加藤洋子のレビュー一覧

  • 戦場のアリス

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    WW1、イヴはアリス・ネットワークのリリーの下で対ドイツのスパイ活動に身を投じる。一方WW2後に行方不明になったローズを探すシャーリーはイヴと出会い、二人の運命が交錯する。

    「狙撃手ミラの告白」で重厚な筆致と史実をベースに組み立てたミステリを読ませてくれたケイト・クインの邦訳第一作です。第一次大戦にフランスを舞台にイギリスのスパイとして活躍したアリス・ネットワークは実在ですし、多くの登場人物も実在です。それら戦争期に実在した出来事をベースに創作を乗せて小説にするのはケイトの十八番ですが、今回はスパイが題材ということで、概ね怖いし痛いし辛いし、読んでいて大変しんどい作品になっていました。最後に

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    2025年05月10日
  • 狙撃手ミラの告白

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    大好きな作家さんの作品なので、少しずつ読みました。逢坂さんの「同志少女よ敵を撃て」と、時代の設定といい、舞台といい、主人公が女性スナイパーといい、結構かぶっていて、まるで姉妹作品のように感じました。しかし、こちらのほうがより過酷です。次々と同志がドイツ軍に殺されていき、本当に戦争の残酷さを痛感させられます。でも、アメリカ大統領夫人エレノアとの交流は興味深く、最後まで楽しく読めました。次回作にも期待です!

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    2025年04月27日
  • ローズ・コード

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    ケイトクインにハズレなし!暗号解読に挑む3人の女性の物語。裏切り者は誰なのか、過去と現在を行き来して進むストーリー。750ページにも及ぶ大作で、さすがに前半はなかなか読み進められませんでしたが、仲の良かった3人に何が起こって、なぜバラバラになったのかに興味が惹かれて、ちまちまと、なんとか読み進めました。そして終盤の第4コーナーを回ったあたりからは、物語が一気に加速して、怒涛の展開!最後まで素敵な3人組を堪能しました!

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    2025年02月27日
  • ローズ・コード

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    第二次大戦中のイギリスでドイツ軍やイタリア軍の暗号解読をしていた施設ブレッチリーパークを舞台に、そこで働く3人の女性を描いた物語。物語といっても事実に基づいていて、実在の人物をモデルにした登場人物も多いとのことに驚いた。ロマンス比重高めなのは個人的にはあまり好みではなく、それよりもっとクリブやボンブ・マシーンなどの説明を詳しく書いてくれたらよかったのにとは思うが、なんとなく華々しいイメージのある暗号解読が実際には分業で地道な作業(なかには力仕事も)を行うものであり、口外できないことによる苦悩や、それでも愛国心から誓約を守り仕事を続ける様子、女性は男性と対等に働けることを喜んでいたということなど

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    2025年02月10日
  • クリエイティブという神話 私たちはなぜそれを崇拝するのか

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    創造性という曖昧なキーワードが雇う側にも雇われる側にも、売る側にも買う側にも便利な概念となり定着していった歴史を追うことができた。就職前後から頭の中にあった「創造的なことがしたい」というのが実は作られた概念であり、後付けで何とでも言えるなとも感じ、ちょっと解放されてよかった。

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    2024年12月30日
  • 不死鳥は夜に羽ばたく

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    サンフランシスコを舞台に、謎の男女、大金持ちのパトロン、チャイナタウンのしがない洗濯屋の女の子と売れないオペラ歌手が綴るミステリー。ミステリー要素は少ないけど、実際起きたサンフランシスコ地震をモチーフにしてて、終わりは予想できるものの、登場人物の心情が伝わってきて凄く面白かった。登場人物に共感するって女性が多いかな。

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    2024年11月07日
  • 不死鳥は夜に羽ばたく

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    作品の舞台は1904年、サンフランシスコ…
    この年ここで大きな出来事が起こる
    (これは実際に起きたことなので、ピン!とくる人もいるかもしれない)
    この年、画家の親友を頼ってそこにやってきたのは、オペラ歌手のジェマ…
    ひどい偏頭痛持ちの彼女はそのせいで舞台に上がれないこともしばしば…
    しかし実業家のソーントンにその美声を買われ、千載一遇のチャンスを得る
    一方、サンフランシスコのチャイナタウンに住むお針子のスーリンは、身売り同然の結婚から逃れるためサンフランシスコから遁走しようと画策していた
    二人はそれぞれに大切な親友、恋人を探していたが、やがてそれが繋がりある男の大きな陰謀を知ることになり…

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    2024年10月06日
  • 良妻の掟

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    女であることを武器にしていても、
    女であることが弱点になることもある。

    ネリーの視点とアリスの視点交互で書かれていて
    ネリーの秘密やアリスの本当の思いが明かされていく。

    女でいられる喜びと、女でいなくてはいけない悲しみ憎しみ辛さ
    理想の結婚、理想の夫婦、理想の旦那
    今はあまりない女性が男性に尽くす形
    ネリーもアリスも理想の形になれたのかな。

    ページを捲る手が久しぶりに止まらなくなった。

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    2024年09月01日
  • 狙撃手ミラの告白

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    伝説のスナイパー、リュドミラ・パブリチェンコの戦争と、大統領暗殺の陰謀。

    リュドミラ・パヴリチェンコは独ソ戦を戦ったソ連の伝説的な女性スナイパーで、確認戦果309という脅威的な記録の持ち主です。そのリューダをモデルに、伝記的ながらサスペンスを織り交ぜた半フィクションに仕立ててあります。だいたい、前半2/3を戦記、後半1/3をサスペンスのフィクションという構成ですが、圧巻だったのは戦記の部分でした。リューダは回想録も出版しており、そこからの引用が多いので実際の出来事や登場人物を多用しつつ、戦争へと踏み込んでいく国と人々をとてもリアルに描いているのが印象的でした。特に開戦時、美しいオデッサの街が

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    2024年04月17日
  • 戦場のアリス

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    史実から着想しているので内容がリアルに感じた。
    死や拷問のリスクを抱えながら任務を遂行して行く末様は胸が熱くなります。
    リリーがすてき。

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    2024年02月05日
  • 良妻の掟

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    結末は、私としては意外だった。
    あと、装丁、キツネ柄のデザインがかわいい!!

