ジュール・ルナールのレビュー一覧

  • にんじん

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    以下、中学2年生の時に書いた読書感想文をそのまま掲載:
    「あなたの分のメロンはないわ。だって、あなたは私と同じでメロンが嫌いだから…ええ、まちがいないわ」
    「そうか、ぼくはメロンが嫌いだったんだ。ママが間違いないと言うなら、間違いない。」
    ジュール・ルナール作の「にんじん」。この本は、あらゆる面で私に大きな衝撃を与えたし、私なりの大きな褒め言葉としてあえてこう言いたい。「出来ることならもう二度と読みたくない」。それほどに悲しくて、痛い。
    まず、この話の主人公の本当の名前は最後まで分からない。なぜかといえば、この主人公は終始周りから「にんじん」と呼ばれ続けるからである。にんじんは髪色が由来のあだ

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    2024年12月21日
  • にんじん

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    激甘の父親の本を読んだ後は、激辛の母親…
    読むの辛かった…けど、にんじんが本当に健気で冷静で思慮深くて。今すぐ助け出しに行きたくなるけど、ちょくちょくと入る隠喩やにんじん自体の考え方が素敵すぎて。
    そして一編あたりが短いのも助かる…見てられないよ。
    じわじわと自立、成長する人参のほんの一部分を垣間見れました

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    2023年05月21日
  • にんじん

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    ネタバレ

    痛い。痛過ぎる。表紙イラストのかわいさ故、ディズニー的ハッピーエンドを期待して購入したが、初っ端から虐待の嵐。顔が引き攣るシーンが度々出てくる。毒親の発言が自分の思考と化していた(刷り込み、思い込み?)が、大人になるにつれ、自分の意見をちゃんと言語化できていく。最後の、「ああ、誰も僕を愛してくれないんだ」のセリフが出た時は、苦しいながらも、ちゃんと自覚して言葉にできて良かった、とにんじんの成長を感じた。

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    2022年05月12日
  • にんじん

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    これは大人が読む本だと今さら気づいた。子供の頃読んだ気がするがたぶん子供向け版だったと思う。赤裸々な自伝である。子供時代の思い出は無邪気なだけではないはずである。両親のいやな面を見たり、残酷なことを楽しんだり(動物だけでなく人に対しても)、異性に性的な感情を抱いたり。みんなが平気で忘れて向き合わない恥ずかしい子供時代。これこそがこの作品の素晴らしさだ。読んだきっかけは大竹しのぶのミュージカル「にんじん」を見たからだが、原作には悪役の母親も正義の味方の女中も純粋な主人公も出てこない。とても人間らしく、時に懐かしく時に失望させられるそんな家族、仲間、知り合いたち、にんじん本人だ。

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    2017年08月22日
  • にんじん

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    すばらしかった。名作と評判だったので読んでみました。
    最初あまりに主人公が家族にいじめられるので、
    知的障害があるのかとか、ものすごい人格に問題があるとか理由があるのかとおもったら、何もない。
    兄や姉、たまに父親とは一対一だと普通に接しているし、愛情を感じる。
    主人公に悲しさを感じた時、時々現れる残忍性に裏切られたような気持ちにもなる。
    そして、最後の反抗、そして父の告白。
    少年の葛藤と自立がそこにあって、頭を殴られたような衝撃を受ける。

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    2015年01月29日
  • にんじん

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    これで一冊書けてしまうルナールがすごい。ただ滑稽に見せたいのでも悲劇的に訴えたいのとも違う。嘘でも本当でもない見せ方で経験と和解することができるのが彼だったのだとしたら、なんて偉大な書き手だったのだろう。個人的に背表紙の作品紹介は、?と思う。

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    2011年12月18日
  • にんじん

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    ジュール・ルナールの代表作「にんじん」。10年ぶりに再読。
    家族全員から「にんじん」と呼ばれる時点で、すでに悲劇だが、特に母親から愛されないことへの反抗心と極端な自我を発揮する「にんじん」は強く、たくましい。
    父親との手紙のやりとりや兄弟との会話、挿絵の雰囲気などは、どこか滑稽で、愛情溢れる家族にも見えてくる。

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    2011年11月14日
  • にんじん

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    ネタバレ

    『にんじん』なんて可愛らしいタイトルの意味が切なくなってしまった
    最後まで主人公のにんじんは誰にも名前を誰も呼ばれなかったのだ

    お母さんのにんじんへの仕打ち、価値を見いだした途端気にかけ始めるお父さん、兄、姉もにんじんのこと下に見てるのがよくわかる

    そりゃ、にんじん、歪むよね
    途中途中に入る動物へのにんじんの仕打ちがにんじんの歪みをあらわしていたように感じた

    なんかどのエピソードもパンチすごくて、それでも誰かに愛されたいと願い叶わず、から回るにんじんの姿が上手く表現されている
    全て話、母親から離れたいと願ったのに父親になだめられるようなこと言われたにんじんの気持ちを思うとあまりにも痛いで

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    2025年10月31日
  • にんじん

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    1894年の作品。自伝小説。母親によるDVからサヴァイヴしていく話‥‥想像していたより切なくて深かった。

