宇佐美典也のレビュー一覧
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日本では多くの課題が先送りされていることを指摘して、"個人として責任感のある政治家や官僚が、政府の組織としての無責任を助長(p41)"していると看破している.きちんとしたデータを基にした論考は信頼できるものと感じた.安全保障の問題で中国の動きを的確に捉えて、アメリカとの関係を今後どうするかを真剣に考える時期だとの指摘も納得できるものだ.日本のこれまでのあり方は、"自由貿易体制下で資源を輸入して、フルセット型の産業構造で国内の需要を賄いうる経済体制を整備し、余剰を輸出して貿易黒字を維持する(p232)"という経済安全保障のモデルであったが、これをどのように
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Posted by ブクログ
役所にいると「今の知識を使って起業できるんじゃないか」と思うことがあります。
著者は勝算もなくやってしまうんですね。
僕個人としても万が一何かがあればあいりんの辺りでなんでもやりながら生きていく気概はあります。
でも好き好んでやるべきではないんですよねσ^_^;
数年前の自分もこういうところがあったので今更ながらに反省します。
そういう意味で司法試験を断念せざるを得なくなったのは天命かもしれません。
その中で著者が行き着いた
「セルフブランディング」
は組織の中にいる僕にも大いに参考になります。
自分が得意なことは何か。
自分に何ができるのか。
徹底的に考えることは生活に余裕があるうちにやっ -
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元METIの宇佐美さんの話。自由の地獄に陥った経験を持つ筆者が這い上がるまでの話。メモ。(1)会社では目の前の仕事にしっかり取り組み、専門技能やマネジメントを習得。同時に在職中からセルフブランディングを展開し会社の暖簾を借りる形で独立、フリーエージェント化したら、もといた会社に恩を返す。
⑵会社にアイデンティティを求めるのが日本人。職業にアイデンティティを求めるのが欧米人。(3)日本の労働慣行は激しい労使紛争のトラウマと高度成長期の労働力不足の条件の組合せ。
(4)日本のメーカーというのは例えるならば、それぞれが巨大なムラだ。ムラの中で起きる事は何でもそのムラに暮らす住人で解決するので、よそ者 -
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以前から著者のブログは読んでいましたので、ブログでのPRなどにうまい具合に釣られて購入。
東大卒の若手エリート官僚が勢いに任せて退職してみたところが、それまでお付き合いしていた方のほとんどに相手にされなくて挫折みたいなお話は、すでにブログなどで知っておりましたし、官公庁でなくいわゆる名の通った大企業から独立開業された方からの同様のエピソードは過去にも目にしたことがありましたので、あまり目新しいものではありませんでした。
が、しかし、それだけで終わらないのがこの一冊。
第四章:なぜ「会社」と「国」に頼れなくなったか
では、客観的なデータに基づいた現状と将来について述べられています。
第五章 -
Posted by ブクログ
・簡単な背景を説明しますと、当時は安倍政権下で、小泉政権の新自由主義的な政策の反動からか、地域と都市の経済格差に対する批判が激しくなってきたころでした。また、次の年に参院選を控えていたため、経済産業省としても政治的に何らかの地域活性化策を打ち出すことが求められるようになり、急きょ政策の検討が始まったのです。
→省庁で政治的に政策を打ち出す必要性を感じるんだ!なるほど。
・平成23年度末に決まった公務員給与の一律大幅な削減の決定は、若手官僚が霞が関から離脱する一つの契機になりそうです。これまでは、政治家が官僚のバッシングに加わることがあっても、労働条件に直接に手を出すことはありませんでした。
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Posted by ブクログ
covid禍以前の2018年刊行だが、元経産省の官僚だった著者の政官界の状況に対する分析は今も全く違和感がない。
我が国の財政状況や安全保障についての状況分析も的を射た中庸不偏なもので、わかりやすいし、納得感がある。
今後について書かれた3章は著者の性格なのか、読者へのサービスなのか、やや楽観的に思えるが、将来は未確定だし、「先送り」が奏効することもあるという著者の指摘も踏まえれば、本書の締めくくりとしては妥当と思える。
これからの社会に生きる人は所属する組織から適切な距離をおき、自己の市場価値を高めなければいけないという著者の指摘は全くその通りだと思う。