田澤耕のレビュー一覧

  • 〈辞書屋〉列伝 言葉に憑かれた人びと

    Posted by ブクログ

    カタイ本かと思いきや、語り口は読みやすく内容もおもしろかった。
    世に数多ある辞書、その中からオックスフォード辞典やヘブライ語、カタルーニャ語などを選んで、それを作った人を紹介している。どれもとにかく時間がかかっているところにまず驚く。何十年と・・・完成を見ずに亡くなった人もいるというから、まさに人生をかけての大事業だ。
    辞書がなければそのまま消えていたかもしれないヘブライ語などを、なんとか残そう、復活させようと尽力した人々の様子はドラマティック。同胞からの批判や無理解、資金繰りなどに苦しみながら・・・本当に、じんとくるものがある。
    辞書という存在が、言語の存続にまず必要だというのが、なんという

    0
    2016年02月19日
  • 〈辞書屋〉列伝 言葉に憑かれた人びと

    Posted by ブクログ

    新幹線の中で一気読み。三浦しをん「舟を編む」で興味を持った辞書編纂の世界を事実に基づいて紹介。文章が流麗で読みやすく、小説を読んでいるように次々に逸話が紹介される。辞書は文化だと感じ入る。面白い。星6つ!

    0
    2014年08月28日
  • 物語 カタルーニャの歴史 増補版 知られざる地中海帝国の興亡

    Posted by ブクログ

    カタルーニャ視点で歴史を見るというのは新鮮で面白かった。特に中世はアラゴンとしてしか見てなかったから余計に。増補版で加筆された箇所は、現在の独立運動のルーツを理解する良い助けになると思う。

    0
    2020年08月03日
  • レアルとバルサ 怨念と確執のルーツ スペイン・サッカー興亡史

    Posted by ブクログ

    ・1914年バルセロナ、ジロナ、タラゴナ、リェイダの合同体がカタルーニャ自治体連合を確立。
    自治政府ではなく、あくまでも行政上の連合体だったが、スペイン王位継承でバルセロナが支持したハプスブルク家がブルボン家に負けて以来、カタロニア語の使用すら禁止されていたので、政府回復の第一歩として重要だった
    ・1919自治憲章案を中央議会に提示するが却下される。カタルーニャ人は19c末スペイン随一の工業地域となったが、英国製品に質、値段で敵わず、国内産業育成のための保護貿易を主張。
    これにより、国民から「自己中心的」「金の亡者」とのイメージが出来上がった

    0
    2016年09月11日
  • 〈辞書屋〉列伝 言葉に憑かれた人びと

    Posted by ブクログ

    自分の中で“辞書本”不動の第1位は高田宏『言葉の海へ』、第2位は『舟を編む』なんだけど、第3位に急浮上してきたのが本書。
    ちょっと時系列がわかりにくい文章もありますが、一人ひとりの“辞書屋”のエピソードが面白くて、あっという間に読んでしまいました。
    ただの字引としての辞書ではなく、国家や民族の証としての辞書を、使命感をもって作り上げていく“辞書屋”たちがなんと魅力的なことか。
    『ヘブライ語大辞典』と『スペイン語用法辞典』の話が特にお気に入り。これ、誰かがもっと長い小説に仕立て上げてくれたら面白いと思うんだけどなぁ。

    0
    2015年05月22日
  • 〈辞書屋〉列伝 言葉に憑かれた人びと

    Posted by ブクログ

    どんなものにも歴史という物語があって、それを知ることはとても楽しい。久しく辞書を読むということをしていなかったけれど、頁をめくってみようかと思わせられた。

    0
    2014年02月25日
  • 〈辞書屋〉列伝 言葉に憑かれた人びと

    Posted by ブクログ

    私は辞書が好きです。とくに漢字関係の辞書。『大漢和辞典』を先頭に、各種漢和辞典、語源辞典など漢字関係の辞書だけで10種類以上持っています。白川静先生の『字通』の普及版も今度出版されるみたいですので、買えればなと思っています。
    さて、本書ですが、著者自身も『カタルーニャ語辞典』を書き上げた一人であり、辞書編集の酸いも甘いも知っている方による古今東西の辞書屋と辞書にまつわる話が書かれてあり、辞書好きにはたまらない一冊です。
    さて、まず「辞書屋」という言葉ですが、氏は英語の“lexicography”(辞書編纂(法)、辞書学)および“lexicographer”(辞書編纂者、辞書学者)という言葉に強

    0
    2014年02月22日
  • ティラン・ロ・ブラン 3

    Posted by ブクログ

    ギリシャ帝国を舞台に展開するティランと愉快な仲間たちの恋愛模様。これ、軍記 物じゃなくて宮廷文学だと思うと納得ができる。意馬心猿の情が止まらないティランと、好きだけど最後の一線は守りたい皇女。恋愛脳の友人として両者をたきつける皇女の侍女と、ティランに横恋慕する年増の乳母。挙句の果てにティランの家来がギリシャ帝国の皇后と不倫。お前らギリシャ帝国の危機はどこに行った。挙句の果てにトラブルで出陣もままならない事態に。怒涛の三巻であった。

    0
    2024年02月27日
  • ティラン・ロ・ブラン 2

    Posted by ブクログ

    騎士ティランの冒険は、ロードス島攻防戦ののちギリシャ帝国を舞台にトルコとの戦いに移る。コンスタンティノープル、そしてギリシャ帝国版図の解放のために戦うティラン。そして、ギリシャ皇女と運命の恋に落ちるのであった。
     恋は騎士道物語に欠かせない要素であり、募る恋情、でも告白さえもできないという機微を楽しむものであるが、あまりにも欲望に忠実すぎやしませんかね、ティラン君。
     -皇女から戦に集中しろと言われているのにキスやらその先やらを求めて駄々をこねる。
     -夜中に部屋に忍び込み、下半身は押しとどめられるが上半身は好きにする。
     -その傍らで初めての一義に及ぶ別カップル。しかも女性側の訴えが生々しい

