佐江衆一のレビュー一覧

  • からたちの記 女剣士道場日誌

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    副題が「女剣士道場日誌」とあるように、里絵さんという女剣客が主人公のお話です。佐江さんの文章はホントに「清冽」な印象を受けます。
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    2012年08月14日
  • 黄落(新潮文庫)

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    94歳の父と、87歳の母を抱えて暮らす主人公、トモアキと妻の蕗子。

    主人公が小説家であり、仕事場が家であるという点で、他の要介護者を抱える家庭とはすこし環境が違う。
    この主人公は、両親と「スープの冷めない距離」というには遠いがそれほど離れていない距離で暮らしている。そして、週に一度は顔を出していた。
    介護が本格的に必要になってからも、通院など自らがやり、「妻にすべて背負わせたくない」と考えているところもある。

    サラリーマンであれば、通院の付き添いも難しいだろう。
    こういう点においても、介護は女性の仕事とされるのが「当然」であるというのが伺える。
    主人公はそれを知っていて、自分は

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    2011年01月27日
  • 剣と禅のこころ

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    作家である著者による、苦労の体験をふまえた、とらわれずに広範囲に目を向けた洞察は非常に参考になる。特に50裁からが面白いは非常に参考になり勇気づけられた。
    ともかく読んでみて、味わってみるというのが正しい。

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    2009年10月04日
  • 江戸は廻灯籠

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    一作の脇役が次の作の主役になり、それが続いてぐるりと一周。すべてがひとつの輪になる構成に目眩がする。

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    2009年10月04日
  • あの頃の空

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    ネタバレ

     「あの頃」・・・。人生のあの日、あの一刻が心に浮かんできます。子供の頃、結婚したころ、定年の頃・・・。佐江衆一「あの頃の空」、2012.10発行。定年をテーマにしたものなど短編8話。駅男、僕が十五歳だった頃、あそこ、花の下にて の4話が読み応えがありました。

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    2023年10月29日
  • 兄よ、蒼き海に眠れ

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    壮絶な兄弟の戦争体験。兄は回天の搭乗隊員、弟は学童疎開。兄は海軍でシゴキにあい、死を当たり前に考えるようになる。それでも22歳の若さで死にたくない!と本音が垣間見えるシーンが辛すぎる。弟は学童疎開でひもじく霜焼けを悪化させ、また上級生からのいじめにあう。両親妹は大空襲で亡くなってしまう。戦争の悲惨さをこれでもか、と味わえる作品。回天という狂った兵器に乗れる異常さ。回天のことを読むのは2冊目になる、もっと知りたい。

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    2022年08月15日
  • 黄落(新潮文庫)

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    考えさせられる本。 親の死を願ってしまうのは悲しい現実かも。迷惑をかけずに死ぬのは難しい。しかし主人公の親父はわがまま過ぎ。
    「母が死ぬまでの辛抱である。父もそう長くはないだろう。今度こそ1年か2年だ。」

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    2025年12月18日
  • 北海道人 松浦武四郎

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    北海道と命名し、北海道を探検し、地図にあらわし、アイヌの生活を知らしめたたことで有名な松浦武四郎。武四郎の生きた時代は、黒船に幕府がおののき、勤王の志士が跋扈した。勝海舟はじめ、時のひとが助言を求めているなど、交友関係は意外なほど広い。水戸の徳川との関係が深かった。

    北海道で記録したことの全てを出版することはできなかったのは、松前藩がアイヌを迫害していたことを告発すれば、水戸に迷惑がかかるからだった。江戸に戻され、何度も松前藩に直訴しても改善されなかった。
    アイヌを理解し、文化を重んじ、人柄と知恵を尊敬した武四郎。物語としても面白い。

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    2019年03月22日
  • エンディング・パラダイス

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    88歳の昭平は父との遺言を果たすために、瀕死の日本兵である父を助けてくれたニューギニア奥地のゴラン村に辿り着く。同行するのは豪華客船で知り合ったアメリカ人の90歳の若々しい肉体をもつツルコ。
    狩猟と農耕、物々交換で平和に暮らす桃源郷のような村にも開発の嵐が吹き荒れるが・・・
    ニューギニアに着くまでの第一章は全く面白くなく、それを我慢して読み続けるのが若干辛いか(笑)

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    2018年08月22日
  • エンディング・パラダイス

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    火を熾す
    水を汲む
    機を織る
    その地でできた
    モノを食べる
    その地で暮らす

    当たり前であることが
    当たり前でなくなってしまった

    先日、訪れた
    保育園では
    プラスチックのおもちゃは一切なく
    木の床と
    土の庭で
    子供たちは
    何不自由なく
    遊んでいた

