増田義郎のレビュー一覧

  • ペドロ・パラモ

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    何度読んでも心が震える。この物語が終わってしまうのがもったいなくて、ゆーっくり、ゆーっくり読む。訳も素晴らしいと思います。映画化されているそうですが、この世界をどのように映像化しているのかという興味はあるものの、こわくて観られません(恐怖ではなく)。

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    2010年06月17日
  • ペドロ・パラモ

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    顔も知らない父親、ペドロ・パラモを探しに来たファン・プレシアドがたどり着いたのは生者と死者の交わる町だった。町をさ迷ううちにファン・プレシアドも息絶え、墓の中で死者たちは囁き続ける。
    ペドロは冷酷な地主だった。町は発展するが、ペドロが唯一欲したのは、幼馴染のスサナだけだった。30年ぶりに再会したスサナは精神に異常をきたし、父親とは近親相姦にあった。スサナを手に入れたペドロだが、二人はまともに言葉を交わすことも出来ない。スサナの死後ペドロは町を荒むに任せる。数年後、ペドロの私生児の一人がペドロを殺す。ペドロは乾いた石の様に大地に倒れ、その数年後、ファン・プレシアドがペドロを探しに町へやってくる…

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    2020年02月05日
  • 西太平洋の遠洋航海者

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    有名な「クラ」をめぐる本の縮約版。
    フレイザーとはまるでちがう、フィールドワークに徹した姿勢でとりあげられる、さまざまな現地の事象に惹きつけられる。
    「クラ」これはすでに「構造主義」の構造ではないのか?

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    2010年05月07日
  • ペドロ・パラモ

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    再読&模写。
    これは・・・読めば読むほど言葉を失ってしまう。二回読み、すべて書き写して、断章ごとに分析して、圧倒される。そしてもう一度読む。
    書き写すと、非の打ち所の無い簡潔な文章と精密機械の設計図のような構成が身にしみて感じられ全然苦じゃない。
    何度読み返しても永遠に「発見」し続けることのできる作品。そう断言できるくらい細かいからくりが多い。
    20年かけたという翻訳も凄まじいできばえであるが、この原文を堪能せんがためだけにでもスペイン語をはじめたくなる。
    うわー、ベストなんかなあ、これ、ベストかもしれん!

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    2009年10月04日
  • 物語 ラテン・アメリカの歴史 未来の大陸

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    1998年の本だが、いま読んでも色褪せているとは思われない。全体的に植民地時代のフォーカスが強いが(キューバ革命が最後にちょろっと、というレベル)、個別のエピソードも面白かった。通史を理解するのにとても役立った。

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    2025年12月17日
  • ペドロ・パラモ

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    ネタバレ

    ラテンアメリカ文学の金字塔的作品。
    ストーリーを断片化させることで、徐々にペドロ・パラモの人物像が浮かび上がらせていく精緻な構成が凄すぎる。
    ガルシア=マルケスの「予告された殺人の記録」と同様、すでに荒廃した過去の街を郷愁を込めて描いている。
    ディズニー映画「リメンバー・ミー」をこの前観たけど、やはりメキシコの死生観(死後も人生は続く)はかなり面白い。
    語り手だと思ってたフアン・プレシアド含む登場人物全員が既に死者だったことに、とても驚かされた。

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    2025年06月14日
  • ペドロ・パラモ

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    すらすら読める本ではない。読み始めは当然のようにストーリーを追おうとしていたけど、早い時点で諦めた。なんせ、語り手がころころ変わるし、時間も脈絡なく切り替わるのだから。でも、それぞれの語り手の語りに身を委ねていたら、なんだか心地よくなってきてしまった。巻末の解説を読んで、なるほどねーと思い、もう一度読んでみたい気もするけど、ちょっと今は気力が出ない。再読リストに入れておこう。

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    2024年09月22日
  • 図説 探検地図の歴史 ──大航海時代から極地探検まで

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    現代は衛星を使い、地球の表面が手に取るように分かるが、3次元の視点を持つことが出来なかった時代の冒険に満ちた地球の把握の歴史。
    探検家の人達の死を恐れぬ探究心の大きさ。誤解と偏見に満ちた探検史だが、それもまた未知の世界を把握するためのモチベーションとして機能した。

