を変える。一人一人が良心との対話で思考し、行動することの大切さを思わせる、


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    2022年12月03日
  • 今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢

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    リテラシー、判断力は、受け売りや忖度、わがままで意見を表すものではなく、他者への思いやり、想像力を働かせてつくりあげていく。そこで過ちがあってもいい、その都度訂正していけばいいのであって、決して誤魔化したり逃げたりしてはいけない。全体主義は、一人ひとりの判断力が軽んじられ、瞬間の心地良さに安穏としてしまう先にある。常に私たちは考えよう。その日常が辛くても当事者性へのアプローチが大切であり、正しくないものへの寛容へと広げていく。千差万別の意見が飛び交う民主主義はひとつの答えが見つからなくてもその過程から気付くものがあればいい。そして自他共に修正を行っていく。そこに保身や体裁は不要である。このことを為政者の皆さんに諫言する。

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    2022年11月04日