白川貴子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白かった!レミゼの折り込みがそこそこにあってレミゼを知っている人間としての面白さもあったのだけど、それ以外にも主人公メルチョールの生い立ちが事件の合間合間に挟まれていて、そこが一人の孤独な男が愛を知るようになる迄の道のりとしてまた面白い。事件そのものは謎もありつつ比較的大きく動かないのだが、主人公の回想を挟みながら進むので事件そのものが回想と重なり合うことで重層感が出る。
レミゼ知らなくても映画一本見た様な満足感のある本なんだけど、レミゼ知ってたら主人公のバルとジャベのハイブリッド感とか素晴らしいのだよ。キャラとしてはジャベが一番好きな主人公だけどその生い立ちにはバルを踏襲している描写もあっ -
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ネタバレ惨劇から始まるスペイン産ミステリ。
スペイン、珍しいな。
あんまり思い浮かばないな。
『風の影』とか?
ならず者あがりの刑事メルチョールが”何も起きない町”、”旅の途中で通りすぎるだけの場所”テラ・アルタで出くわした凄惨な事件。
この町きっての富豪で町の産業を一手に握る「アデル美術印刷」の夫婦が屋敷内で拷問を受け、無惨な姿で殺されているのが発見された。
誰が、何のために?金品目当てか、怨恨なのか?
おどろおどろしい事件を巡る調査の日を追う物語が続くのかと思いきや、かなりのページを割いて主人公の過去に飛ぶ。
かたや事件究明の方はするすると手の中を溢れ落ちて行き、進展らしい進展は起きないまま過 -
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荒廃した村に次々と現れる自殺希望者と、それを迎える怪しげな「天使」とのやり取り。
設定が全体的に謎のままどんどん話がオムニバス的に進んでいくけれど、どれもこれも読後感が絶妙。ずっと薄暗い道を進んでいくような、でも心細くならない感じが、大変好みでした。
以下、印象に残ったフレーズ。
「作家を偉大たらしめるのは、夢で見る銀の糸を、現実世界の針の穴にとおす腕前なんだ、先生はいつもそう言ってた。」
「人生とは炎のようなものだ。横笛の音色はそう語っていた。ある程度の年齢に達すると、炎には人生の思い出が重なり合ってくる。」
「死はどんなふうに踊るんですか? そう聞くと、生まれて初めて夜遊びに繰り出 -
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Posted by ブクログ
ボブ・ディランがノーベル文学賞をとって話題になっているが、このハビエル・マリアスも候補に挙がっていた一人。ノーベル賞は政治的な意味合いが強いので、ボブ・ディランにいったのだろうが、今さらという気もする。それよりは、もっと読まれてしかるべきなのに、世界的にはあまり知られていない作家に光を当ててほしいものだ。オルハン・パムクもパトリック・モディアノもノーベル賞を受賞していなかったら、日本でこんなに翻訳されることはなかったろう。
ハビエル・マリアスを読んでみようと思ったのは、候補に名が挙がっていることを知り、どんな小説を書くのだろうという興味を持ったからだ。なかなか個性的な作家で、特にその文体が特 -
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現代人らしい唯物主義よりな意識を持っていた脳神経外科医が、自身の臨死体験を赤裸々に綴ったのが本書である。
自身の体験を盲信せず、医療従事者である友人知人や関連書籍を使って現代化学・現代医学に根ざした客観的視点も取り入れているのが新しく、また、その検証の結果、医学的・化学的に説明できる臨死体験と説明できない臨死体験があることが明らかになったというのが面白い。起きた事実を認め、しかし盲信することなく客観的に検証する。これこそ正しい科学的なアプローチだ。事実を検証することなく「あるわけない」と全否定する、または仮説に合うように事実を捏造するなど、きわめて非科学的だ。
最近に「天国の存在が“科学 -
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スペインの作家ハビエル・セルカスの作品。初めて知った作家であり、予備知識なく読み始める。
主人公のメルチョールは娼婦の母に育てられ、犯罪に手を染めることで刑務所に入るが、そこでユゴー作の'レ・ミゼラブル'を知り、母が殺されたことを契機として警察官として生きる道を模索する。風変わりな弁護士の助けもあり、希望が叶い、警察官として働き始めるが、テロリストの犯罪に直面し、全員射殺で未然に防ぐが、復讐から保護されるため、田舎町テラ・アルト勤務へと移される。犯罪とは無縁と思われたこの町で、資産家夫婦が惨殺死されるという事件が発生、母殺害の犯人を見つけ出すこともできず、資産家殺人の犯人探 -
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スペインの田舎町、レ・ミゼラブルを愛する刑事が富豪夫婦の殺害事件に挑むが… #テラ・アルタの憎悪
■あらすじ
スペインのテラアルタで発生した事件、村一番の富豪夫婦が拷問して殺害された。かつての投獄され、書籍『レ・ミゼラブル』と出会いによって刑事になった経緯があるメルチョールが捜査にあたる。
しかし決め手となる証拠がでず、捜査が打ち切られようとしてた。彼は独断で捜査を進めようとするも、政治力によって試みが困難となっていき…
■きっと読みたくなるレビュー
不思議な魅力がある主人公と、スペインにある田舎町の暗部が見え隠れするミステリーです。
物語の筋としては大きく二つで、富豪夫婦の殺害事件の捜 -
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ネタバレ2024年の3冊目は、スペイン産ミステリーです。
スペインのミステリーを読むのは、もしかしたら初めてだったかもしれません。かなり良いです。
主人公は、「レ・ミゼラブル」によって、人生が変わった男メルチョール。獄中で「レ・ミゼラブル」を読んだ事で、ジャベールに心酔し、母親を殺した犯人を捕まえる為に警察官になります。4人のテロリストを射殺した事で一躍、ヒーローとなりますが、テロリストからの報復を恐れた警察上層部が、カタルーニャのテラ・アルタへの移動を決めます。メルチョールは、テラ・アルタで最愛の人にめぐり逢い、娘も生まれます。
そのテラ・アルタで、美術印刷会社の社長夫妻が、拷問され殺されているのが -