宇沢弘文のレビュー一覧

  • 自動車の社会的費用
    著者宇沢の言い分のうち「他者の自由を全く侵害しない」という「近代市民社会の原則」の論がたびたびでてきたのには、違和感を覚えずにはいわれなかった。私はむしろ、各人が(あらゆる格好で)他人に迷惑をかけている(つまり他人の自由を、多かれ少なかれ侵している)というのが、都市とか集団社会の本質だと考える。勿論...続きを読む
  • 経済学は人びとを幸福にできるか
    世界の宇沢の講演録、文章などを本人がまとめたもの。若干の重複が見られるが、欧米時代を経た往年の業績、ローマ法皇や昭和天皇など名だたる人々との親交が垣間見れるほか、制度経済学・公共経済学の流れを組んだ環境・医療・教育などの「社会的共通資本」が国の発展の礎であることや、そのための国際炭素税などの仕組み、...続きを読む
  • 経済学は人びとを幸福にできるか
    格調の高い冷静な文章で、著者の交友関係を通じて時代が描かれており、その内容が大きな時代のうねりを感じさせるもので、著者のスケールの大きさを感じた。
  • 経済学は人びとを幸福にできるか
    人間が幸せになるための経済学であるべきなのに、ただたんに儲ければいいというテクニックに資するための経済学に堕落した一部経済学者がはびこってしまった。

    社会的共通資本という考えを打ち出し、本来の人間の営みと調和していくため色んな角度で経済学を立て直していこうという宇沢氏の生き様が描かれている。

    ...続きを読む
  • 自動車の社会的費用
    ・日本の道路設計は自動車を使う利益にばかり目が向けられ不利益(=事故,騒音等公害)が考えられていない.
    ・自動車にかかる費用が自動車を使わない人にも分配されてしまっている.

    感想:自動車を国家産業にするために意図的に目を背けてきた部分もあるのではないかなぁ..という感がある.じゃあ道路を歩行者が通...続きを読む
  • 経済学の考え方
    [ 内容 ]
    経済学とはなにか、経済学の考え方とはどういうものか―日本を代表する経済学者が自らの研究体験を顧みながら、柔軟な精神と熱い心情をもって、平易明快に語る。
    アダム・スミス以来の経済学のさまざまな立場を現代に至るまで骨太いタッチで把え、今後の展望をも与える本書は、経済学のあるべき姿を考えるた...続きを読む
  • 経済学の考え方
    アカデミックな内容でありながら、ロジックとストーリー、著者の自説のバランスが良く、経済学初心者の自分でもこれまでの歴史と課題などを概観することができ、経済学への興味を深めることができた。なかなかの良書だと思う。
  • 経済学の考え方
    宇沢弘文ご本人の考える、経済学説の解説本であると同時に、評価本でもあります。
    しかし、現代の経済学思想につながる考え方も随所に現れており、そういうことだったのかと思わせる事も多い。

    ただし、少し経済学に詳しい人でないと難解であるとも思える。経済学を初めて学ぼうとする人がこの本にとりかかると、少...続きを読む
  • 経済学の考え方
    経済学がこれまでどのように形成され、
    その底流にどのような考え方があるのかを明らかにした本

    2年後に再読したい
  • 経済学の考え方
    1月?
    本書は、アダム・スミスから現代の経済学に至るまでを通し「経済学の考え方がどのように形成され、発展してきたかという面に焦点を当てた」本であった。ある程度の経済学の知識は読む上で必要である。経済学者の生涯にも触れつつ、そこでの体験が、どのように経済学的な考察へ影響をあたえたのかも記してあり、とて...続きを読む
  • 自動車の社会的費用
    Ⅲ「自動車の社会的費用」のうちの3「新古典派の経済理論」と4「社会的共通資本の捉え方」、5「社会的コンセンサスと経済安定性」あたりは、経済学の理論の紹介が主な内容で、いささか難しいところもあった。
    クルマ社会を「社会的費用」という観点から」捉えるという視点は、なかなかおもしろいと思う。
  • 今を生きる思想 宇沢弘文 新たなる資本主義の道を求めて
    宇沢弘文氏のことは全く知らなかった
    が、この本で知の巨人であると認識した。
    市場原理主義に対して何十年も前に問題に気付き、解決する方法を考えてきた人がいたことは嬉しい。
    現在、この問題に多くの人が気付いているというが、社会全体の総意になってはいないように思う。
  • 今を生きる思想 宇沢弘文 新たなる資本主義の道を求めて
    とある講演会で、国土交通省の方が宇沢弘文『自動車の社会的費用』を紹介していたので、気になって入門本を読んでみました。
    生い立ち以降は、経済学の教養ないと理解が難しいです。少なくとも私は無理でした(笑)見えないものを定量化するのは難しいと思うので宇沢さんはすごいなあと思ったのとカーボンクレジット(この...続きを読む
  • 今を生きる思想 宇沢弘文 新たなる資本主義の道を求めて
    親族の戦死体験、数学にのめり込んだ学生時代、経済学への転向、米国での成功と失望による帰国、公害問題への取り組みと、まるで大河ドラマを観ているかのような、1人の人間の生涯を描いたドラマチックな新書でした。
  • 今を生きる思想 宇沢弘文 新たなる資本主義の道を求めて
    新古典派経済学の批判者としての宇沢の、簡潔な一般向けの評伝。ケインズ以降、1970年代ごろまでの、手軽な経済学史としても読むことができる。
  • 社会的共通資本
    ヴェブレンの「制度主義」の発想を継承しながら、「私的資本」と区別される「社会的共通資本」の重要性をわかりやすく解説している本です。

    著者がさまざまな機会に発表した文章をもとにしているようで、農業、都市、教育、医療、金融、そして地球環境といった多様なテーマをとりあげ、社会的共通資本を重視する立場から...続きを読む
  • 経済学の考え方
    宇沢弘文は、数理経済学から社会的共通資本への急な転向により、ある種の奇矯な人として受け止められているところもあるかと思う。この本を読んで、宇沢が1970年代の「反ケインズ経済学」をどのように眺めていたのかよく分かった。解説することもしたくないのだが、避けても通れないのでイヤイヤ解説すると言明するくら...続きを読む
  • 人間の経済
    経済学者かくありきという感じ。SDGsが生まれる前からよほどサステナビリティと生命の幸福を追求してきた学者。
  • 社会的共通資本
    ケインズ経済学
     ①希少資源の私有制
     ②所得分配の公正性
    社会的共通資本
    ・一つの国ないし特定の地域に住む全ての人々が、ゆたかな生活を営み、優れた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置
    ・自然環境、社会的インフラ、制度資本
    ・職業的専門家によっ...続きを読む
  • 社会的共通資本
    社会共通資本

    ◯社会的共通資本とは
    ・制度主義は資本主義と社会主義を超えて、全ての人々の人間的尊厳が守られ、魂の自立が保たれ、市民的権利が最大限に享受できるような経済体制を実現しようとするもの。
    ・社会共通資本はこの考え方を具体的なかたちで表現したもので、社会的装置を意味する。
    ・自然環境、社会イ...続きを読む