松井久子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
シンクロの名コーチ井村雅代さんが、40年におよぶコーチ歴で経験した8度のオリンピック(6回は日本のナショナルコーチとして、あと2回は中国のナショナルコーチとして)すべてでメダルを獲得したその舞台裏、中国のナショナルコーチを受諾した時の周囲との衝突の真実、ご自身の支えとされてきた心情などを語ります。とにかく伝わってくるのは「この子を何とかして上達させてあげたい。そしてオリンピックという素晴らしい舞台に立たせてあげたい。その最高の舞台でメダルを取るという経験をさせてあげたい」という選手への深い愛情です。琴線に触れた箇所に付箋を貼って行ったら、付箋だらけになりました。いくつか抜粋します。
「五輪はスポーツの天才の集まりではなく、五輪に出たい、出たいと強く思い続けて努力し続けた人の集まりだ
」、「自分ができない時、才能がないからできないのではなく努力が足りないからと思える心の才能がないと進歩しない」、「練習は最悪の時やしんどい時にするもの。試合は元気な時にするもの」、「子供の集中力、やる気が持続しないのは、やることの意義、動機づけを大人がきちんと伝えていないから」、「試合でプレッシャーを感じて当たり前。とことん感じて、それを突き抜けて開き直るぐらい追い込まれないとダメ。そのためには”やれることは全てやった”という自信が必要」などなどです。ちょっと古いタイプの考え方かもしれないし、違和感を感じる方もいると思います。ですが、単なる精神主義や勝利至上主義ではなく、また悪しき平等みたいな綺麗事で片付けない、こういう考え方は大変共感できました。語り口調が大阪弁なので、親近感もありますし、読み終わって何かすっきりします。 -
Posted by ブクログ
75歳の耀子が恋をした相手は、86歳の理一郎だった。お互い別のかたちでパートナーをなくした2人の、人生最終盤の恋。
命尽きるまで男と女、とはよく言うしそういう話も聞くけれど、私の年齢ではまだそれはリアルではない。「愛に生きる」タイプではない自分にも、そういう感覚が分かる日が来るのだろうか、と思いながら読んだ。
小説の話とは逸れるけれど、自分が夜の仕事をしていた時、70代にして久しぶりの恋をしたお客さんがいて、端から見ると狂気じみてさえ見えて心配したことがあった。周りも同様に心配した。だけど彼は誰の言うことも聞かずに突っ走った。
結果、女に騙されていたことが分かった。周りから見ると初めからそれは明らかだったのだけど、その人自身だけは最後まで相手のことを信じて疑わなかった。
周りの声が聞こえなくなるほど誰かを好きになるというのは、ある意味で幸せなのかもしれない、と思った。そして人はいくつになっても純粋に恋をすることが出来るのだ、とも思った。
この物語は狂気じみた恋愛ではなく、老年期に入った2人の、燃え盛りながらもどこか静かな恋と日々の話。感情に身体がついていかないリアルさだとか、人生を積み重ねてきた2人だからこその窮屈さだとかもしっかり描かれている。
人生の最終盤に、この人だ、と思える人と出逢った。もっと早ければ、と思うものの、その時出逢ったからこそ惹かれ合ったのだというジレンマもまた事実で、残された時間が多くはないからこその濃密な日々が描かれている。
まだ理解できる境地にはないけど、人を好きになる気持ちに年齢はないのだというのは分かる。
若くはないからこその生々しさも感じて、それは「自分もいつか行く道だ」と思った。
歳を重ねたからこその境地、がリアルに伝わってくる小説だった。
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Posted by ブクログ
『疼くひと』『最後のひと』を読んできたので松井久子さんの最終章を見届けねば!と読みました。
30代で離婚して恋はしてきたけど、再婚までは考えずに来たのに、76歳になり89歳の男性と入籍したのは驚きでした。高齢者同士の入籍は財産分与の事もあって、子供たちに反対される事が多いのに、入籍を勧めたのは男性の娘さん夫婦だという。そして4階建ての広いお家で娘さん夫婦と同居しながら新婚生活をスタートさせたのですが、突然の家族崩壊。老夫婦2人だけが残った豪邸は広すぎますね。
小説の中では夫と二人最後までつがいでいきることに迷いはないようでしたが、本当の所はどうなんでしょう?何があったかは娘さんご夫婦サイドの話も聞いてみないと真相はわからないですね。
でもとても可愛がっていた孫娘さんの結婚をFacebookを通して初めて知った旦那様の事を思うととても切ない気持ちになりました。家族こそこじれてしまうと元に戻すのが難しい。