牧野雅彦のレビュー一覧
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牧野雅彦 精読 アレント 「 全体主義の起源 」 ナチズムなど 全体主義の歴史を分析した本。衝撃的で ハードな読書だった
なかでも 衝撃的なのは、全体主義が暴力を用いずに、人間の法的人格やアイデンティティを抹殺し、死体になる前に「人間として死せる身体」となっている点
国家利益や体制維持のために行う政治活動と異なる点で、全体主義は 国家や体制を乗り越えた現象であり、人間に対して破壊と支配を進める点で、悪の極致だと思う
反ユダヤ主義、人種主義、帝国主義が 全体主義に結晶し、プロパガンダにより組織化された大衆により、全体主義が成立する姿を 歴史の中に見出している
全体主義を通し -
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ネタバレ『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』と言えばマックス・ウェーバー。
世界史専攻だったんで、一問一答式にこの組み合わせは覚えました。それがなんなのかは知りませんし、当時から知る気もなかったと思います。
ただ、なんか予期せぬところでこの単語と出会い、その度に、ところでこの本なんなの?と思ってました。良さげなの見つけて読んでみました。
感想。結構面白い。でも前提知識が足りず、この本について語れるほどのモノは身に付けられず。あんま宗教のこと考えたことないし。一つ教養が身に付いたかも。
概要。
間違ったこと書いてたらごめんなさい。あくまでも私が読み取ったことです。
まとめると、キリスト -
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ネタバレ[ 内容 ]
第一次世界大戦は、アメリカの参戦とドイツ帝国の崩壊を経て休戦が成立し、パリ講和会議が開かれる。
だが、「十四箇条」に基づく「公正な講和」を求めるドイツ、「国際連盟」による世界秩序の再編を目指すアメリカ大統領ウィルソン、そして英仏の連合国首脳の思惑には大きな隔たりがあった。
それまでの講和のルールになかった「戦争責任」をドイツに求めるべきなのか。
人類初の世界戦争の終結をめぐる息詰まる駆引を描く。
[ 目次 ]
序章 問題の所在
1章 アメリカの参戦とウィルソンの講和構想
2章 ドイツ帝国政府の講和戦略
3章 革命から講和会議へ
4章 講和問題とウェーバー
5章 講和条件案の形成 -
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ヴェーバーのもっとも有名な著作である『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の入門的解説書です。
すでに数多く刊行されている「プロ倫」の入門書と差別化する意図もあるのかもしれませんが、ニーチェやシュミットの議論との関係に触れ、また『古代ユダヤ教』へとヴェーバーの問題意識が発展していった経緯についても、立ち入った考察がなされています。
山之内靖の『マックス・ヴェーバー入門』(1997年、岩波新書)では、ヴェーバーが「精神なき専門人、心情なき享楽人」と述べた社会批判を、ニーチェの「末人」に対する批判とかさねることで、ポストモダンふうのヴェーバー像を提示しました。これに対して本書では、山之 -
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精読とあるものの、アーレントの言葉をアーレントの言葉で解説している(つまり解説になってない)ところが多いように感じた。また、想定する読者像や執筆の経緯、著者と『人間の条件』(以下HC)との出会いといった、本書の立ち位置についての前置きがどこにもない。そのため、HCをこれから読む/すでに読んだ一般読者むけに噛み砕いて講義する入門書というより、著者自身のための読書ノートという印象を受けた。
一方で、HCの引用時に牧野訳と志水訳の両方の参照ページを載せているのは親切。また、志水訳の誤りの指摘・修正も参考になった。
【action をどう訳すか問題】
①志水訳 action「活動」; activ -
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「100分de名著」ならぬ、「100頁でハンナ・アーレント」という挑戦的な一冊。
ハンナ・アーレントを100頁にまとめるというのは、なかなか難儀な挑戦だが、それでも「全体主義」というキーワードを中心に据えながら、できるだけ簡潔にまとめようという著者の意図は伺えた。またこの挑戦はある程度奏功しているように思われた。
ただ強いて言えば、展開される議論の全体における位置づけが不明瞭に感じられる所があったり、(これは著者の文体の癖かもしれないが)「〜ではない」といった否定語で議論を進めている箇所が散見され、これが読みにくくさせているように思われた。全体のマップを示しつつ、思い切って肯定文体で踏み込ん -
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欧米人の基盤というか本質を為す環境の理解が深まる。キリスト教、ユダヤ人という存在の大きさを改めてわかった。
西洋思想、西洋史はなんとも理解しずらいとずっと思っていた。明らかに根幹が異なっており、表面的なことを教わっても本質が見えてくることは無かった。本書ではその点に資本主義、キリスト教、哲学の面から切り込んでいる。
特に欧米では、過去を批判し、言い換えることで歴史は進んできたが、結局は根っこは変わっていない。明らかに見た目も違う多様性を持った人達が集まる欧米では、集団の形成や離散は頻繁に起こる。その際にその理由を宗教や哲学に求めているようにも見える。
こらまでは、その切り口についての知識がなく -
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「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の解説というスタンスで出版されているが、内容は濃い。
「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を分解するにあたって、プロテスタントに関する歴史解釈が非常に興味深かった。
少々長いが、以下は引用。
「ローマ・カトリック教会の伝統を打破する宗教改革の試みはルターに始まって、カルヴァンや禁欲諸教派の「宗教」によって徹底されて、これはやがて宗教・教会だけではなく政治体制そのものの変革に結実する。
イギリスのピューリタン革命から名誉革命、フランスの大革命はその実現であったという理解はわれわれヨーロッパ史・世界史の常識的な理解とも対応します。
これに