車田正美のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ようやく最新刊まで読み終わったので、シリーズの感想をまとめてこちらに。
読み始めた当初はやはりオリジナルの印象が強いせいか、絵の線が細すぎるような気がしてしまったり、『聖闘士星矢』と銘打っているとはいえ原作者の許可を得た公式パラレルストーリーな訳だから、もうちょっと黄金聖闘士の設定で遊んでみても良かったんじゃないかとか…要は、そこまで車田黄金のヴィジュアルを踏襲する必要はなかったんじゃないかとか、そんなちいさなことがいろいろと気にかかってしまった部分もあったけれど、全体としてみれば「星矢の熱狂的ファンによる愛ある二次創作」という感じで楽しく読むことができた。ちょっと気になったのは、これを気に入って読んでいるという人々は、オリジナルを知らない新規読者と、車田版からの旧来の読者とでは比率がどのようになっているのだろう。普通に考えれば後者が9割を占めて当然なのだが、この作品に関しては「外伝」としての完成度が非常に高いだけに、案外前者の割合が高いのではないかという気がしている。それだけに、もうちょっとこの作者の好きにキャラデザをいじっても良かったんではないか、そうしたらそうしたでまた面白く描けるだけの力がこの人にはあったんではないかと少しもったいない気もしてしまうが、彼女自身がオリジナルの熱烈なファンのようだし(そこが作画・ストーリー展開からひしひしと伝わってくるのが愛おしい)その辺りは原作の車田先生との擦り合わせの都合もあるだろうから、読者は余計なことなど考えず、ただ「すげえ!」と感動しながら読むのが一番なのに違いない。
という訳で、先ほど新規読者云々と書いたのに矛盾するようだが、この作品は作者としてはオリジナルの洗礼を既に受けた読者向けに発信しているものなのだろう。もちろん車田星矢を知らずとも面白く読むことはできるが、個人的には「ここは原作を意識して変えている」とか「ここは原作のあのシーンを彷彿とさせる」なんてことをいろいろ考えながら読むのが一番楽しい読み方だと思うし、感慨もひとしおだと思う。その筆頭として挙げられるのが、車田星矢ではなぜか一貫して不当な地位を与えられ続けた蟹座と魚座の今作における華麗なる復権だ。これはオリジナルを知らない人にはただのかっこいい蟹座と魚座聖闘士に過ぎないのが、知っている人にとっては「聖衣にも見捨てられたあのデスマスクが…」とか何とかそれだけで目頭が熱くなってしまうような展開なのである。ただやはりと言うべきか、十二人もいれば目立つ奴もいるし、反面パッとしない奴が出て来るのも事実で、個人的にはオリジナルで好きだった水瓶と蠍のストーリーに今作ではあまり燃えることができなかったのが残念だった。特に水瓶に関しては、シベリア師弟伝統の身内バトルであったにも関わらず、いまいち本人と友人のキャラに感情移入することができずに、あの辺りは作品そのものもやや低迷気味になっていたような気がして、読み進めるのが少々しんどかった。その分、射手座からの脅威の盛り上がり(!)には本当に驚かされたけれど…オリジナルのアイオロスも十分美味しいが、今作のシジフォスはようやく戦闘シーンや必殺技にも恵まれ、聖闘士の長にふさわしい壮絶な最期を遂げて、キャラクターに限って言えば個人的にはオリジナルよりも好きになれたパターンの一つかもしれない。その後の童虎、今巻の双子座兄弟を巡る緊迫したドラマにも、水瓶・蠍辺りで買い続けるのをやめようかな、と萎えていた気持ちが一気にどこかへ吹き飛んだ。とりあえず、15巻ぐらいから引き続き、シリーズ完結までは読み続けたいというテンションに今はなっている。少なくとも、天空に浮かんでしまったイタリア半島がいつ海上に戻ってくるのか(あの辺りイタリア国民の皆さんはどう思われているのだろうか…)事の次第が判明するまでは諦めず追い続けたい。
最後にもう一つ、上で触れた作者自身のオリジナリティに関連して、話を引っ張っていく役割のペガサスが、ちゃんと主人公らしく(笑)意図して大事にされている様子は読んでいて本当に安心する。この作品はオリジナルと違い青銅というよりは黄金の物語だから、どうしても格下の青銅が諸先輩方の影に回りがちになってしまうのは仕方ないけれど、後世の星矢に続く「ペガサス聖闘士の宿命」という設定がここでうまく機能して、テンマの出番を保証するよすがとなっているのはとても良かった。テンマもサーシャもアローンも、形は違えど自らの決意にひたむきで、見ていて本当にいじらしくなる。
それにしても、何十年という時を経てこれだけの二次創作を生み出す原作の影響力とは、本当に計り知れないものだったのだとしみじみ感じ入る。賛否両論共にあるだろうが、これも一つの「星矢」として今後も小宇宙を燃やしつつ読んでいきたい。 -
Posted by ブクログ
青銅みんなが神衣を身に着ける。
ハーデスとの最終決戦!
