宇沢弘文のレビュー一覧

  • 自動車の社会的費用
    この本にある経済学的な思考は誰にでも備わっているべきである。我々は、社会的な価値判断を前提として生きている。しかし、その社会的価値判断は一度下されると、再び検討されることがない場合がある。それが問題となるのは、本書の主題となっている「自動車通行に伴う社会的費用の発生」といったような、社会的価値判断が...続きを読む
  • 人間の経済
     学生時代からずっと気にはなりつつも、恥ずかしながら、宇沢弘文教授の著作を読むのはこの歳になって初めてだと思います。
     テーマは「社会的共通資本」。
     読んでみての印象ですが、理論や論考で塗り固められているような内容を予想していたのですが、大いに(いい意味で)裏切られました。宇沢教授の自伝的なテ...続きを読む
  • 人間の経済
    難しい経済学の話が苦手な私にも、宇沢氏の弱者に対する眼差し、その根底にある氏の経歴、体験に触れることができます。一方で、日本の先行きについて暗澹たる気持ちにさせられる内容も多い。一読をおすすめしたい1冊です。
  • 自動車の社会的費用
    現実の社会問題と経済学の理論とが、斬り結ぶさまを学ぶことができた一冊。

    自動車という、それなしには考えられない事柄に対しても、批判理論を展開し、同時に理論的な枠組みを越えた社会規範についても論じられている。

    社会経済における自由と公正に関する議論では、”応益負担””応能負担””応分負担”それぞれ...続きを読む
  • 人間の経済
    私は大学時代、経済学部に所属していたが、この人の本をもっと早く読んでみたかったと思う。

    形而上学的な経済学、古典派、市場原理主義をズバッと批判し、「人の心」が大事だと説く。

    こんなにも感受的に、
    環境、医療、教育問題に心を配り、世の中のことを憂う経済学者が居るなんて知らなかった。

    当該著書は、...続きを読む
  • 人間の経済
    「世のため人のために」、という言葉があるが、宇沢氏ほど、
    これを実践した方は、稀だろうと思います。
    世界的な経済学者でありながら、どこまでも、社会的弱者のために行動され、
    社会的矛盾と闘い、そして、悩み苦しみぬいた生き方は、
    後世を生きる私たちにとっては、かけがえないメッセージとなっています。

    ...続きを読む
  • 経済と人間の旅
    日経に連載されていたのをまとめた本。
    将来の経済とこれに関わる全般のことを考察し続けた方だなと思う。
  • 経済学は人びとを幸福にできるか
    経済には滅法疎い私だが
    一昨年、宇沢弘文さん
    という偉大な経済学者がいらしたことを
    NHK「クローズアップ現代」で知った。

    同僚であったミルトン・フリードマンと激しく対立し
    市場原理主義の考えには全く相容れなかった。
    常に人間のための経済学を追求し続けた。
    だから何度もノーベル賞の有力候補に挙げら...続きを読む
  • 経済学の考え方
    宇沢弘文氏がケインズ経済学を中心に経済学の成り立ちと考え方について丁寧に論じている。

    いろいろと目からウロコで感動的でさえあった。
    高校生の頃、読んでいたらきっと経済学を専攻していただろう。
    (きっとケインジアンになっていた)
    が、高校生の頃、読んでいたら何が書かれているかわからなかったに違いない...続きを読む
  • 自動車の社会的費用
    本日は、この本を読み返す人が
    日本全国で何万人といるでしょう。
    私もその一人です。
    (2014年9月26日)
  • 経済学は人びとを幸福にできるか
    宇沢教授の著書は何冊か読んでいるが、あらためてその崇高な志に文章を通して触れることが出来、身が引き締まる思いです。
    勿体なくて先を読みたいけど読みたくないという思いで読む本は久しぶりでした。
    社会的共通資本の考え方を知る入門書として多くの人に薦めました。
    自分自身もこの本の中に出ている参考図書を読み...続きを読む
  • 経済学の考え方
    理論家の宇沢先生のわかりやすい著作。

    経済学というと、経済の歴史ではなく、経済学の歴史を語りたがるところが気がかりである。
    経済という現物を見ないと、経済学という原理の価値が下がるのではないかと思った。

    この感想は、経済学部を卒業してから25年離れていて、初めて気がついた。
    誰にでも分か...続きを読む
  • 自動車の社会的費用
    自動車を利用するすべての人が、関係する費用を考える。

    1 道路整備(高速道路,一般道)
    2 交通信号機整備
    3 交通事故対応、保険
    4 運転免許,自動車教習

    1と2は社会的費用だが、適正に受益者が負担しているかどうかは分からない。

    社会的費用の視点を明確に示した良書である。

    とかく経済学は政...続きを読む
  • 自動車の社会的費用
    たしかにそうだと思われることが多い。
    日本の道路行政の現実を鑑みても、無計画で適当になされているような気がしないでもない。
    確かに幹線道路沿いにも狭い歩道、申し訳程度のガードレール、至近に建てられている住宅。幹線道路でなくても、踏切があれば渋滞が起き、そういう道路には路側帯しかない。
    歩道橋も車が優...続きを読む
  • 自動車の社会的費用
    [ 内容 ]
    自動車は現代機械文明の輝ける象徴である。
    しかし、自動車による公害の発生から、また市民の安全な歩行を守るシビル・ミニマムの立場から、その無制限な増大に対する批判が生じてきた。
    市民の基本的権利獲得を目指す立場から、自動車の社会的費用を具体的に算出し、その内部化の方途をさぐり、あるべき都...続きを読む
  • 自動車の社会的費用
    自動車が生み出す外部不経済とそれを社会的費用として内部化する方法についてコンパクトにまとめられた良書。
    自動車は混雑や事故、環境汚染などの外部不経済をもたらすのだが、そのコストを計算し、自動車利用者に負担させようというのが外部コストの内部化である。本当にわかりやすくまとめてあり、経済学初心者の方でも...続きを読む
  • 経済学の考え方
    既読の「経済政策を売り歩く人々」や「物語 現代経済学―多様な経済思想の世界へ」と取り扱っている射程は概ね同じと感じました。
    一気通読。
    近代経済学の前提やその前提から導出される諸命題などについてコンパクトながらも詳らかに記され染み入るものがありました。
    また上記他書にはあまり記述のない、ヴェブレンや...続きを読む
  • 自動車の社会的費用
    古本屋でブラウジングしていて題名に惹かれてゲット。面白いい。税金の無駄遣い、あるいは、外部不経済を当然の前提にした勘定調整などといった費用対効果あるいは利益考量的なものの見方に対する疑問点。そして、それよりももっと深い問題意識がこの本の中にはある。
  • 社会的共通資本
    経済学ってどうしても信奉する思想が先にあって、それを証明するだけのツールに過ぎない気がするんだよなあ。
  • 社会的共通資本
    新書で手軽に考え方がつかめてよい。社会的共通資本=みんなの資源はみんなで大切に使おうね、という考え方を1970年代から言い続けてきたところが意義深いかと。経済学の中に位置付けるのは大変だけども。
    農業(自然)だけでなく、都市、教育、医療、金融制度などを社会的共通資本として取り上げていて興味深い。