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    2022年01月11日
  • アステカとインカ 黄金帝国の滅亡

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     アステカ文明とインカ文明を破壊したスペイン人のことについて、きちんと学ぶ機会はなかったのだが、この本を読んでだいぶよくわかった。
     とにかく「金に狂ったスペイン人」は、現地人を騙して、虐殺しまくる。その背景には、キリスト教があって、邪悪な異教を信じている悪魔を虐殺するためならどんなに汚い手段でも使う。
     それに対して、インディオたちの純真さはどうだろう。金のありかを聞かれて答えてしまう。歴史とは正しい正しくないということではないといいながら、このスペイン人の不正はナチスどころではない。
     想像すると気持ち悪いほどの残虐行為を、敬虔なクリスチャンが行うのであるから、現代のタリバン勢力の非人間性

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    2021年09月13日
  • 西太平洋の遠洋航海者

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    マリノフスキーによるトロブリアンド諸島の民族誌。贈与交換の制度的な結晶としてのモカの慣行と、それを支える呪術に関する生き生きとした叙述もさることながら、以後の比較・理論的研究に資するように貴重な文化事例を記録するための方法論についてしっかりとした議論がなされる。

    モカではまさにモカの中で交換されるための希少品(首飾りと腕輪)を当該地域に住む集団間で一方は右回りに、他方は左回りに交換する。モカは互酬的な贈与であり、首飾りをもらった後に数年おいて腕輪を返礼する(もしくはその逆)。モカでの交換に伴って、生活物資の物々交換も行われるが、住民たちの心理にとって重要なのは儀式的に贈与される装飾品である。

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    2021年08月14日
  • 図説 探検地図の歴史 ──大航海時代から極地探検まで

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    16世紀頃の宣教師に関する本を読んだあとに、こういったアプローチから地図の歴史にふれると、よくぞこの程度の地図でここまで辿り着いたと驚愕する。

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    2021年05月10日
  • 完訳 ロビンソン・クルーソー

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    自分がこんな孤島に取り残されたら?話す人がいない状況に長期間置かれたら?など想像すると少しゾッとするぐらい上手く話が描かれていました。

    どんな環境でも打開策を見出そうとするロビンソンの姿が人間臭くもあり、とても引き込まれました。場面によっては想像力が追いつかなかったです。汗

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    2019年01月17日
  • ペドロ・パラモ

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    死者の町コマラ。ペドロ・パラモはとにかく女好きで強欲でけちで、嘘つき。子供も何人くらいいるのか分からない。生者と思ってたひとが死者だったり、前の章で脇役やったりしたひとが次の章で語り手になったりどんどん人が入り交じる感じが面白い。

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    2014年10月18日
  • ペドロ・パラモ

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    すごく不可思議な小説で、構成が最初良くわからず、物語世界に入っていくまでに時間がかかりました。
    解説を先に読めばよかったかも知れない。

    途中からどんどん惹きこまれていって、死者が語るのも気にならず、登場人物それぞれの話しぶりや人柄もわかってきて、勢いがつきました。

    土地勘がないので、そのあたりの自然、たとえば蒸し暑さや風の音を想像するのも難しいのだけれど、映像が目に浮かぶような感じで、なんだか違う世界に連れて行ってもらえたような。
    描写が詳しいわけでもないのに、映画的な作品に思えました。

    ラテンアメリカ文学の多くは、独自のカトリック信仰が底辺に流れているので、その部分を理解できないと物語

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    2014年09月21日
  • 完訳 ロビンソン・クルーソー

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    ネタバレ

     
    子供の時に読んだことがあるくらいだが、
    当時もロビンソンの無人島生活を
    わくわくしながら読んだ。

    特に自分の住処を作るあたりが子供心に
    非常に面白く読んでいた覚えがある。

    今回この完訳本を読んでみたが、
    当時読んでいた少年向けのものが
    どれだけ省略されていたのかがよくわかる。

    特に大きく違うのは、
    ロビンソンの宗教観というものが、
    要所で記述されていることだろう。
    確かに少年向けにする際にはこの部分を省くよなぁとは思う。

