宇沢弘文のレビュー一覧

  • 社会的共通資本
    資本主義とは?改めて疑問を感じさせてくれる一冊。特に医療システムのパートは医療崩壊の可能性が叫ばれる昨今に読むと、もっともな内容でもある。
    他方で新書で経済を専門としていない読者も対象ということもあり、少々著者の理想をただ書いているだけ、という印象にもとれる内容になっているのが残念。
    この本をベース...続きを読む
  • 社会的共通資本
    社会を豊かに保ち続けるために大切な要素を社会的共通資本として定義し、国家の管理でもなく、市場に任せるでもないあり方を論じた本。社会的共通資本は自然環境、社会的インフラ、制度資本に分かれている。
    「全て」を国家が管理する社会主義か、市場の自由競争に任せる新自由主義かという二項対立に対して、「一部」はま...続きを読む
  • 経済学は人びとを幸福にできるか
    経済学の観点も踏まえ、21世紀を生きる我々が持つべき、都市や学問、環境、政治のあり方についての考え方を教えてくれる。宇沢弘文さんの思想が、おそらく表面的、簡略的にではあるが、その一端を伺い知ることはできるのではないか。
    戦中、戦後に生きて、欧州やアメリカなど世界を奔走した稀代の経済学者が宇沢弘文先生...続きを読む
  • 社会的共通資本
    内容はかなり難しいが、ジャーナリスト堤未果さんの本から辿り着く。経済至上の資本主義でもなく既に破綻した社会主義でなく、と、何となく考えたくて。一読に値するとは思う
  • 人間の経済
    居住まいを正して読む本
    宇沢節全開。石橋湛山から連なる日本の経済思想の流れがわかる。こういうのはアメリカでは全く受けないだろうなと思うが、その人がシカゴ大学の教授だったのだから感慨深い。
    死後遺稿を集めたもので、若干まとまりに欠ける。過去の事件や現在の社会問題について気の向くままに語っていて、まるで...続きを読む
  • 宇沢弘文の経済学--社会的共通資本の論理
    経済学者の権威である宇沢弘文氏が自身の提唱する社会的共通資本について自身の出自とともに書かれた一冊。

    経済学に傾倒していくなかで影響を受けたアダム・スミスやジョン・スチュアート・ミルやソースティン・ヴェブレンなどの話から社会的共通資本について概略や環境面、学校教育や医療などの各項目についてまで氏の...続きを読む
  • 自動車の社会的費用
    新古典派の経済学による非人間的経済発展による道路社会の構築を鋭く批判し、収入格差によって生じる環境格差や子どもの遊び場としての街路の喪失という矛盾を明らかにしながら経済学的指標を用いた分析からクルマ優先社会から人間のための社会への転換に向けた理論を構築している。近年アメリカを中心に注目を集めていた環...続きを読む
  • 経済学は人びとを幸福にできるか
    著者は理系出身の経済学者ということで,以前から興味をもっていた.
    この本,著者の履歴を語る前半は面白かったのだが,後半の教育のところあたりから,あまり共感のできない文章がつづき読むのが辛く,最後に少し残して読むのをやめてしまった.

    読んでも経済学がどういう学問かはわからないし,もっとわからなくなっ...続きを読む
  • 社会的共通資本
    過去の論文などをまとめたもののようだ。そのためか、農業、都市、教育、医療、経済、環境を取り上げているが、それぞれのテーマでは細かい議論に入り込んでいる印象が強く、全体としてのまとまりが感じられなかった。

    共有地の悲劇は、オープンアクセス、コミュニティの規約の制約を受けないことを前提としている。コモ...続きを読む
  • 経済と人間の旅
    日本を代表する経済学者。数字だけが重要視されるような経済という世界に、実は人間性、人の幸せを合わせ考える事こそが、一番重要な経済の未来図。幼少期から振り返る自伝む含み、水俣病患者に寄り添い、天皇陛下やローマ法王からも意見を求められる存在。新進気鋭の時代には、今の経済界にも大きな影響を与え続けた数々の...続きを読む
  • 経済学は人びとを幸福にできるか
    055
    儲けることが悪いのではなく、それによってどういう社会的、人間的な結果をもたらすかということを常に心に留める必要があるのではないでしょうか。儲けようというのは企業が生存するために必要なことです。
  • 経済学は人びとを幸福にできるか
    「人間のための経済学」を追求する学者の論考、エッセイ、書評や講演集。「社会的共通資本」という概念を提唱。人間の心を大切にする経済学の構築、制度的・政策的分析を展開中。

    経済学のテキストに名前が出てくる有名教授たちとの直接交友、体験。遠い過去の変えられない歴史ではなく、直近の変わりうる出来事だったの...続きを読む
  • 自動車の社会的費用
    ・他人の自由を侵害しない限りにおいて各人に自由な行動が認められるという近代社会の原理に照らし合わせたとき、著者は(とりわけ狭い路地において)自動車の自由な通行が歩行者の自由な歩行権を侵害しているという。

    ・自動車の通行権と歩行者の歩行権との衝突が激しかった時期の、いわば過渡期の作品という印象。かつ...続きを読む
  • 経済学の考え方
    経済学の考え方とはどのようなものか?について、時代を追って解説されています。

    難しいです・・^^;。正直言ってほとんどチンプンカンプンでした。
    経済学の教科書、といった方が良いかも。

    それでも、ちょっと道徳っぽいアダムスミスから始まって、型にはめようと苦心した新古典派経済学へ。
    現実に即したもの...続きを読む
  • 自動車の社会的費用
    日本の経済学界を代表する宇沢弘文氏による本であるということ、かつTPPでは経済学者では珍しく反対という立場で鮮明にしていたということで、彼の主張にふれておきたいと思ったので、手にとってみた。正直言うと、岩波でこのクオリティというのは頂けなかった。自動車社会に対する不安を考慮すべきという視点はそれなり...続きを読む
  • 自動車の社会的費用
    たしかに、日本の道路は歩行者に配慮在る作りになってはいないが、中国なんかに比べると、運転手が歩行者に配慮しながら走っていることが多いことを鑑みれば、まし、と言えるのではないだろうか。

    作者は、一貫して車を「悪」とみなしていたが、経済がここまで発展したのは車のおかげであり、今の生活にはなくてはならな...続きを読む
  • 自動車の社会的費用
    現在日本は自動車なしには生きていけない社会になっている。
    いろんな意味でちょっと古い本だが「こういう視点もあったのか」って思える一冊。常に本棚の手の届くところにあるお勧めの本。
  • 自動車の社会的費用
    ここまで言えるのは凄い。でも、自動車無しで生活するのも大変な世の中になってしまった…。後戻りできないところまできてると思う。30年以上前に書かれた本だけど、この人本当に車嫌いなんだなぁ。
  • 経済学の考え方
    「経済学とはなにか、経済学の考え方とはどういうものか―日本を代表する経済学者が自らの研究体験を顧みながら、柔軟な精神と熱い心情をもって、平易明快に語る。アダム・スミス以来の経済学のさまざまな立場を現代に至るまで骨太いタッチで捉え、今後の展望をも与える」一冊。