「そしてこの巨大な発展が終わる時、まったく新しい預言者が現れるのか、あるいは、かつての思想や理想の力強い復活が起こるのか、それとも_____
もしそのどちらでもないとするなら______、一種異様な病的尊大さで粉飾された機械的化石化に行き着くことになるのか、それはまだ誰にも分からない。だがもしそう
...続きを読むなれば、こうした文化発展の『末人』たちにとっては、次の言葉が真理となるだろう。すなわち『精神なき専門人、心情なき享楽人。この無に等しい者たちは、自分たちこそ人類がいまだかつて到達したことのない段階に到達したのだと自惚れることになるだろう』と」『ツゥラトゥストラ』
ウェーバーは、貨幣の貯蓄、利潤の追求が自己目的化してしまっているような意味での資本主義の精神ではなく、資本主義を支えるような精神態度、エートスの起源は、むしろ直接的に利潤を目的としない精神、利潤の追求そのものを拒絶するような精神態度に由来するのではないのかという問題設定をした。おそらく、本書の価値は、その由来が禁欲的プロテスタンティズムによるものだという考察よりむしろ、先人の研究者の誰もしなかった角度から問題提起をした点にあるといえるだろう。