野田智義のレビュー一覧
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"リーダーとは何か"を旅に見立てて、自分自身を動かす一歩(=リード・ザ・セルフ)から、社会を変える(=リード・ザ・ソサエティ)までのプロセスを哲学的かつ実践的に描いた一冊。例えば並行して読んでいた成瀬シリーズ(宮島未奈)の成瀬あかりはまさに「見えないものを見て」行動を起こし(リード・ザ・セルフ)、島崎みゆきというフォロワーを得て(リード・ザ・ピープル)、ぐるりんワイドや現地で成瀬を見た視聴者・来客に行動させた(リード・ザ・ソサエティ)という、リーダーの経る旅をしているんだなと解像度が高くなった。
会社でチームリードになったばかりの人には特におすすめで、プレイヤーとして培った信頼貯金の使い方であったり、魅力的な人間力の高め方(人の営みに対する理解と尊敬)がとても学びになる本だった。最近読んだ「14歳からの社会学」「アルケミスト」などの言及があり少し嬉しくなった。 -
Posted by ブクログ
大学生時代に尊敬する人にお勧めされ読んだ一冊。
改めて転職や30代を前に読み直ししてみた。
当時は、リーダーになるためには自分→周り→社会というプロセスを踏むのだくらいの理解であった。
改めて自身が様々な経験を重ねた上で読んだ時に得られた気づきは大きかった。
特に徳や人間力などがいかにリーダーシップに欠かせないか、そのための教養の必要性も学べたのは大きかった。
また、映画『生きる』で示されていたように本当に自分が何を成し遂げたいのか(周囲の評価や声と関係なく)、ということの意味の深さと向き合う大切さを感じられた。
今のタイミングだからこそ改めてそのテーマに向き合い、どう生きるか問うてみたい。 -
Posted by ブクログ
2007年初版刊行。
ISLの創設者である野田氏と、組織心理学と経営学を専門とする神戸大学名誉教授の金井氏による共著。
本書では、リーダーシップを「旅」というメタファーを使い、著者らが考えるリーダーのあるべきスタンスを説明する。
実践と理論の両方に精通し、リーダーシップというものを考え尽くした著者らだからこそ、本書で語られる内容には重みがあり、個人的にとても納得できるものだった。
久々に繰り返し読みたい本に出会うことができた。
本書ではまず、「マネジメント」と「リーダーシップ」を区別する。
マネージャーは、既存の組織の成員に対して、権威と権限をもって働きかけ、コントロールしようとする人たちを言う。
一方、リーダーは、「見えないもの」、つまり新しい世界を掲げ、人々の内在的な意欲に基づく行動を誘発し、同じ方向に歩みを共にする。
その上で、リーダーシップの発生を旅に例え、三段階に分ける。
①lead the self 自らをリードする
何のために行動するのか、何のために生きるのか、についての自分なりの納得感のある答えを明確に持つ。
②lead the people 人々をリードする
フォロワーの共感を呼び起こす。自分の夢が周囲の人たちに伝播し、周囲のみんなが、リーダーが見る「見えないもの」を見ようとして、自発的に動き始める。
③lead the society 社会をリードする
「我々の夢」となった段階の後で、その夢は社会のために、次世代のために、意味のあるものを残すという世代継承性というテーマが見えてくる。
その他、リーダーに必要な資質や、経営組織論に基づく理論などが豊富に解説されており、短い本でありながらも読み応えがあった。
また、後半では「日本の最大の問題は、「エリート」の不在」だと警鐘を鳴らす。
近代以降、人類の絶え間ない努力によって、我々は自由という最大のギフトを手に入れた。
しかし、個人が全員、自由を自分のためだけに謳歌すると、自由を支えている社会は維持できなくなる。
個々人の自由を守るためには、誰かが自分の意志で、社会に対する責務を果たさなければならない。
社会に内包されたこのジレンマに耐え、責任を負う個人がエリートであり、リーダーシップの旅を歩き続け、リーダーになる人である。
そしてリーダーの旅を経て得たものを再び社会に還流させていく。
