小島毅のレビュー一覧

  • 中国の歴史1 神話から歴史へ 神話時代 夏王朝
    自分が新石器時代の知識があまりないこともあって、内容はやや難しいと感じた。特に知らない知名や遺跡の名前、読めない漢字も多く、歴史地図帳を開いて地図と照らし合わせながら読む事で理解が助けられた。今も中国は北部は「面」が主食で南部は米が主食というように食文化が異なるが、過去の自然環境の違いで穀類の野生種...続きを読む
  • 中国の歴史11 巨龍の胎動 毛沢東vs.鄧小平
    近現代中国を作り上げ牽引した毛沢東と鄧小平を反逆者と逆境者として表現している。毛沢東はその人生において常に反逆を志向していた、またその類まれな戦略家軍事指揮官としての才能は常に迫る具体的な現実の敵を打ち倒す際にはいかんなく効果を発揮したが、建国後の富国強兵と行った抽象的な建設事業においては権威の壁に...続きを読む
  • 父が子に語る近現代史
    「歴史は基本的に文学だと考えている。」私に言わせれば、事実は客観的なのに、観点は主観的に過ぎないだ。
  • 中国の歴史4 三国志の世界 後漢 三国時代
     劉備の支配する蜀は、魏に比べると1/5、兵の数では1\4なんだけれど、三国時代と呼ばれている。この3国がそれぞれ「皇帝」と名乗ってそれぞれ中華帝国の正統を競うところに魅力があるのだろう。
     ただこの本は「学術文庫」なので、冷静な目で歴史を追っている。結局どに皇帝も中国全土を統一できないのだ。
     考...続きを読む
  • 中国の歴史12 日本にとって中国とは何か
     この本の評価は難しい。内容的には2005年に出版された本をほんの少しお化粧して2021年6月に出版されたもの。この12巻が最後なのでこれで完結。とにかく題名が素晴らしい。「日本にとって中国とは何か」である。6人の歴史学者がそれぞれ分担して数十ページずつ書いているのだが、もう一度全面的に描き直してほ...続きを読む
  • 義経の東アジア
     平家台頭から源平合戦、鎌倉幕府設立に至る武家の成長、独立の時代の意義、特色を、広く東アジアにおける時代環境の中で論じた書。

     中国大陸では、遼・金と宋(南宋)の南北並立時代であった。 
     平家、平清盛が権力を振えた一つの理由が日宋貿易からの巨富であったが、中国からは宋銭、日本からは金(ゴールド)...続きを読む
  • 中国の歴史8 疾駆する草原の征服者 遼 西夏 金 元
     書名と表紙から手に取った。副題に「遼 西夏 金 元」とある。
     「唐」が終わり「元」を経て「明」が起こるまでの500年余の現在の中国国土に起こった複雑な国家群の解説だ。多様な民族が国を形成し、また多民族により国が形成されていた様子が詳細に語られている。特にキタイ帝国(契丹国)について多く語られてい...続きを読む
  • 中国の歴史2 都市国家から中華へ 殷周 春秋戦国
    史記の著述をまず疑うことから、この本は始まる。
    これは入門書ではない。史記の内容を一通り把握した人達向けの本。
    しかし、春秋と戦国時代の大きな違い、今でいう天下の概念で夏殷周を語るべきではない、という著書の主張は理解できた。
  • 朱子学と陽明学
    放送大学の教材を改稿した本で、朱子学と陽明学を中心に宋代以降の中国思想史をわかりやすく解説しています。

    本書とおなじタイトルで、名著として知られる島田虔次の『朱子学と陽明学』(1967年、岩波新書)がありますが、本書は「文庫版まえがき」で書かれているように、朱熹や王守仁らを「研究対象として突き放す...続きを読む
  • 父が子に語る近現代史
    これまでの近現代史とは少し視点、角度を変えてアプローチしたもの。幕末から現代に至るまで連綿と底流に流れている思想的背景と、常民という言葉を使いながら一般大衆が近現代の時代の空気を作っていき、この時代の方向性を決めることに常民が果たした役割は小さくなくいことを再認識させられる。これからの時代を生きる我...続きを読む
  • 増補 靖国史観 ――日本思想を読みなおす
    元は新書だった本らしい。この本の特色は、思想としての靖国神社のバックボーンを、神道ではなく、儒教/朱子学と規定しているところ。著者によると江戸時代の水戸藩で育まれた「国体」思想が、明治維新を経て、戦前に復活したということらしい。
    確かにこの「国体」概念というのは、日本独特のものである。日本は戦時中に...続きを読む
  • 増補 靖国史観 ――日本思想を読みなおす
    招魂社が西南戦争による多数の官軍戦死者を顕彰するために靖国神社と改称された。そして、それからは「「天皇のために戦えば、身分や出自を問われることなく、国家によって神として祭られる。」靖国は、官軍すなわち「皇軍」において、徴兵制度によって駆り集められた兵士たちをやる気にさせる恰好の装置だった。」のように...続きを読む
  • 江と戦国と大河~日本史を「外」から問い直す~
    NHK大河ドラマ「江」放送当時に読みました。その前の「坂本龍馬」は全然見なかったのですが、「江」は便乗本まで買ってしまいました。まあ「大河ドラマを10倍楽しむ」一冊というやつです。
    books197
  • 江と戦国と大河~日本史を「外」から問い直す~
    大河ドラマ観賞歴40年の著者が放映開始直前に書いたものらしいが、シナリオを知っていたのか当時から「それいけ江ちゃん大活躍!」的なドラマになる事を危惧していた感はある。 
    しかし登場人物の女性が度々口にする「私は戦が嫌いです」云々については、”乱世を嘆くのは当事者ではなく現在の書き手読み手”には納得、...続きを読む
  • 足利義満 消された日本国王
    [ 内容 ]
    かつて東アジア世界で日本が日本として生きていくために活躍した、一人の偉大な政治家がいた。
    その名は足利義満。
    いま、日本の行く末が不透明になりつつあるなか、六百年前に「この国のかたち」を明確に構想し、周囲の雑音を一掃してその構想に向けて邁進したこの人物に、われわれは学ぶべきことが多い、...続きを読む
  • 織田信長 最後の茶会~「本能寺の変」前日に何が起きたか~
    タイトルは釣りっぽいなぁ。信長関係ないし茶会関係ないし本能寺関係ないし。「東アジアから見た戦国時代の文化史」くらいの内容。そう思って読めば内容そのものは面白い。
  • 足利義満 消された日本国王
    2009.09.08
    ちょっと脱線おおいです。エッセーのような笑
    面白かったけどちょっと読み辛かった
  • 足利義満 消された日本国王
    中国から見た日本史の一環。今まで利益を得るために明にへつらった国辱者と言われていた義満を、国際関係を深く理解した孤高の改革者という位置づけにしています。
    説得力あると思いますが、こうすると北条時宗の評価と逆転するし、抵抗多いだろうなあ。
     脱線が過ぎるので評価はきびしめに。
  • 中国の歴史3 ファーストエンペラーの遺産 秦漢帝国

    隠していること、無ぁい?

    易姓革命による大量粛清(虐殺)、
    飢饉が来ると自分の子供を隣家の子供と交換して殺し、全て食する「食人」の風習、
    幼少期から、非情なやり方で女性を虐待する「纏足」の風習等、文化史としてしっかりと表記してくださいね。

    劉邦は、漢成立後、近臣を一族郎党皆殺しにしたと言う事実も、忘れてはいけません...続きを読む