    当たり前であることが
    当たり前でなくなってしまった

    今さらながら
    考えてしまう
    我々は どこから来て
    我々は どこに行こうとしているのだろう

    敗戦から73年目の夏に
    読んだ一冊

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    2018年08月15日
  • 黄落(新潮文庫)

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    主人公は還暦間際の夫婦。92歳の父、87歳の母の介護を巡る物語。生活上の様々な問題や人には言えないような心情が、非常に生々しく描かれています。年老いた両親への嫌悪感、介護疲れからうっすらと両親の死を願ってしまう様子など・・・。仮に人からそういった愚痴を聞けば、親に対してそれはひどいと思ってしまっていたかもしれません。でも、単純にそうは思えないリアルさがあります。

    自分は主人公の夫婦の子供に当たる年代です。将来自分の身近にも起こるかもしれない、あるいは既に起こり始めている問題として感じてしまい、怖くなりました。

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    2014年01月05日
  • あの頃の空

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    ネタバレ

    定年退職後の人生を歩む男性たちの短編集です。

    小説家を目指しカルチャーセンターに通ったり、
    英会話を勉強しだしてホームステイ短期留学に挑んだり、

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    2013年07月21日
  • 士魂商才 五代友厚

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    安政4年、薩摩藩の五代才助が23才で長崎海軍伝習所に入って以降の人生と数々の偉業が分かる小説。薩英戦争では捕虜になり同じ薩摩藩士から命を狙われるなど世界を知ってるが為に理解されない辛さがあった事など改めて知った。維新後、官を辞してから実業家としての数々の偉業は見識の深さや先見性と物凄い行動力があったからこそ成せる事だったと思う。沢山の妾やその子供達もいてなんとも豪快な人生だ。

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    2013年03月20日
  • あの頃の空

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    中年の思いが込められた短編が8つ.ホームステイの顛末を書いた「カントリータイム」が面白かった.戦後の貧しい暮らしを示している「僕が15歳だった頃」も良い.

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    2012年12月20日
  • 黄落(新潮文庫)

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    50代後半の老夫婦が、90歳を超えた両親の介護を行う、いわゆる老老介護の物語。
    20代のころは、5年後10年後の計画を立てるとき、自分ひとりだけの未来の姿を想像するだけでよかった。しかし30歳になった今は、5年後10年後の両親の年齢・健康状態も、不確定要素として自分の未来に組み込んで計画しなければならない。この本に書かれている、おそらく真実であろう老人介護の現実は、かなり確度の高い自分の近未来のお話なのだ。あー…暗くなる…。

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    2009年10月04日
  • 黄落(新潮文庫)

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    老人介護文学。

    一度読んだらいいと思います。
    いまの時代、だれしも、こういう将来が待っているんじゃないかな。

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    2009年10月04日
  • 江戸職人綺譚

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    202506/好みではない結末(一話目とか)もあったけど、各職人・仕事ぶりの描写が優れていて面白かった。

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    2025年08月13日
  • 65歳おじさんの 英会話勉強が楽しくなる本

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    介護を終へて、英語を勉強する
     芥川賞とれずじまひ、『黄落』がベストセラーになった作家・佐江衆一の唯一の英語本。電子化されてゐたので読んでみる。

     思ひついて、一気呵成に英語を学んだのがよかったやうだ。カナダやニュージーランド、ペンシルベニア大学に短期留学してゐて、お金あったんだなとおもった。

     平凡だが楽しい本で、ホームステイの写真付き。
     後半では妻を連れて旅行に出かけたりしてをり、充実した英会話の日々が送れたやうでなによりだ。
     ホワイトハウスの観覧整理券のために、ひとりで朝4時から並んだともある。ペンシルベニアの茶器の展示で、積極的に周囲のアメリカ人に話しかける著者がほほゑましい。

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    2024年12月15日
  • 江戸は廻灯籠

    購入済み

    普通かな

    以前時代小説にはまって、よく読んでいたのですが、こちらの作者は初めてです。特に劇的な展開があるわけではないですが、市井モノとして、穏やかに読めました。

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    2021年01月11日
  • 黄落(新潮文庫)

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    訃報を知り、過去(2007年12月17日)の読書メモ

    *****

    12月も終わりだというのに、ことしはやっと銀杏が黄葉して散っている。さすが陽に映えるさまは美しいけれど、落ち葉のかさこそ鳴るはもの悲しい。

    『黄落』の書き出しの「こんにちでは六十五歳以上を老人というから、わたしはまだ老人の部類ではないが、還暦を間近にしてちかごろ、駅の階段で時折つまずく。」という主人公が「老親老後」をおくるもの悲しさは身にしみる。

    私小説かとまごうフィクションは、高齢社会突入現代の普遍性が散りばめられている。主人公といっしょに「どうしたらいいんだろう」と途方に暮れる。

    30年くらい前有吉佐和子の『恍惚

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    2020年11月03日