海老坂武のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書は、かのサルトルが秘書のレヴィの問いに答えるかたちでまとめられた対談である。終盤、自分は長くてあと5年で死ぬだろうと語るサルトルだが、このわずか数カ月後に74歳で亡くなってしまう。身体の至るところにガタが来ていたという。日本ではサルトルの死とほぼ同時期に発表され、大きな反響を呼んだ。
ボーヴォワールはじめ、サルトルに近しい人たちは、この対談を読んだとき驚愕したという。そして強い怒りとともに、発表を控えるようにサルトルに進言した。その内容が、彼のこれまでの哲学からかけ離れたものだったからだ。彼らには、老いて思考力が衰えたサルトルを、40も年若のレヴィがうまく誘導して、自分に都合のいいように -
Posted by ブクログ
戦後を代表する知識人の一人である加藤周一の生涯と思想について、著者自身の観点から比較的自由に語っている本です。
加藤周一については、鷲巣力や成田龍一といった論者たちがその思想的経歴について立ち入った考察をおこなっていますが、本書はフランス文学を専攻し、加藤に近い立場から文学や思想、政治についての評論をおこなっている著者が、加藤の著作を読み解きながら、ときに疑問を提出しつつ、彼の思想にせまっていく試みだといえるように思います。
著者は、戦後の加藤が「エゴイズムを拡充した高次のヒューマニズム」を掲げ、「作家は自己の戦争体験から出発せよ」と主張した荒正人を批判していたことに着目して、「観念によっ