海老坂武のレビュー一覧
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サルトル“実存主義”を知る入り口になる本で、わかりやすく書かれていて、役に立った。
最近読む本には、普通に“実在”“実存”という言葉が説明もなく頻繁に出てきて、小説の内容を深く理解する上で、どうしても無視できなくなってきていた。1960年代に流行だった思想なのかな。
自分が世界に向けて積極的に“アンガジェ”できているかというと、実際してないと思う。
また、自分の本質は自分の意思で自由に決められる(他人の自由も含めた上で)とは言っても、いい方に自分を作っていくのは、やっぱり努力が必要。
なので、自分はどうしても偶然性の生き物でしかいられないなと思う。
個人の視点から始まり、他人が存在する社会に参 -
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ネタバレサルトル、という名前をよく聞くが、何を考えた人なのか、はあまり理解できていなかった人。
彼の思想や考え方を知りたいと思い、本書を手に取った。
この本は、実存主義とは何か、を入り口にして、サルトルの実存主義の原点とも言える小説嘔吐を中心に、哲学書存在と無など他の作品も紹介。加えてサルトル自身の人生や、その思想と行動の変遷についても触れながら、実存主義がいかにして希望の哲学を語るようになっていったかを多角的に探っていく。
冒頭、原子爆弾が、人類全体を破滅させうる技術であることを示唆し、「もしも人類が存続し続けていくとするなら、それは単に生まれてきたからというのではなく、その生命を存続させようとい -
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サルトルの思想である実存主義の二つの定式「実存は本質に先立つ」と「人間は自由の刑に処されている」をサルトル自身の小説から引用したり、彼の生き方に触れて解説してもらった。
また、後半にはアンガジュマン(自分自身を参加させる(拘束する)の概念や戦争時代のサルトルが感じていたこと、政治などへの参加していた歴史について語られていた。
ボーヴァワールとの自由契約も興味深かったが、サルトル自身のド派手な生き方にも驚きが走った。
実存に先立ち、自由の刑に処されているからこそ、
人間はどうあるべきか?現代に置き換えて思考し、その上で来る未来に向けて準備すること(時代がどう移ろいでどのように捉えていくべき -
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晩年のサルトルと秘書のベニィ・レビィとの対談記録である。対談編ということで、読みやすくはなっている一方で、哲学的な基本概念を理解していないとなかなか追いつけないだろう。特に「8.政治よりももっと根本的な」以降は、「友愛」と倫理や暴力の関係性の話がメインとなっており、「友愛」の概念をある程度知識がないと理解が難しいだろう。やはり「希望」を語るには、過去の革命や、当時起きていた植民地解放運動の話を抜きには進めることはできない。現代は場所が変わっただけで、世界情勢はサルトルがいた時代と近くなってきているような気がする。仮にサルトルが今も生きていたら、技術や経済だけが発展したような、今日の世界に対して
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無知過ぎるんだけど、実存主義は結構古くからの思想かなと思ったら、戦後からだったのか。
読むと解放と不安の時代だからこそ生まれたのだと納得。
「実存が本質に先立つ」というのは何となく分かっていたけど、
「人間は自由の刑に処されている」というの実存主義からなのね。
改めて諸々を神様のせいに出来ないから、自分で決定し、理由を見い出さなければならない…「人間って面倒くせえ」って事を噛みしめてしまった。
あと、私と物の関係だけでなく、他者からのまなざしによって自分の存在が規定されるとあったけど、
そういう意味では神はいないけど世間という神の逆鱗に触れないように生きているなと思った。
ただ、他者のしが -
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サルトルの実存主義とは何かの解説本。他の書籍も引用しながら、サルトルの思想を述べている。
以下、自分用のメモ。
サルトルは実存主義を以下のように定式している。
第一の定式が、「実存は本質に先立つ」。
第二の定式は、「人間は自由の刑に処せられている」。
実存とはこの世界に存在することであり、本質とはどのように作られたかや、その存在理由といった総体。
仮に全知全能な神が存在すれば、本質が実存に先立つ。しかし、神がいないのであれば、人間は存在が先にあり、その後に本質がわかる。つまり、人間は、後天的に作られていく。
ここに主体性や投企、自由が絡んでくる。サルトルが希望にこだわっているのも、 -
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サルトルの解説自体は素晴らしいのに特別編コラムで全部台無しだよ。「現代はサルトルを履き違えた活動家が跳梁跋扈してるよな」と思いながら読んでたら著者が見事にその落とし穴にハマっていたというどうしようもないオチが付いた。SEALDs礼賛とかアホかと。「3つの籠に5個の卵を詰め込むやつには、早めに風穴を開けるべし」サルトル自身が遺したこの言葉を著者には送りたい。
それはさておき、サルトルの哲学を理解するための入門書としては悪くないと思う。自らを社会に投げ込むことで知られる実存主義者がなぜできあがったのか、そのプロセスを丁寧に説明している。それだけに最後の蛇足が非常に残念。 -
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本書は、かのサルトルが秘書のレヴィの問いに答えるかたちでまとめられた対談である。終盤、自分は長くてあと5年で死ぬだろうと語るサルトルだが、このわずか数カ月後に74歳で亡くなってしまう。身体の至るところにガタが来ていたという。日本ではサルトルの死とほぼ同時期に発表され、大きな反響を呼んだ。
ボーヴォワールはじめ、サルトルに近しい人たちは、この対談を読んだとき驚愕したという。そして強い怒りとともに、発表を控えるようにサルトルに進言した。その内容が、彼のこれまでの哲学からかけ離れたものだったからだ。彼らには、老いて思考力が衰えたサルトルを、40も年若のレヴィがうまく誘導して、自分に都合のいいように -
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戦後を代表する知識人の一人である加藤周一の生涯と思想について、著者自身の観点から比較的自由に語っている本です。
加藤周一については、鷲巣力や成田龍一といった論者たちがその思想的経歴について立ち入った考察をおこなっていますが、本書はフランス文学を専攻し、加藤に近い立場から文学や思想、政治についての評論をおこなっている著者が、加藤の著作を読み解きながら、ときに疑問を提出しつつ、彼の思想にせまっていく試みだといえるように思います。
著者は、戦後の加藤が「エゴイズムを拡充した高次のヒューマニズム」を掲げ、「作家は自己の戦争体験から出発せよ」と主張した荒正人を批判していたことに着目して、「観念によっ