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    2023年10月12日
  • にんじん

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    にんじんって大人が考えてることがわかってしまう非常に切れ者な少年であると思う。先回りして色々なことをするから。でも、そんな風に行動するのも家での扱いのせいで自然と身についた自分を防御する方法なのかなって思うとすごく胸が痛い。ひねくれ者の少年だけど、誰よりも愛に飢えている感じがあってそこがまたいじらしくて…。でも淡々と進んでいくストーリーを読んでいても彼決して家族(特にお母さん)に負けていないと思う。

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    2023年01月30日
  • にんじん

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    ネタバレ

    訳者による解説が秀逸である。今から読むならこの高野優さん訳の新潮文庫版をおすすめしたい。
    にんじんはかわいそうだけど、にんじんも小憎たらしいところがあるからそこまで感情移入できないというような書評や感想を目にしたことがあるが、なぜにんじんはそういう言動に及んでいるのかということだ(訳者の違いによって、よりどっちもどっちと受け取れるような訳になっているものもあるのかもしれない)。
    誰がなんと言おうが、このにんじんという作品は母親に苦しめられている少年が母親を拒否するまでの成長を描いた物語である。
    なんとなく児童文学ぽく扱われている気がするけど、大人こそ読むべき本ではないかと思う。

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    2021年03月06日
  • にんじん

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    にんじんへの、母親からの精神的虐待はすごい。
    ときどき優しさをみせる辺りがいやらしい。
    にんじんは、といえば子供らしくズルをしたり、嘘をついたりしながらも、強く逞しく日々を過ごしている。
    その成長する姿に痛ましさと、愛おしさを同時に感じる。短編集のようでありながら、巧みな構成に沿って描かれているところも面白い。

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    2021年02月25日
  • にんじん

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    レジリエンス。

    母親から精神的虐待を受けている少年(にんじん)の話。反旗を翻す後半の内容は読み応えがある。終始可愛そうだなぁ…としか思えなかったが、ちょっとだけ希望を感じた。

    本の表紙とは裏腹に胸糞作品。

    訳者のあとがきで頭が整理できた。

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    2020年06月27日
  • にんじん

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    ジュール・ルナール『にんじん』新潮文庫

    はじめの方は、読み進めれば進めるほどに憤りや嫌悪感、不快感が募るばかりだった。

    一言で片付けるなら、かわいそうなにんじん。

    しかし、話が進むにつれて、段々とお母さんの方がかわいそうに思えてくる。

    なぜなら、お母さんは誰にも好かれていないからだ。

    一方のにんじんは、母親からの精神的虐待はあるものの、彼を想う人は周りにいく人もいる様子だ。

    特に、名付け親のおじさんは、この話のなかで唯一と言っていいほどにまともで暖かい人物である。

    ルナールの自伝的小説である本書の大きなメッセージの一つであり、ルナール自身が最も求めた言葉が、次に述べる名付け親のお

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    2015年07月18日
  • にんじん

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    初めてのフランス文学。
    原宿ブックカフェで紹介されて気になってた。内容がまあ凄まじい。そして本の中にも挿絵があって可愛い!

    赤毛のにんじんが母親に虐待されるんだけど、重苦しくなくユーモラスな話。可哀想って思うけど笑える変な感じ。

    文化の違いで理解し難いとこもあるけど、テンポ良くて読みやすかったです。

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    2015年03月27日
  • にんじん

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    「人には言えないこと」の話。

    一度、慣れてしまったら、世の中にはひどいと感じなければいけないことなんか、ひとつもないのだ。


    慣れって怖ろしい。


    今度は原文で読みたい。

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    2014年11月20日
  • にんじん

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    無邪気で強かなにんじんが大好きです。そんな彼なので、ときどき感情を露わにしてるときゅんとします。
    おしっこもらしちゃう話と、寮の話が好きです←

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    2012年10月30日
  • にんじん

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    いじめられっ子の立場において
    家庭内に居場所を見いだしている男の子がいる
    彼は本当の名前を剥奪され
    「にんじん」というあだ名でしか呼んでもらえない

    家庭内にある歪みの中心に「にんじん」は立っていて
    そこに決定的な亀裂が入らないよう押さえている
    そんな「にんじん」を家族たちはむしろ
    愚図で意気地なしのどうしようもない奴だと考えている
    …そういう形で家族たちは「にんじん」を愛しており
    また「にんじん」も家族を愛してはいるのだが
    ときどきいたたまれなくなる彼は
    自分より弱い誰かを見つけてきて
    自分がされる以上の残酷な目にあわせたりもする

    さて、この家族たち…直接「にんじん」をいじめるのは主に母親

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    2012年08月01日
  • にんじん

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    なんともつかみ所のないと言うか、複雑な話だった。荒唐無稽であるようにも思う。
    表向きな物語としては、その風貌から母親から疎まれ、イジメのような仕打ちをうけながらも賢明に生きる少年の物語となるのだろうか。
    しかし、これはそうそう簡単な物語ではない。
    ストーリーから考える少年像としては、素直で純粋だが、心の強い男の子というイメージがわくのではないだろうか。しかし、この物語の主人公、通称にんじんは、けして、誰もが愛する事の出来るような少年ではない。暴力的で、陰湿ですらあり、ハッキリ言って嫌な子供なのである。少年犯を犯す現代っ子の様な心理の持ち主なのだ。母親にしろ、ただ意地悪な母親ならば分かりやすいの

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    2009年10月07日
  • にんじん

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    こんなに母親ひどかったっけ…? というのが大人再読時の感想。めげるな少年。と思いきや意外に飄々としてて、なんだか励まされる。

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    2009年10月07日