    また、序盤が大きく付加されており、
    こんな話だったっけと戸惑う。
    一度奴隷にされた箇所とか無かったような記憶がある。

    また、解説を読み、当時の世俗と合わせて

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    2014年03月23日
  • ペドロ・パラモ

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     1955年発表。メキシコの小説家、フアン・ルルフォ著。父ペドロ・パラモを探しに母の故郷コマラを訪れた主人公は、死者達のささめきに呑まれていく。七十の断片で構成され、時系列が激しく前後し、死者の会話が入り乱れる。
     不思議な小説だった。まずストーリーは、はっきり言って一回読んだだけではよく分からない。解説と照らし合わせながらもう一度読み返してみると大体の内容は掴める。しかしむしろ、この小説はストーリーではない部分に核がある気がする。淡々とした断片の配置が生み出す浮遊感、まるで当然のことのように交わされる死者との会話、簡潔で不可思議な詩的表現などから醸される雰囲気。円環的なストーリーのせいでもあ

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    2014年01月11日
  • 物語 ラテン・アメリカの歴史 未来の大陸

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    ラテンアメリカの歴史を理解するのに最適な一冊です。
    素晴らしい。
    遠く恐竜の時代から始まり、20世紀までを10章かけて回想する。
    コンパクトなのに内容が濃厚、しかも、文章が簡潔で分かりやすい。

    星マイナス一つなのは、発行されたのが1998年で、内容が若干古いため。
    最近の動向は、別途追う必要がある。

    しかし、それでも、現在もラテンアメリカが抱える課題や人々に根付く様々な習慣や感情などがとてもよく理解できる。

    前半の1章から5章までで、ヨーロッパ人たちが大陸にやってきて各地方を制圧した16世紀までが見渡せる。

    歴史的事実なのだろうが、ややヨーロッパ人に否定的な書き方をしている印象を受けた

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    2013年03月03日
  • 完訳 ロビンソン・クルーソー

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    ようやく読んだ古典中の古典。アダム・スミスからマルクス、大塚久雄まで古今の経済学者が引用するだけあって経済学的な要素にあふれている。遭難前の行動は商取引・国際貿易の典型例だし、遭難後の生活は生産様式の発展そのもの。そして主人公ロビンソン・クルーソーの行動原理がまさに合理的経済人を示している。環境の分析から計画、実行、新たな事象の発生とそれに応じた計画の修正。合理性の限りを尽くして身体の保護、富の蓄積に邁進する。経済学の文脈で引用されるよもむべなるかな(良いことと悪いこととを貸方・借方で列挙するあたりは半分冗談にしか思えない)。
    それからなんと言ってもキリスト教信仰という観点からもこれはすごく興

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    2012年07月11日
  • 完訳 ロビンソン・クルーソー

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    ダニエル デフォーは英国のスパイで、取材旅行という隠れ蓑で世界各国を移動したのだとか。スパイなのにこんな本が書けるなんてすごいな~。子供の時に読んだ物とはずいぶん印象が違います。今度は大人向けのトムソーヤでも読んでみるか。

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    2012年06月14日
  • 物語 ラテン・アメリカの歴史 未来の大陸

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    ラテン・アメリカの歴史的ななりゆきについて、まとまった知識がなかった私には好個の本だった。この本を読めば、近世以降のヨーロッパの残虐な「世界支配」、近現代のアメリカ合衆国の狡猾な他国利用、アステカ・インカ以降の南米先住民の運命、さらにはキューバ革命の背景と意味、20世紀後半から起こったラテン・アメリカ文学の背後にあるものなどが理解できる。
    先日読んだジャック・アタリ『1492』に書かれた時代よりあとに起きた事の概略を把握する上で、たいへん有益な読書になった。
    とりわけピサロらスペイン人の悪逆ぶりは印象的だったが、アタリが指摘したような<大陸=歴史>としてのヨーロッパの世界支配は、ローマ法王とい

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    2012年04月01日