田澤耕のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
カタイ本かと思いきや、語り口は読みやすく内容もおもしろかった。
世に数多ある辞書、その中からオックスフォード辞典やヘブライ語、カタルーニャ語などを選んで、それを作った人を紹介している。どれもとにかく時間がかかっているところにまず驚く。何十年と・・・完成を見ずに亡くなった人もいるというから、まさに人生をかけての大事業だ。
辞書がなければそのまま消えていたかもしれないヘブライ語などを、なんとか残そう、復活させようと尽力した人々の様子はドラマティック。同胞からの批判や無理解、資金繰りなどに苦しみながら・・・本当に、じんとくるものがある。
辞書という存在が、言語の存続にまず必要だというのが、なんという -
Posted by ブクログ
・1914年バルセロナ、ジロナ、タラゴナ、リェイダの合同体がカタルーニャ自治体連合を確立。
自治政府ではなく、あくまでも行政上の連合体だったが、スペイン王位継承でバルセロナが支持したハプスブルク家がブルボン家に負けて以来、カタロニア語の使用すら禁止されていたので、政府回復の第一歩として重要だった
・1919自治憲章案を中央議会に提示するが却下される。カタルーニャ人は19c末スペイン随一の工業地域となったが、英国製品に質、値段で敵わず、国内産業育成のための保護貿易を主張。
これにより、国民から「自己中心的」「金の亡者」とのイメージが出来上がった -
Posted by ブクログ
私は辞書が好きです。とくに漢字関係の辞書。『大漢和辞典』を先頭に、各種漢和辞典、語源辞典など漢字関係の辞書だけで10種類以上持っています。白川静先生の『字通』の普及版も今度出版されるみたいですので、買えればなと思っています。
さて、本書ですが、著者自身も『カタルーニャ語辞典』を書き上げた一人であり、辞書編集の酸いも甘いも知っている方による古今東西の辞書屋と辞書にまつわる話が書かれてあり、辞書好きにはたまらない一冊です。
さて、まず「辞書屋」という言葉ですが、氏は英語の“lexicography”(辞書編纂(法)、辞書学)および“lexicographer”(辞書編纂者、辞書学者)という言葉に強 -
Posted by ブクログ
騎士ティランの冒険は、ロードス島攻防戦ののちギリシャ帝国を舞台にトルコとの戦いに移る。コンスタンティノープル、そしてギリシャ帝国版図の解放のために戦うティラン。そして、ギリシャ皇女と運命の恋に落ちるのであった。
恋は騎士道物語に欠かせない要素であり、募る恋情、でも告白さえもできないという機微を楽しむものであるが、あまりにも欲望に忠実すぎやしませんかね、ティラン君。
-皇女から戦に集中しろと言われているのにキスやらその先やらを求めて駄々をこねる。
-夜中に部屋に忍び込み、下半身は押しとどめられるが上半身は好きにする。
-その傍らで初めての一義に及ぶ別カップル。しかも女性側の訴えが生々しい -
Posted by ブクログ
ネタバレ「諸君、頭を高く上げよ。この世で命よりも大切な名誉のために戦うのだということを想え。そうすれば富も繁栄も自由も栄光も後からついてくるであろう」騎士道とは、結局、名誉なんだと感じさせられます。
嵐にあい、漂流したティランは、北アフリカのイスラムと戦い征服する。そして、ギリシャへ最後の戦いに挑む。
戦闘は知恵の争いと語るが、要は、奇襲戦なのでしょうか。微妙に相手を油断させ、そこを鋭く攻撃し全滅させる。これは、真っ当な闘いなのか、疑問が残る。
そして、降伏したイスラムに対する対応(全滅を求める騎士と降伏を認める皇帝)が、騎士と皇帝を区分する。だから、ティランにはギリシャを治める術はなかったのかも -
Posted by ブクログ
ネタバレ敵(イスラム民族)との緊張感を保ちつつ、直接戦闘がない間は、騎士はやることがない。とすれば、恋物語となる。
皇女に一目惚れしたティランは、待女たちに唆されて夜這いをかけるが、未遂に終わる。結果、逃げ出しに失敗し足を複雑骨折する。そして、次々におこる、恋愛騒動。これが非戦闘時の騎士の姿なのでしょうか。
皇后も息子のようなイポリト(ティランの甥)と不倫をする。このとき、彼にその覚悟を迫る。「気持ちを強く持ちなさい。決心が弱いと、いろいろな危険が見えてくる」と。そして、ここで決意したことが、最終的に彼がギリシャを治める時の礎になっていくような気がする。
一介の騎士(騎士にもなっていないのか?)か -
Posted by ブクログ
映画化もされた小説『舟を編む』(未読)で辞書編纂という仕事が
注目された。世に数多ある辞典・辞書。その裏には「言葉」と
いう魔物と格闘した多くの人がいた。
自らも『カタルーニャ語辞典』を編纂した著者が、辞書編纂者たち
を「辞書屋」と呼び、その人物像と仕事を追ったのが本書である。
オックスフォード英語辞典のボランティアのひとりに犯罪者であり
精神に異常を来していた人物がいたのは結構有名な話。これだけ
で『博士と狂人』なる作品が出ているものね。
神の言葉であったヘブライ語を庶民の言葉にしようする為に奮闘
したベン・イェフダー。『アメリカ英語辞典』のノア・ウェブスターや
『 -
-