それが、「ノブリス・オブリージュ」だと。
この一連の主張に、私は強く共感を覚えた。
現在の日本では、恵まれた家庭環境に育ち、良い大学を出て、一流と呼ばれる企業や官庁で働く人たちでさえ、まったく主体性に乏しい。
世間的には一流と称される企業で働いている自分だからこそよく分かる。
自分のビジョンがなく、上司や周りが言うことに流され、保守と既存エコシステムのメンテナンスに専念している人が多い。
厄介なのが、彼らが無自覚的だということだ。
自分のビジョンと保身を天秤にかけ、葛藤と苦悩の末に保身を選んでいるわけではなく、視野が狭く、視座が低い故に自分のビジョンがない。
本書で言えば、①lead the self すらできていない状態だ。当然、リーダーシップの欠片も持ち合わせない。
とはいえ、この状況の全責任が彼ら自身にあるわけでははい。
同じようにグランドデザインを欠いた日本の教育、オールドメディアの洗脳の影響も当然ある。
だから、今やるべきことは、一刻も早く、一人でも多くの強いリーダーを日本から排出できる環境を整えることだ。
リーダーシップの素養がある若い人をスクリーニングし、彼らに学習と挑戦の舞台を与える。
そして、無能と嫉妬によって若い有能なリーダーの足を引っ張る老害を排除する。
官民の両方がこれに取り組まなければならない。
この不安定で流動的な時代において、日本の復活のためには、変革と創造を取り扱うリーダーを一人でも多く増やさなければならない。
この想いを強くさせてくれた良書だった。
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Posted by ブクログ
・人々に規範や価値観を共有しましょうとただ呼びかけただけでは、その通りになることはまずありませんが、ある体験を共有していただくことで「いいなあ」と感じてもらうことができれば、そこから先、人々の規範や価値観に変化が生じる可能性があります。
・社会の変化が急激に起きる際、人々は自分たちにとって大切なものはなにか、自分たちがどんな社会を望むのか、といったことを考えるよりも、新たな仕組みや枠組みに対応するのに精一杯です。具体的には、自分だけ取り残されるのではないかという不安や恐怖が広がり、市場や行政がそうした感情を利用して近代化を推進していったのです
・共同体には必ず維持コストがかかります。人々がそのことをわきまえない場合、共同体なんかにコストを掛けるよりは、システムからベネフィットを引き出すほうが、コストパフォーマンスは高いというふうに損得計算するようになります。すると、システムに依存するうちに、共同体を空洞化させてしまうのです
・欧米の事例を理解するのに重要なのが、社会学で言う「相対的剥奪感」と「外部帰属化」という概念です。人は、絶対的な不満というより、何かを比較の対象とした不満、「過去よりもひどい」とか「周りよりも状態が悪い」といった不満を感じやすい。加えて、わかりやすい異物や昔はなかったような対象を指して「わりのはこいつらだ」と決めつけがち。
・埋め合わせようのない不安を感じる人が、その不安とは関係のない埋め合わせ可能な別の不安を持ち出し、埋め合わせようとする。それが神経症です
・アーキテクチュアル・パワー:人を快・不快を感じる動物として、そのコントロールをアーキテクチャによる管理化を進める
・リッツァのいう「マクドナルド化する社会」とは、人間が動物でありさえすれば回るような脱人間化・没人格化・損得化が進んだ社会です。そういう社会では、人々は「かけがえのない人間として扱われたい」という感情を無視されることで疎外感や不安感を抱くようになる。それに対処するために使われるのが「ディズニーランド化」、すなわち祝祭的消費による感情的回復です。システムが作り出した裂け目をシステムで埋めている
・人々が現実の世界で幸福を感じながら生きていけるようにしていくことがリーダーの役割
