宇沢弘文のレビュー一覧
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新自由主義(リベラリスト)の観点から世界を切り取る経済学者の未来へのメッセージ。その内容は経済資本と世界の潮流、医療、教育、自然、農業と多岐にわたる。
各項目についてさらっと心に残ったところを。。
「経済について」
世界はパックスブリタニカ(帝国主義時代)の後にパックスアメリカーナ(市場原理主義)(共産主義もあった)となった。いずれも倫理の面から問題のある経済政策であり、両方とも失敗した。これからは社会的共通資本という聖域を持つ資本主義とするべきである。
「医療について」
イギリスのNHS政策のように当初は国民皆保険制度のようなものであったにも関わらず、財政支出を抑えるようにした結果、しわ -
Posted by ブクログ
人類の歴史を振り返ってみるに、所謂、産業革命以後の経済活動以前から、大なり小なり商業資本主義の活動は営々と継続されてきたわけである。その中で、金融も経済活動の潤滑油として機能してきた。
そして、そのような経済活動はその民族の歴史・文化・自然条件・立地条件、宗教などなど、先人が培ってきた様々な制度を遵守しながら継続してきたわけである。
とりわけ、宇沢先生の提唱する社会的共通資本については、経済活動における「聖域」として、みんなで守り育ててきたものなのだろう。
都市におけるみんなが利用する社会的インフラも自然社会におけるコモンズ、入会権のように都市システムに参画する多様なステークホルダーで管 -
Posted by ブクログ
著者宇沢の言い分のうち「他者の自由を全く侵害しない」という「近代市民社会の原則」の論がたびたびでてきたのには、違和感を覚えずにはいわれなかった。私はむしろ、各人が(あらゆる格好で)他人に迷惑をかけている(つまり他人の自由を、多かれ少なかれ侵している)というのが、都市とか集団社会の本質だと考える。勿論、だからといって、他人の自由の侵害を擁護するものではない、けれど、その「原則」を出発点にしつづける議論は、やや理想論にすぎるのではないか、ということ。基本的な部分では宇沢の主張にしばしば納得・感嘆させられたのだから、あまり極論に走られてはもったいない。
「名著」と呼ばれるにふさわしい、意義深い、社 -
Posted by ブクログ
・日本の道路設計は自動車を使う利益にばかり目が向けられ不利益(=事故,騒音等公害)が考えられていない.
・自動車にかかる費用が自動車を使わない人にも分配されてしまっている.
感想:自動車を国家産業にするために意図的に目を背けてきた部分もあるのではないかなぁ..という感がある.じゃあ道路を歩行者が通りやすいよう整備しなおしましょうといっても,ある程度経済的に発展してしまうと特に都市部ではこれを是正するには膨大なコストがかかってしまう(新興国ならある程度可能?).
地方での新たな街づくりのあり方として考えると,ある程度の一極集中+車に頼らない街づくりはありなのでは?もちろん地方分権が進むことが前 -
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
経済学とはなにか、経済学の考え方とはどういうものか―日本を代表する経済学者が自らの研究体験を顧みながら、柔軟な精神と熱い心情をもって、平易明快に語る。
アダム・スミス以来の経済学のさまざまな立場を現代に至るまで骨太いタッチで把え、今後の展望をも与える本書は、経済学のあるべき姿を考えるために格好の書物と言えよう。
[ 目次 ]
1 経済学はどのうような性格をもった学問か
2 アダム・スミスの『国富論』
3 リカードからマルクスへ
4 近代経済学の誕生―ワルラスの一般均衡理論
5 ソースティン・ヴェブレン―新古典派理論の批判者
6 ケインズ経済学
7 戦後の経済学
8 ジョーン・ロ