小前亮のレビュー一覧
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唐が滅び,五代十国時代,後周の初代皇帝となった郭威の養子である紫栄(後周の2代皇帝)に認められ,一時期は紫栄と敵同士であった趙匡胤であるが,その人柄に惚れ,臣従することになる。紫栄が崩御した後,紫栄の息子が第3代皇帝となるが,才覚がなく,これでは紫栄の夢であり実現間近の中国統一も本当に夢に終わると思い,趙匡胤は禅譲を迫り,宋を建国する。趙匡胤は武勇や人徳には秀でたものがあったが,戦略と言う観点からは,やはり,後周時代に紫栄から与えられた臣下の趙普や趙匡胤の弟で宋の2代皇帝となる趙匡義(匡が皇帝と同じであるため改め,趙光義)の補佐があったことが大きい。特に趙普については多くは語られていないが,皇帝ともなりうる才覚があったように感じたが,そこは,人徳では及ばないと感じたのか,皇帝より宰相の方が自分にはあっていると感じたのか,皇帝の地位は望まなかったようである。本書は,趙匡胤が皇帝になるまでを主に記述し,その後は簡単に書かれて終わっている。
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唐の2台皇帝 太宗 李世民の話。
著者のデビュー作。有名だけど日本ではあまり歴史小説として登場しない李世民についての本だ。中国モノは登場人物の名前が覚えにくいが,本作品もその例に漏れない。読みにくい漢字名が多く,しかも振り仮名が余り無いため,ちょっとしんどい部分があった。所々に人物のきらりと光る一言や情景が記されているが,前後の脈絡から考えて,結構唐突感があった。これも,デビュー作ということで次作に期待してみよう。総じて歴史も追えて楽しい作品であった。1巻660ページと大作だが,たくさんの魅力的な武将や智将が登場するので,4巻程度楽しみたかった思いもある。また尉遅敬徳という武将が最後の方になって李世民の部下になるが,関羽と張飛を足して2で割ったような武将のようで,こちらについても,もう少し味方としての登場シーンが欲しかった。
李世民でも劉邦でもそうだが,やはり帝王となる人には徳と言うものが必要のようだ。その表情や言葉,声色,匂い,希望や悩みなどすべてに共感がただよい,あたかもその人と一体となったような錯覚に陥らせるような人格の持ち主なのであろうか。決して,完全な人間ではなく,ふと見せる人間臭さに,一瞬にしてとりこにされてしまうようである。
『将兵は無限のものではありません。武を鍛えるはそれを使わぬため。武を用いぬ政こそ真に志すものです』『漢の高祖も無学者でしたが張良や蕭何といった賢臣の言によく従っていました。対して,項羽は山を抜くほどの力を持っていましたが,自らを恃むことすこぶるあつく,范増を得ても用いる事ができませんでした。それが二人の差です。つまり天下を統一するには賢臣を得て,それを用いねばならぬです。』『正解を選ぶのではなく,選んだ方を正解にすればよい』『人は器量を超える地位を手に入れると,無意識のうちに保身にはしるのかもしれない。より高みを望んでも,今あるものを守ろうとして慎重になるのではなかろうか』