・社会の秩序を整えるための統治には「教育を充実させて人々を倫理的な主体に育てる方法」「法制度とテクノロジーを強化して監視と賞罰を徹底する方法」「アーキテクチャを使って、快・不快を通じて人々を制御する方法」がありますが、これらはいずれもかなりのコストを要します。これに対し、ディズニーランド化を利用した統治、とりわけドラッグやゲーミフィケーション(AR・VR)を用いて人々の脳内を制御して不満や不安を解消させる統治が実現すれば、コストが劇的に低下する可能性があります
・システム世界では、どこの誰が作ったのかわからない安いものを食べています。これに対して「仲間のためにいいものを作りたい」と思っている仲間の努力にお金を払い報いながら食べる営みは、食べる体験を完全に別物にします。
・リーダー個人の損得のためといった目的では動きは広がっていかないので、目的には体技とか利他性がなくてはいけません。また、信頼がベースにないと人はついてきてくれないので、リーダーが自分の価値観をしっかり持っていることもすごく大事
・コミュニティパワー:地域の人々や地域の発展に関わり合うことで、みんながオーナーシップを持てるようになる
・共同自治体を確立していくプロセスにおいて求められているのは、そうしたエリートではない。むしろ必要なのは「縁の下の力持ち」です。影からサポートし、自分は目立ちません。自分の手柄も相手に渡す人です。
・立派な人:利他的で倫理的であること -
Posted by ブクログ
同僚のおすすめ本として紹介があったので購入。
【ざっと内容】
次世代リーダー輩出に取り組み、至善館の理事長を務める野田氏と金井氏の対談形式でリーダーシップについて語られた一冊。リーダーシップとは何か?マネージャーと何が違うか?どのようにリーダーシップは育まれ、発揮されるか?等が語らえる。
【こんな人におすすめ】
・全会社員
・グループにおいて誰かを率いている方
・グループにおいて影響力を発揮したいと思っている方
【感想】
ここ最近で一番蛍光ペンを引いた一冊になった。30代になると、会社から管理職を意識した研修や昇格試験が求められる機会が増えてくると思うが、正直どれもピンと来ておらず、「会社としてやることはやったので、あとは現場で適当にやってください」と言っているようにしか私には見えず、リーダーとして尊敬される人は昔から尊敬されているし、ひどい人は研修前後で何も変わらない。
本書を読んで明日からチームに何ができるか?を議論し、行動宣言して、それをチームでフォローアップした方がよっぽど効果的と感じた。それほどにリーダーシップを日本語でうまく言語化できていると思う。ぜひ、ご一読ください。 -
Posted by ブクログ
マネジメントとリーダーシップの違いを教えてくれた良書だと思った
気にいったフレーズには赤線を引きなが読むが、かなり赤線を引いた。(書き出せないぐらい)
マネジメントを勉強する機会も研修も数多有るが、リーダーシップを気付かせてくれる機会は少ない
人生に影響を与えてくれた。
■気付き
リーダーシップとは「見えないもの」を見る旅
その人が実現に向けて行動を起こす
旅はたった一人で始まる(桃太郎は鬼退治をやってみようと一人で決断した)
リーダーシップはフォロワーを前提とするものではない、フォロワーを生み出すプロセス
フォロワーは旅の途中で現れる。リーダーと出会い、一緒に旅をする
いつしか、フォロワーの目にも、見えないものが見え始める
リーダーシップは後天的に身につくもの
リーダーは「結果としてなる」もの
英雄が旅に出るのではなく、旅に出てから英雄になる
リーダーは辛い時こそ皆を元気づけるために前向きに振舞うもの
偉大なリーダーとは、自分の夢を皆の夢であるかのように言い換えられる人
リーダーは「見えないもの」を見て、見ようとして、新しい世界を作り出す
マネージャーは「見えるもの」を分析し、問題を解決して行く
リーダーは辺境(傍流から)から生まれる
リーダーとして磨かれるのは「修羅場」体験をした時
「修羅場」の条件は、最終意思決定者が自分自身であること
■気を付けること
社長、部長、課長、という地位自体はあくまでも組織内のポジションにすぎない
「部下」は「部下」であって、喜んでついてくる「フォロワー」ではない
貯金(貯めた信用)は、おろして使う、または捨てる、ことも大事
(前のドアを開けるためには、後ろのドアを閉めなければならない)
