宇沢弘文のレビュー一覧

  • 社会的共通資本
    以前から勧められていたが、コモンズについて関心を持ったことを機にようやく読んでみた。日本語でコモンズをわかりやすく解説してくれている。それにも増して、この当時から気候変動問題に真正面から対峙し、炭素税の仕組みを提唱していたことには、畏れいる。
  • 人間の経済
     著者宇沢弘文が遺した、これまでの講演やインタビューを1冊にまとめた本。宇沢は「社会的共通資本」という概念を生み出したことで有名であるが、これは著者がシカゴ大学で教鞭を取った時代に関連する。当時のアメリカは、第2次世界大戦で勝利して以後、覇権国家として君臨した。経済活動においては、ハイエクやフリード...続きを読む
  • 人間の経済
    「社会的共通資本」の入門的な新書。
    中でも数々の大学を行き来し、多くの学生を教えてこられたからこそであろうが、大学教育の章には力が入っているように感じられた。宇沢先生が逝去されて9年の月日が経つが、いまこそ必読の書だと思う。
  • 経済学の考え方
    日本を代表する経済学者宇沢弘文氏による「経済学の考え方」の解説になります。本書で最も大事なのは第1章でしょう。経済学とはどのような性格の学問なのかについて、宇沢氏による明確な定義がなされています。経済学は科学でもありながら芸術(アート)でもある。また理論的でもある一方、きわめて実践的でもあり、高度な...続きを読む
  • 社会的共通資本
    もともとは数学の専門家だったのが、社会を良くしたいという「正義感から」経済学に転向し、36歳でシカゴ大学の教授になられたという宇沢先生の本になります。宇沢先生の教え子である岩井克人さんの本(『経済学の宇宙』)にも書かれているように、宇沢先生の心は新古典学派にあらず、新古典派およびその後裔であるマネタ...続きを読む
  • 経済と人間の旅
    前半の内容は佐々木実による『資本主義と闘った男』とほぼ同じ。復習にもなるし、理解を深める役に立つが、基本的には宇沢弘文の生い立ちから学者としての半生、理論形成に影響しただろう人間関係について。違うのは自叙伝である事。本著も佐々木実ね取材内容もどちらも読む価値あり。

    宇沢弘文の主張を理解するために重...続きを読む
  • 人間の経済
    ものすごく良かった。戦後の著名な経済学者が、市場主義経済を批判し、自然との共生、仏の心などを有してあるべき姿を語る。サステナビリティが重視されるようになった今だからこそ、目を通しておくべき本だと感じた。経済学者の立場から地球温暖化、生物多様性の保全にも尽力されており、主張がわかりやすい。
  • 人間の経済
    『人間の経済』 宇沢弘文

    最近、仕事でESGに関連するサービスのプロモーターを担うことになったため、ESGについて調べているが、どうも懐かしい感覚になる。その感覚を突き詰めると、学生時代に読んだ宇沢弘文氏の『社会的共通資本』に行き着くことがわかり、改めて宇沢氏の著作をもっと読んでみようと思い、本書...続きを読む
  • 自動車の社会的費用
    同時期に発売されたシューマッハーの『スモールイズビューティフル』と土地の扱いに関する提案でほとんど同じことが書いてあったことに、そしてこの提案が今ほど必要な瞬間もないと痛感することに、驚き。
    多くの人に読んでほしい。
  • 自動車の社会的費用
    「資本主義と闘った男」宇沢弘文氏の名著。自動車に限らず、任意の製品や仕組みを導入するときに、社会全体でどのように費用が発生しているのかという思考実験を実演している。本書が出版された1974年は世の中に急速に自動車が流通され始めた時代であり、政府が一斉に高速道路の建設など、社会を自動車向けにし始めた時...続きを読む
  • 社会的共通資本
    1928年生まれの著者

    2000年刊行の岩波新書

    なのだが、内容は2021年現在深刻に語られているすべての経済的、SDGS的持続可能社会への道標となる考察に満ちている。

    俊英としてアメリカ経済学界でノーベル賞受賞のスター学者たちの中にあっても一目置かれていたという宇沢氏が、日本に帰国、高度成長...続きを読む
  • 人間の経済
    この人が奨めるのだから間違いなかろう、ということで経済は苦手なのだが手に取ってみた。東京大学から36歳でシカゴ大学の経済学部教授になりベトナム戦争への反発もあって東京大学の教授に転じられて長く経済学の第一線で活動されてこられた方で風貌も特異なことから自分には理解できない難解なことを話される方、という...続きを読む
  • 社会的共通資本
    この本の基本的概念=「制度主義」
    それは人間が豊かに生きることができる社会をめざすこと。資本主義は経済面では豊かになるが人が豊かに生きれるかと言ったらそうではない。
    制度主義の重要なキーワードは「自然環境」「社会的インフラ」「制度資本」から構成される3つの社会的共通資本。
    これらの社会的共通資本を「...続きを読む
  • 社会的共通資本
    宇沢弘文先生の理論の中核本 
    大学時代塩野谷先生にご紹介頂いて40年漸く読破良かった
    資本主義経済体制の限界・本質的問題は今日的「格差問題」
    市場原理主義から漏れる「社会資本」の劣化
    SDGsの問題意識に通じていると思う
    宇沢弘文先生の価値観が求められる時代 コロナで加速する
    バイデン大統領の理念は...続きを読む
  • 経済学は人びとを幸福にできるか
    経済学が科学にシフトした分、「人々の幸せ」から遠くなっているのではという、基本的問題意識は共感できるとともに、非科学ではないかという恐れもある。
    我々は「アカデミズム」という現代宗教の門徒であって、破門される恐怖があるのは中世と変わらない。
    その呪縛を否定したのが宇沢先生、特に、公害・自動車問題など...続きを読む
  • 社会的共通資本
    私の尊敬する
    大学の先生から
    ゼミで学びました

    どんな社会になっても変えてはいけない考えはあると思います
    基盤となる考えです
  • 経済学は人びとを幸福にできるか
    夢中になりました。
    現代社会の課題に対する考察は、どれも共感できるものでした。むしろ今まで意識していなかったことを、不意に気付かされた印象です。
    中でも特に大事にしたいと思ったのは、教育と都市造りに関する論考です。
    教育に関する部分では、子を持つ親としてこれまでの認識を改める必要性を感じました。親は...続きを読む
  • 社会的共通資本
    難しいことを易しく、経済学的視点から社会のシステムについて述べている。ポスト資本主義、アフター(ウィズ)コロナの社会システムとしてかなり素晴らしい案だと思う。2000年の著作。著者の慧眼に敬服。
  • 社会的共通資本
    宇沢『社会的共通資本とは、一言で言えば「誰にとっても等しく大事なもの」を「社会にとっての共通の財産」として大切にしようということ..具体的には、「自然環境」「社会的インフラストラクチャー」「制度資本」の三つの大きな範疇に分けられます』

    教育も研究も社会的共通資本だよね。オススメ!
  • 社会的共通資本
    2020.24
    良書すぎた。
    ・社会的共通資本とは、人伝的に魅力ある社会を持続的安定的に維持することを、可能にする社会的装置
    ・自然環境、社会インフラ、制度資本の3つで構成される。
    ・市場機構や、評価、官僚的な管理をされるべきものではない。