    0
    2024年02月14日
  • 物語 カタルーニャの歴史 増補版 知られざる地中海帝国の興亡

    Posted by ブクログ

     著者のたまたま目にして手に取った「カタルーニャ語小さなことば僕の人生」からの流れ読み。
     なるほど中世の地中海世界ではいっときでも名を轟かせ、カスティーラ(元スペイン)、フランス、ローマ、ジェノバとも渡り合った立派な王国だったのだ。ギリシャでもカタローニャ語が話された時期があるというのも驚きだ。そんな歴史を持つカタローニャ自治州、スペイン中央政府から不利な補助金配分や施策の不作為に晒されている。独立したいのも無理はない。
     スペインのサッカーチーム、レアルとバルサの確執は半端ないだろう。

    0
    2022年10月02日
  • ティラン・ロ・ブラン 4

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「諸君、頭を高く上げよ。この世で命よりも大切な名誉のために戦うのだということを想え。そうすれば富も繁栄も自由も栄光も後からついてくるであろう」騎士道とは、結局、名誉なんだと感じさせられます。

    嵐にあい、漂流したティランは、北アフリカのイスラムと戦い征服する。そして、ギリシャへ最後の戦いに挑む。
    戦闘は知恵の争いと語るが、要は、奇襲戦なのでしょうか。微妙に相手を油断させ、そこを鋭く攻撃し全滅させる。これは、真っ当な闘いなのか、疑問が残る。

    そして、降伏したイスラムに対する対応(全滅を求める騎士と降伏を認める皇帝)が、騎士と皇帝を区分する。だから、ティランにはギリシャを治める術はなかったのかも

    0
    2022年04月22日
  • ティラン・ロ・ブラン 3

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    敵(イスラム民族)との緊張感を保ちつつ、直接戦闘がない間は、騎士はやることがない。とすれば、恋物語となる。

    皇女に一目惚れしたティランは、待女たちに唆されて夜這いをかけるが、未遂に終わる。結果、逃げ出しに失敗し足を複雑骨折する。そして、次々におこる、恋愛騒動。これが非戦闘時の騎士の姿なのでしょうか。

    皇后も息子のようなイポリト(ティランの甥)と不倫をする。このとき、彼にその覚悟を迫る。「気持ちを強く持ちなさい。決心が弱いと、いろいろな危険が見えてくる」と。そして、ここで決意したことが、最終的に彼がギリシャを治める時の礎になっていくような気がする。
    一介の騎士(騎士にもなっていないのか?)か

    0
    2022年04月22日
  • 物語 カタルーニャの歴史 増補版 知られざる地中海帝国の興亡

    Posted by ブクログ

    バルセロナでスペイン国旗とは違う旗が多くの家の窓に掛かっているのを見ました。それがカタルーニャ独立旗だと教えてもらい、カタルーニャが独立を求めているのをその時に知りました。
    カタルーニャの歴史を知ることで、なぜ独立したいのか?がわかりました。そして、反対派も多くいることも。

    0
    2020年07月23日
  • 〈辞書屋〉列伝 言葉に憑かれた人びと

    Posted by ブクログ

    映画化もされた小説『舟を編む』(未読)で辞書編纂という仕事が
    注目された。世に数多ある辞典・辞書。その裏には「言葉」と
    いう魔物と格闘した多くの人がいた。

    自らも『カタルーニャ語辞典』を編纂した著者が、辞書編纂者たち
    を「辞書屋」と呼び、その人物像と仕事を追ったのが本書である。

    オックスフォード英語辞典のボランティアのひとりに犯罪者であり
    精神に異常を来していた人物がいたのは結構有名な話。これだけ
    で『博士と狂人』なる作品が出ているものね。

    神の言葉であったヘブライ語を庶民の言葉にしようする為に奮闘
    したベン・イェフダー。『アメリカ英語辞典』のノア・ウェブスターや

    0
    2017年08月21日
  • レアルとバルサ 怨念と確執のルーツ スペイン・サッカー興亡史

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     全世界のサッカーファンが注目する一戦、エル・クラシコ。レアル・マドリーとバルセロナの試合は単なるサッカーの試合という以上の熱がある。そこには複雑な背景があった。本書は両チームの因縁、確執の要因を歴史的な流れに沿って解説する。
     バルセロナがあるカタルーニャがフランコ政権から弾圧を受けていたことが、バルサとレアルの因縁の最も大きな要因ということは知ってたが、具体的な事例、人物などを見ることでより鮮明に理解出来た。

    0
    2016年01月19日
  • ガウディ伝 「時代の意志」を読む

    Posted by ブクログ

    ガウディの生きた時代を同時代の人物たちで描いた。ムダニスムはインディアノと呼ばれる新興勢力に支えられていた。

    0
    2011年12月18日
  • ガウディ伝 「時代の意志」を読む

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    副題に「時代の意志を読む」とあるように、「ガウディ伝」というよりは、彼の建築造型を育んだ、19世紀末から20世紀初頭のバルセロナを中心とした「カタルーニャ」という特殊な地域の独自文化なり時代背景なりを語ることに力点が置かれている。
    その意味では「激動のバルセロナに、ガウディを追う」という帯のコピーは当を得ているのだが‥。

    「ムダルニズマ」-とは単に英語のモダニズムのことだが、その実体はカタルーニャのアール・ヌーボーというべきもの。

    0
    2011年10月20日