無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
75歳の耀子が恋をした相手は、86歳の理一郎だった。お互い別のかたちでパートナーをなくした2人の、人生最終盤の恋。
命尽きるまで男と女、とはよく言うしそういう話も聞くけれど、私の年齢ではまだそれはリアルではない。「愛に生きる」タイプではない自分にも、そういう感覚が分かる日が来るのだろうか、と思いながら読んだ。
小説の話とは逸れるけれど、自分が夜の仕事をしていた時、70代にして久しぶりの恋をしたお客さんがいて、端から見ると狂気じみてさえ見えて心配したことがあった。周りも同様に心配した。だけど彼は誰の言うことも聞かずに突っ走った。
結果、女に騙されていたことが分かった。周りから見ると初めからそれは明らかだったのだけど、その人自身だけは最後まで相手のことを信じて疑わなかった。
周りの声が聞こえなくなるほど誰かを好きになるというのは、ある意味で幸せなのかもしれない、と思った。そして人はいくつになっても純粋に恋をすることが出来るのだ、とも思った。
この物語は狂気じみた恋愛ではなく、老年期に入った2人の、燃え盛りながらもどこか静かな恋と日々の話。感情に身体がついていかないリアルさだとか、人生を積み重ねてきた2人だからこその窮屈さだとかもしっかり描かれている。
人生の最終盤に、この人だ、と思える人と出逢った。もっと早ければ、と思うものの、その時出逢ったからこそ惹かれ合ったのだというジレンマもまた事実で、残された時間が多くはないからこその濃密な日々が描かれている。
まだ理解できる境地にはないけど、人を好きになる気持ちに年齢はないのだというのは分かる。
若くはないからこその生々しさも感じて、それは「自分もいつか行く道だ」と思った。
歳を重ねたからこその境地、がリアルに伝わってくる小説だった。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。