■そのために意識すること
基軸を持つ、ぶれない
①リード・ザ・セルフ
②リード・ザ・ピープル
③リード・ザ・ソサエティ -
Posted by ブクログ
リーダーシップの旅を読んでファンになっていた野田さんと宮台さんの対談本。好きなお二人の本だけにとても楽しみに読んだら、まさに自分が今悩んでいる部分に対しての処方箋となるようなコメントが数多く散りばめられていた。
とはいえ、簡単に世の中を変えられるわけでもないけれど、少し方向性が見えたような気がした。
分断を生まないようにしながら、一人一人が傍観者にならず当事者意識を持って参加する共同体を作ることが大事。それをできるファシリテーターが必要なのだと。
ファシリテーターと表現されているが、個人的にはリーダー的な人なのかなと理解している。それも偉そうなニュアンスではなく、コミュニティ意識をもってそのコミュニティを少しでもよくしたいと願う人なのだろう。 -
Posted by ブクログ
マネージャーに昇格してから、なかなか上手くいかない。というモヤモヤ感を持っている中で上司に紹介されて読んでみました。
他の人も書いていますが、あくまでもリーダーは生まれながらにしてリーダーなのではなく旅を経てリーダーになるのだということ。
この旅というメタファーが秀逸で、何かにチャレンジして、達成して、生還して来るということが必要だと言う意味を含んでいます。(逃げちゃダメだということですね、反省です。)
また、リーダーとマネージャーとは何が違うのか、リーダーにはどのような成長段階があるのか、リーダーの要件(構想力·実現力·意志力·基軸力)とは何か、リーダーになった際に気をつけるべきことは何かということが学べます。
時間をおいて読み返して見るときっと別の気付きが得られると感じられる非常に勉強になる本です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ冒頭で語られる「日本は社会の底が抜けた状態」というのが、本書を読むことでよく理解できる。また講義形式のせいか、難解な社会システム論が理解しやすく語られているのと、受講生による質問で議論が更に深まっている。
本書では、市場・行政を”システム世界”と呼び、その拡大により、人々の感情劣化(利他性が損なわれ、損得勘定が主な価値判断となる)と孤立化が進んでいると言う。それが仲間意識の希薄化・分断となり、民主政の機能不全に繋がっている。
民主政は、それを営む人間の”善意”や”倫理”が前提となっており、いかに維持が難しいかということと、自分自身も損得勘定の価値判断にすっかり染まっていることに気付かされた。 -
Posted by ブクログ
システム世界の全域化と共同体の空洞化、その結果として孤独死や人間関係の希薄化といった問題が出てきた
合理的な判断と行動の積み重ねが、人間同士の関係性を根本的に変化させ、僕らの精神的安定性を失わせている
短期的な便益を享受するために意図的にシステムに依存する行為(自律的依存)が気がつけばシステムなしには生きられない他律的依存に頽落(たいらく)する
生活世界は維持にコストがかかる
システム世界の全域化が始まると、社会の変容は基本的に不可逆となる
生活世界の維持をみんなで図ろうとしても、必ず誰かが抜け駆けしてシステム世界の便益を享受しようとしてしまう
その誰かは、他の人々と違って生活世界にタダ乗りするだけで、維持に努力を払おうとしない
孤独に耐えられない弱い個人を包摂する役割を果たしてきた生活世界がシステム世界に置き換えられると、人間関係が流動的になり、われわれは入れ替え可能な不確かな存在となる
その結果、引き起こされるのが 感情の劣化 であり、排外主義の広がりやヘイトスピーチ、高齢者クレーマーの増加といった社会現象も同じ要因によって生じる
何が自分にとって良い社会なのか
人を助けるとリターンが返ってくるから助ける社会と、困った人にただ善意から手を差し伸べる社会
権力をベースにトップダウンで命令を下すのではなく、人々の信頼を得て共同体自治の確立を向けて人々をエンパワーするリーダー
利他的・倫理的で、周囲から こんな人になってみたい と憧れるリーダー