    1950年代、アメリカも日本も良妻の基準は似たようなものだったんだろうなと感じる。
    子育てと料理と庭いじりでしか輝けない時代、
    埋もれてしまっていた、本当は才能ある女性がたくさんいたんだろうな…
    キティも実はその類な気もする。

    本題とは違うだろうが、隣人に恵まれると本当にそれだけで楽しそうで羨ましい!!とも思った。
    そして結婚生活はサバイバル、その点に関しては現代もそうかなとも思う(笑)

    家が生きているようなファンタジーな表現をされるのは最初気になったが、読み進めると個人的にはだんだんと気にならなくなっていった

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    2023年11月23日
  • 結婚という物語

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    ネタバレ

    結婚して一年半ほどのアフリカンアメリカンカップル、これから二人の未来を描いていくというところで夫が冤罪で刑務所に。刑期は12年。あなたならどうする?

    妻のセレスチャル、夫のロイの手紙のやり取りの前半に加え、セレスチャルの幼馴染でロイの学友であるアンドレの視点も加わる。前半は正直ちょっとだらだらとしていて、なんどか読むのをやめようかと思った。セレスチャルの気持ちの揺らぎがつらい。
    が、後半は結構ページターナー。

    結婚の時に何か感じた違和感
    むりやりはめたジグソーパズルみたいな結婚だった
    お互い思い込もうとしてたけど、本当はこの人じゃなかった
    いやとか嫌いとか興味がないとか、そういうことじゃな

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    2023年10月18日
  • 狙撃手ミラの告白

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    読み物としては展開が速くて面白い。実在した人物だけどフィクションもおり混ざっているので、本人の自伝も読んでみたい。
    そして、この話の舞台が今のウクライナ。100年も経たないうちに同じ土地で、今度はロシアを相手に同じような戦争が繰り返されてる現実を思うと、ほんとに面白い本だったけど、ミラの考え方が良いのかどうか、わからない。

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    2023年09月04日
  • ローズ・コード

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    第二次大戦下のイギリス。暗号解読機関に在籍する3人の女性の物語。以前の作品でも人物描写が素晴らしかったが、本作でも主役の3人だけでなく登場する人物がみな特徴をもって描かれて素晴らしい。かなりの長編だが息をつかずに読み切った。

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    2023年04月13日
  • 戦場のアリス

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    飛び出すのだ。周囲から、今の自分から。
    1947年のシャーリーも、1915年のイヴも。
    ローズはどこ。イヴには何があった。
    大戦中に活躍したスパイたちの苛酷な生きざまを、エンターテイメント性をもった展開で、グイグイ引き込んでゆく。
    楽しめた。
    特にイヴ、魅力的が光る。

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    2022年06月08日
  • 亡国のハントレス

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    コロナ社会になってのここ二年、北欧東欧ソ連ものが大半を占めている。特にナチ発掘の作品。

    「戦場のアリス」でそれまで雑駁にしか認識できていなかった「血の通った戦争ストーリー」を読み、構成の素晴らしさ似た作品にない完成度に驚きを覚えた。続いてのこの作品も厚みは全く感じさせない 素材を撚り併せた結果に来る「造形の妙」を感じる。

    ニーナ~1920から/ジョーダン~1946から/現代(1950)の3本の時間軸
    そしてフィクションながら実在のモデルを筆者の飛翔で造形したキャラクターがせめぎ、生き、涙する。
    ハンター→ハントレス  女性であるため の意すら深く考えていなかっただけに ルースの存在を通した

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    2022年04月11日
  • 戦場のアリス

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    第一次世界大戦で女性をリーダーとしたスパイチームが実際にあったということに驚いた。戦場を含め、女性は看護婦など後方支援っぽい仕事しかしてないだろうとなんとなく思っていたから。

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    2022年01月06日
  • 亡国のハントレス

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    ジョーダン、ニーナ、アンネリーゼ。国籍も年代も異なる女性の1945年を挟んだ約750ページの物語。各章ごとに主要人物の名があるので読み易かったが、さすがにまじめな750ページを軽く読める筈はなく、途中何度か心折れた。が、やはり完読して良かったとつくづく思うし、その厚みに相応しい骨太の作品だった。

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    2021年11月07日
  • アウトランダー 時の旅人クレア3

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    ネタバレ

    ランダルがジェイミーを拷問侮辱。痛いし怖いし。精神崩壊寸前まで追い詰められるし。先が気になり、一気に読み切った。

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    2021年07月06日
  • 結婚という物語

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    手紙のやりとりによる時間の経過具合で、揺るぎ無いはずの愛に変化があらわれ、時には暴走した感情までを巧みに表現されており、読みながら「あぁ」とか「うぅ」と唸らされたのでした。

    正直ラスト(及びラスト前)の選択には理解が追いつかなかったけれども、そもそも結婚という物語は人それぞれの形があるのだからそれもそうだよな、と思い直し受け入れることとしました。

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    2021年06月17日