増田義郎のレビュー一覧
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ラテン・アメリカの歴史的ななりゆきについて、まとまった知識がなかった私には好個の本だった。この本を読めば、近世以降のヨーロッパの残虐な「世界支配」、近現代のアメリカ合衆国の狡猾な他国利用、アステカ・インカ以降の南米先住民の運命、さらにはキューバ革命の背景と意味、20世紀後半から起こったラテン・アメリカ文学の背後にあるものなどが理解できる。
先日読んだジャック・アタリ『1492』に書かれた時代よりあとに起きた事の概略を把握する上で、たいへん有益な読書になった。
とりわけピサロらスペイン人の悪逆ぶりは印象的だったが、アタリが指摘したような<大陸=歴史>としてのヨーロッパの世界支配は、ローマ法王という超国家的な権力と、キリスト教思想に支えられていたようにも思われる。
メキシコ、ペルー、ブラジル、いずれにおいても近代をとおして支配層である「純粋な白人」は全人口の1割とか、その程度の少なさだが、19世紀初め頃にはインディオは人口の半分くらいを占めていた。「最大多数の最大幸福」を唱えたベンサムは、中南米情勢に関心を持ちながらも、多数者であるインディオを無視し、支配層であるヨーロッパ出自の血筋のみを問題にしたらしい。
19世紀までのヨーロッパの「権力への意志」は、私の目から見て端的に「悪」であるが、その「悪」は20世紀にはアメリカ合衆国により継承された。
しかし「正義」などというものがどこにあるのか?
人類の生命力は善悪を超えて延々とひきつがれ、移りゆく。
インディオと白人という認識上の差異は、混血という民衆的日常の営為によって曖昧になって行き、今では中南米は「混血」がもっとも多いはずだ。イデオロギーを超え、生命は大地に花開いてゆく。 -
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金・銀の発掘や取引を中心に世界史を概観したもの。
特に紀元前からのインド洋の国際的商業を強調している。
いわゆる、海の道。
これを読んでると『エリュトゥラー海案内記』を入手しておけばよかったと後悔する。
シルクロードや地中海といった貿易路は中学の頃から繰り返され、強調されているが、インド洋に就いてはかなり知らないところが多い。
せいぜい、ダウ船がどうしたとか、大航海時代でヴァスコ・ダ・ガマがどうしたとか、鄭和の第遠征が、とか程度で終わってしまう。
ローマと中国からかなりの量の金を吸い上げていた、と筆者は主張するが、それが実際どの程度の規模で行われたのかは詳細には述べられてない。そこが残念だ。
近世~近代では、ポトシ銀山以外の銀山や、エル・ドラドの伝説を生むこととなった南米の金の話もされていて興味深い。
さらに、イギリスの金本位制の準備についても話がなされている。
東大の世界史が好きそうなテーマの一つでもある。
高校生から大学生まで含めておすすめ。
惜しむらくは、上に書いたとおり、詳細な数字が出ているところと出ていないところがある、ということだ・・・。 -
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ネタバレ[ 内容 ]
かつては高度の神殿文化を生み出しながら、16世紀以来ラテン・アメリカは常に外部の世界に従属してきた。
スペイン、ポルトガルの征服と植民地支配、イギリスはじめ列強の経済的支配、アメリカの政治的影響。
独立後も独裁制から民主制へ、統制経済から自由経済へと激動が続く。
ラテン・アメリカ諸国は共通の文化的伝統を基盤に、いかに苦悩の歴史と訣別し、自立と自己表現を達成するか。
恐竜の時代から現代まで、長大なタイムスケールで描く。
[ 目次 ]
プロローグ 新世界
1 古代アメリカ人の世界
2 侵入者
3 事業家としての征服者
4 イベロアメリカの成立
5 16世紀の変動
6 成熟する植民地社会
7 反乱の世紀
8 自由な空間を求めて
9 開かれた空間における独立と従属
10 20世紀のラテン・アメリカ
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
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無人島に漂着したロビンソンは、持ち前の才覚と粘り強さを武器に島の生活を切り開いていく。原文の息遣いを伝える新訳とともに、文化史研究の第一人者が不朽の名作を世界史的経済から読み解く、大人のための翻訳・解説決定版。訳者解説「大西洋世界のロビンソン・クルーソー」
1719年ダニエル・デフォーによって書かれた冒険小説。日本においても多数の翻訳書が出版されたのは周知の通り。翻訳者の気分や匙加減ひとつで原文にあるはずの文章が削除されたり、大げさに膨らませたりされているそうだ。この本は原文になるべく忠実に翻訳された本とある。本書の翻訳をされた増田氏は、子供用に書き直された本だけで原文に触れてない人がほとんどである。と巻末に書いている。まさに私もその一人で、ロビンソン・クルーソーがこんなに鬼畜(続編だとさらに増すようだ)だとは知らなかった。下巻目的なら岩波の方がいいのかな? -
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アメリカに生活していると中南米の国々との関係を日々意識せざるを得ない。政治、文化等に大きな影響を及ぼしているし、その影響力は益々大きくなることは間違いない。
一方でその歴史、国の成り立ち、個々の文化等、知らないことが多いことに改めて気付かされる。
本著は中南米の歴史を古代から現代へ広く薄く解説しているもので、全体の歴史の流れを知るには参考になった。
然しながら、全体の大きな流れを重視しているが故に、個々の国の成り立ちや、そのアイデンティに関しては、物足りなさがあり、これはもう少し国別の歴史を追うしかないのだろう。
単純にスペイン、ポルトガルの旧植民地、という扱いではなく、イギリス、アメリカの影響、また、独自な文化との融合等、興味は尽きない。
以下引用~
中南米の歴史のステージ
1.アジアから渡米した民族が、南北アメリカの各地に定着して、他の文化圏からの影響をほどんどうけず、自力で国有の文化を創造した時代。
2.1492年のコロンブスの渡米にはじまり、アメリカ大陸の大部分が、スペインとポルトガルの政治支配下に入り、その強烈な影響のもとに、ラテン・アメリカ文化の形成がはじまった時代。イベリア両国は、経済的にも他国を排除して、アメリカ植民地との通交を独占しようとした。この体制は、原則的に19世紀初めまで、約300年間続いた。
3.17世紀以降、カリブ海を中心に侵入をかさね、イベリア両国の独占体制を崩そうとしてきたヨーロッパ列強、特にイギリスの勢力を背景に、ラテン・アメリカ各地で独立国が成立した19世紀はじめから現在までの時代。これは大きくわけて、イギリスの経済的支配が強かった19世紀はじめから第一次大戦までと、アメリカ合衆国の影響が決定的になったそれ以降の時代、を区別することができる。