最後はなんだかバタバタの終わり方だけど、ちゃんと完結してくれて良かった。
女神(アテナ)捕まりすぎ・・・
最初から、その実力を発揮できれば、地球はピンチにならなくて済むんだけどな。
★全28巻(ジャンプコミックス)を読んで★
【好きなキャラ】キグナス氷河
【好きな技】スカーレッドニードル(蠍座ミロ)
【好きなバトル】ドラゴン紫龍VS牡牛座シュラ(11巻)
【好きなセリフ①】「ここを訪れし少年たちよ。きみらに女神(アテナ)を託す…」(アイオロスの遺書:11巻)
【好きなセリフ②】「聖闘士に同じ技は二度も通じぬ。今やこれは常識!!」(一輝:25巻) -
Posted by ブクログ
単行本2巻程度の予定でスタートしたって……どんだけ方針転換してんのチャンピオン編集部! 今になって明かされた衝撃の真実。
車田版の『NEXT DIMENSION 冥王神話』がものすごい速度でうやむやになってしまったことや、編集部の人事異動の件など裏事情を邪推すればきりがないが、とにかくこの手代木版が名編と化したので結果オーライではある。
どおりで連載当初と今で方向性がずいぶん違ったわけだ。当初はいろいろとパッとしない穴埋め連載が始まったと思っていたものだが……。
さておき本編。まさかの4神合体! おお、冥衣の構造が複雑な上にトーンワークばりばりなのでいったいどんな形状なのかさっぱりわからないが、とにかくかっこいいぜ!
ここできちんと合体変形を図解してくれないところに男のメカ心をわかってくれない悲しさは感じるが、どうやらケンタウロスっぽい四足に仏像っぽい多肢に光背モチーフの装飾と、本当になんだかわからないがとにかくかっこいいので良し!
圧倒的実力差のあるエルシドとテンマがうまく共闘できるバランスとりも冴えているし、夢界に囚われた射手座という伏線とエルシドの能力を上手にからめた決着も見事。出てきたと思ったら機能停止するという黄金一情けない聖闘士だった射手座(※『LOST〜』限定)がみるみる復権し、十分な説得力をもって最後の切り札になろうとは、誰が予想しただろう。
アテナのカリスマ性を十分に描いているのもいい。ある意味原作で一番説得力のなかった部分をキレイに補完するのはさすが原作ファンならではの手管だ。それにしても修行期間に数年の差があるとはいえ、サーシャの成長とくらべてテンマの進歩の少なさときたら……。黄金聖闘士を1人ずつクローズアップすると後付けで決まった時点で生まれてしまった構造的な欠陥とはいえ、そろそろ明快なパワーアップ描写の欲しいところではある。
あと、なんで手代木先生の描くアテナの衣装はあんなに清楚であるにもかかわらず妙にエロティックなんだろうか。単にボディラインが浮かんで見えるからという単純な問題でもなさそうなんだが。 -
Posted by ブクログ
山羊座と天馬星座の二元中継でお送りするヒュプノス編。
黄金聖闘士とペガサスの間に巨大な実力差があるから、聖戦を正面から描くとこういう風にダブル主人公の形にならざるを得ないんだろうけど、それをストーリー上不自然のないぎりぎりのラインで消化して山羊座のストイックな男の戦い、未熟なペガサスの成長の戦い、どっちも魅力的に描く手腕はさすがの一言。
さすがと言えば夢界という何でもありな場を利用して、ちゃっかり神聖衣登場という旧来の読者へのサービス&派手なパワーアップ描写を無駄なく出してくる手管もすごいよなー。本当にこの人のマンガには無駄がない……。