岸美光のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初ドイツ文学、ずっと読みたかったトーマス・マン完読。
言葉にならないこの衝撃。
「だまされた女」は、初老の未亡人が若い男性に激しく恋焦がれる話。未亡人がその娘に自身の恋心を告白する場面が圧巻。そして衝撃のラスト。「だまされた女」ってそういうこと!?と想像を絶する展開に一気読み。
「すげかえられた首」は、優れた頭脳を持つ青年と見事な肉体を持つ青年、美しい女性の3人が織りなす物語。2人の青年の首と体が入れ替わるというあり得ないストーリーなのだけど、生々しい愛欲の表現が見事すぎてこれまた一気読み。こちらも、そうなる!?という衝撃のラスト。
意味がわからず退屈な場面がちょこちょこあって時々停滞する -
Posted by ブクログ
ネタバレ「ベニスに死す」というタイトルの映画としても知られている作品。(原作)
初老の主人公・アッシェンバッハは、若いうちから才能を発揮した威厳ある作家であり、長年仕事一筋だった。
そんな彼は、旅先のヴェネツィアで美しい少年・タッジオに出会い、少しずつ変わっていく。
アッシェンバッハはタッジオを宿泊先のホテルで見かけるたびに、その美しさを褒めたたえていた。
それはだんだんエスカレートし、神を想うような言葉でタッジオを礼讃していく。
ただ目が合うだけの存在。
互いのことは知っているのに、わざとそうしているかのようにそっけなくし、言葉を交わさない。
そんな微妙な関係が続く中で、タッジオはアッシェンバ -
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だまされた女、という題名と、裏表紙の説明から
初老の女性が、若い男性に骨抜きにされて社会的に、そして金銭面でだまされるのだと思っていたら違っていた。彼女が愛していた自然に裏切られたんだと分かった時には思わず声をもらしました。なるほど、そういう事だったんだ・・・。
すげかえられた首、二人の男と女が出てくるという事で、今度こそ女が騙されて首をはねられ、首と身体を男二人がわけて愛でるのかなと思っていたら違っていました。
この話は・・・なんていうか、シーターの我儘さが際立っていたような気がします。二人の男の友情の熱さに緩和されそうになっているけれど、なんて酷い女なんだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ理性の象徴のように尊敬されてきた人物が、実は俗物としての本性を抱えていたことが見える。彼は少年に対する自分の感情を一般的な好意と思い込み、老いらくの恋であることを自覚していない。このような孤独な人間ほど現実逃避に走りやすく、進展しない関係性に勝手に舞い上がってしまうものだ。コレラにかかり死ぬ間際でさえ、美しい少年に思いを馳せていた。最後に情熱を注げる相手に出会えたことは本人にとっては幸運だったのかもしれない。交流を避けたことで幻滅することなく、理想像にしたてあげ、勝手に死んだので、結末としては十分だ。恋は叶わないからこそ永遠であり、少年と関わらないことで美しく終える。
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トーマス・マンの傑作。
20代の頃は、若者に恋する年寄りって、身の程知らずだし醜いよなぁと思っていたけど、30代になって、少し気持ちがわかる。
若い身体、美しさってそれだけですごく輝いていて(まじで光輝いてる)、眩しくて、憧れてしまうし、自分の若い時代を振り返り、みすみす無駄にしたと悔やんでしまうものだ。
きっともっとしわくちゃになれば、更に思うのだろう。
最近、老いを受け入れる等の考えが急に増えているし、30代でも若いと言われ、公共交通機関を見渡すと、確かに40代以上ばかりで、さすが高齢化社会だと思うことも多いが、反面トルコに行って、若い人の多さに驚いた。
若い、というだけでエネルギーが -
Posted by ブクログ
ユングやアーレントなど、ドイツ語圏の本を読んでいるうちに、なんとなくトーマス・マンにたどりつく。
マンは、北杜夫経由で読み出して、高校時代にハマっていたのだが、だんだん重厚長大な感じに疲れて、長らく遠ざかっていた。
光文社ででているエロス3部作?(「ベニスに死す」「だまされた女/すげかえられた首」)が面白くて、その勢いで「詐欺師フェリークス・クルルの告白」に進む。
こちらも、なんだかエロスな話しで、面白いです。マンの重厚長大、質実剛健なイメージがかなり書き替えられたな。
この小説は、1910年に構想され、書き始めるのだけど、別の作品のアイディアがでてくると、執筆がとまり、落ちついたらま -
Posted by ブクログ
幼少時から生来の美貌と感受性で人に取り入り、とある貴族の子息に成りすまして世界中を漫遊した詐欺師クルルの半生…のはずなのだが、しかし、小説はクルルが出発地であるリスボンをようやく出発しようかというところで未完に終わる。もっとも、マンがこの小説を書き始めたのが35歳、その後、中断と再開を繰り返しながら、この第一部を完成させたのが79歳だと言うのだから、物語が完結する見込みは全くなかった。マン自身も、第2部以降を書くつもりはなかったようだ。
しかし、未完であることはこの小説の魅力を増しこそすれ、損なうことは全くない。むしろこの濃密さで世界中を旅されたら、とんでもない長編小説になってしまって、大変 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【本の内容】
高名な老作家グスタフ・アッシェンバッハは、ミュンヘンからヴェネツィアへと旅立つ。
美しくも豪壮なリド島のホテルに滞在するうち、ポーランド人の家族に出会ったアッシェンバッハは、一家の美しい少年タッジオにつよく惹かれていく。
おりしも当地にはコレラの嵐が吹き荒れて…。
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