ゴーゴリのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ各地で「死んだ農奴」売買を済ませて宿に帰って、一夜を明かした所から始まる
売買登記を裁判所で済ませた後、知事の家で晩餐会か開かれ、お偉いさんの夫人方にもチヤホヤされ万事が上手くいっていたチチコフだが、ある噂が立ってから町中の人間に避けられるようになる
その理由を知ったチチコフはN市を急いで出発する…
この巻は、上巻に比べて物語要素が薄く、当時のロシア(あるいはN市)の人間模様や価値観が詳細に描かれている。作者が顔を出して文学評論をしたり、ロシアのすばらしさを語り出すなど、一味違った面白さがあった
とはいえしっかり物語としても面白く、作品全体の「転」にあたる章もあったりと次の展開が気になりな -
Posted by ブクログ
2月にバーゲンで、定価の1/3で外套を購入。
ロシアで着ても大丈夫な位暖かいですが、でーじ重い。
1.5kgもあります。
この外套に身に包んだ瞬間、何故か、ゴーゴリの『外套』を読みたくなりました。
この作品は、悲喜劇なんですが、プロレタリア兼人望の無い、しがない安サラリーマンには、身につまされて笑えませんでした。
昨日も、永年勤続で賞金を貰いましたが、お偉いさんから、会社に返せとかチクチク嫌がらせを受けたし。。。
これって、パワハラじゃないかと憤りながらも、しっかり返しませんでした。
そこで一句、やせ蛙、負けるなまるま(○ま=一色の碧い彗星の略称)、ここにあり。パクリ。
感動したっ!以 -
Posted by ブクログ
▼ゴーゴリさんというのも、「いつか読んでみよう」と思っているうちに、「あれ?読んだのでは?」という気になってしまったいましたが、読んだことはありませんでした(笑)。
▼19世紀のかなり前半の人であり作であるはずなので、つまりはトルストイとかドストエフスキーの「ひとつ前の時代」。そう考えると、18世紀という間に、「産業革命」「資本主義」「ブルジョワジー」「都市」「現金貨幣経済」みたいなものがモスクワまで行きわたっていたんだな、という感慨。そういうものがないと、「ブルジョワジー向けの物語商品」というのは生まれないので。
▼「鼻」は、自分の「鼻」が独立した人格として活動をはじめてしまうというスラ -
Posted by ブクログ
ネタバレチチコフの遍歴がようやく終わりを遂げる
場所は移り、明示的に農奴の購入をする場面は無くなったが、引き続き購入はしていたらしい
ゴーゴリの初期の構想、ダンテの『神曲』に準えるということから、本巻収録の第二部は「煉獄編」に当たり、ロシア人の善性が描き出されることとなる
自身ののらくらさや惰性を悪いとは思いつつも変えられない人々が善に傾く様子が描かれる
その転換からはチチコフも逃れること能わず、新たに手を出した詐欺の発覚を皮切りにこれまでの悪行が司直に暴かれる
一度見逃されていたチチコフは、今度こそダメだと絶望のどん底に陥るが、そこに救いの手が差し伸べられる。
当時のロシア文学らしく救いの手段は -
Posted by ブクログ
詐欺師で人当たりのいいチチコフが、宿泊先のホテルを拠点に各地の地主を巡って「死んだ農奴」を譲ってもらう。その道中で様々な人種─酷く偽善的だったり、粗暴だったり、けちだったり─に出会う。
作者であるゴーゴリが想定していた三部作の一部目にして、ロシア帝国の悪の部分を知らしめるパート。事実、農奴が死んだことに対して何の憐れみの念ももたずに頭数の損失、ひいては無駄な税金を払わせるとして鬱陶しがる始末。
主題と関係ないところで言うと、チチコフが一日で食べ過ぎなところ。実際に地の文で「こういった連中の食い気と胃の腑には、作者も羨望を禁じえない。」と書かれている。
言い回しも古風なところがあって当時の時代感 -
Posted by ブクログ
光文社古典新訳文庫のこちらには、浦雅春さんによって落語調で翻訳されたゴーゴリの三作品が収録されている。ゴーゴリはおろかロシア文学のロの字も知らない私だが、落語調、というのが気になって手に取った。
『鼻』がいきなりすごく面白い。ある朝床屋が焼きたてのパンを食べようと半分に切ったら、そこになんとお得意さんのお役人の鼻が入っている(のっけから、不気味とか不穏とかを通り越し、あらゆるルールを無視した世界であることが提示され、むしろ安心して読んでいける)。おかみさんに捨ててこいとどなられて捨てに行く。当のお役人の方も、起きたら鼻がないことに気づいてたまげている。町に出ると、馬車から自分より身分の高い -
Posted by ブクログ
恥ずかしながら名前は知っているがいつの時代の人も分かっていない。ただポップで、ドフトエフスキーが「我々は皆ゴーゴリの『外套』から生まれ出でたのだ」が気になったのと、『鼻』がどんな話なのか異常に気になったので、がちがちの訳の岩波文庫でなく、なんとなくライトな訳本のイメージのある光文社版を購入して読んでみた。
一言で言えばなんとも不思議な世界。決してすごくこった話でもないし、派手でもない。それなのになんだろうこの読後感。『鼻』にいたっては何ともいえず笑えてくる。しかも結末としてなんともすっきりしない。パンの中から出てきた鼻が服着て歩いて違和感がない。くすくす笑えるのになんだかぞっとするそんな作品だ -
Posted by ブクログ
『鼻』を新作落語にできないだろうか、などと考えながら読んだ。落語調に訳すという試みは、自分は面白いと思った。でも、あくまでも「調」なのであって、本寸法の落語ではない。だからこれを元にして、プロの落語家や落語評論家が手直しすれば、新作落語に「改作」できるのではなかろうか。それを白鳥師匠が演じたら…などと、妄想が尽きなかった。
いわゆる「古典」だからといって、肩肘張って読まなくてもよい。このことに気づけたのは大きな収穫だった。
作品自体のレビューも忘れずに書きたい。喜劇『査察官』も面白かった。皮肉の利いた言い回しとドタバタっぷりが、面白い。そして、幕切れの前衛的な雰囲気に息を呑んだ。このシーン -
Posted by ブクログ
第2部は第4章までで後は第…章になっている。完成していた現行をゴーゴリが死の直前に暖炉に放り込んで燃やしてしまったせいらしい。所々抜けている箇所があって話が飛んでしまっているのも残念。結局チチコフは途中で念願を叶えたらしいがそれも失ってしまい最後はアイデンティティを喪失して去っていく。各地を地主を訪ねて遍歴していくところや地主の屋敷でイベントが起こる箇所などはナボコフも言っているようにドンキホーテの影をみることができる。当初は神曲のような構成にしたかったらしいが煉獄篇で終わってしまった感じ。地主は贅沢や賭博にうつつを抜かし、農奴は飲み屋に入り浸り、役人は賄賂で私腹を肥やすことしか考えないという