松平千秋のレビュー一覧
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ご存知トロイ戦争の一大叙事詩。
戦いシーンは、結構、細かい描写で血みどろなのがびっくり。あまりにも人間くさい神々と、神にもみまごう英雄たち。それを描写する雄大で優雅な比喩が気持ちいい。また、もとは韻文ならではの、決まり文句の枕詞もなれるとなかなか気持ちいい。
要するにとっても面白かったのですが、たぶん10年前に読んでも全然面白くなかったろうな、と思うと、この面白さがどこからくるのか、が不思議です。いろいろな物語を知って、結局、その骨格と醍醐味は同じものだ、と知ったからかな?先を急ぐこと無く、言葉を楽しむ、という余裕ができたからか・・。要するに年を取った、ということですかね^^) -
Posted by ブクログ
ネタバレ血なまぐさい戦争英雄譚だった「イリアス」とはうってかわって、戦後のオデュッセウスが散々苦労して国へ帰る冒険譚。様々な民族や怪物、海の難所を超えて最終的に部下たち全員と船を失うことになるまでを語っている。イリアスはひたすら英雄たちが戦いあって臓物やら脳、脳髄やら飛び散りまくっていたが、こちらではそういった現実的なグロ描写はかなり抑えられてファンタジー的な趣が強い。もともと神たちが人間に話しかけ、力を貸したり罰したりという世界観がベースにあるから、ファンタジーな怪物もそんなに違和感なく地続きに受け止められているのだろうか。
オデュッセウスが知恵や工夫で怪物たちに立ち向かうのも面白いのだが、長年に渡って主不在の実家を荒らしている求婚者たちにどう落とし前をつけさせるのかとか、今後同時並行している息子テレマコスの旅で青年の成長が見られそうなので下巻が楽しみ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読み終わって、えっここで終わり!?という感じ。戦争の途中から始まって、途中で終わってしまう。主人公というべき存在のアキレウスの怒りから始まる物語ではあるが、再三予言されるその死までは語られず…と、ちょっと消化不良感がある。食事や火葬の手順が細かく書かれていたり、麦の刈り入れや野獣に食われる羊など、当時の風俗をうかがい知れる例えの描写は相変わらず面白いけども。
アキレウスがかなり頑固で残忍なので(特に仇の死体を何日も馬車で引きずり回すのはドン引きした)、個人的には敵方の完璧兄貴ヘクトルのほうが好感度が高い。親や嫁の嘆きようも哀れを誘うが、お父さんたら他の子に「お前らがヘクトルの代わりに死ねばよかった!」って、それは言っちゃあおしまいだよ(笑)。どうせならへたれの弟がヘクトルの仇を打つところまで読みたかったなあ。「オデュッセイア」は戦後の話のようなので、トロイア戦争のあらすじが追えるような本を探してみようかと思う。