八重野統摩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
号泣です。
悲しかったり優しかったりするだけの物語ではありません。人が死にます。かなり怖い場面も多いです。これってミステリーなの?という流れではありますが、そうではありません。だから、明かされた真実がたとえ予想通りだったとしても、それで勝ち誇ってはいけません。一人一人の境遇や偶然が絡まりあってとんでもない悲劇が起こりますが、それはただ単にそこで起きた出来事というだけではなく、そこに至るまでの長い長い時間とそれぞれの想いがそのような形になってしまったということなのでしょう。
物語の締めくくりも最高です。慟哭です。号泣です。
八重野さんの小説を読むのは2作目ですが、本当に面白くて上手です。他の作品 -
Posted by ブクログ
「この誘拐犯が本当のお父さんだったらいいのにー」
〜あらすじ〜
12月の北海道。中学2年の少女・沙耶は日常的に両親から虐待されていた。そんな中、下校途中「児童相談所の職員」を名乗る男・渡辺に誘拐・監禁される。監禁下のやりとりで男にやさしさを感じ、あることから彼女は、男が実は「本当の父親」ではないかと疑い始める。渡辺とは一体、誰で、何が目的なのか?
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虐待されている少女が主人公なのですが作品全体がとても暖かい雰囲気に包まれていて抵抗なく読み進められます。ただ、誘拐事件解決に動く警察と虐待を繰り返していた両親との描写は愛の無い親の態度が醜く、 -
Posted by ブクログ
号泣。
両親から虐待を受ける中2の沙耶は学校帰りに誘拐され、犯人の渡辺に監禁されるも、居心地の良い暮らし。
両親に身代金を要求するも、その目的は一体何なのか。
沙耶と同じく渡辺は実の父親ではないのかと思っていたし、そう願っていた。
エピローグの話では罪悪感と後悔に押しつぶされそうになりながら苦しむ姿に、ずっと涙が止まらなかった。
同じ星の下に生まれようとも、この世界は悲しいくらいに不平等だと思っていた沙耶。
5年後の沙耶は素敵な女性になったんだなあとしみじみ。
家族も過去に起きた事件を知って苦しんだと思うし、沙耶もそうだったろう。
それでも一生懸命に生きて約束を守って、という言葉に強い優しさを -
Posted by ブクログ
ネタバレ[存在の全てを]を同時に読んでいたが同じような状況で、元々の暮らしより誘拐された生活のほうが幸せって辛い。人生で看病される経験が初めて、しかも誘拐犯に看病されるとは。でも誘拐先で楽しいクリスマスパーティーを経験する様子が読んでいて嬉しくなる。病気の時の適切な対処法に、あれ?と思った事が最後につながる。医療ミスで退職し、取り違えたふたりの幸せのため何ができるか考える、そうだったのか。人の気持ちに敏感で優しいドクターだからこそだろう。たまたまだが[存在の全てを]も、この作品も、同時に2件が起こることが原因、その道のプロでも大変なのだろう。
初読み作家さん、とても良かったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ会話が独特だなあって思ってたらそういうことだったのね、、(´;ω;`)
タイトルもそうだし、神様はいないと何度も考えるのも全部そうだったのか!と驚き。
これをするための作品ではないっていうのが偉いですね。伏線、どんでん返しのための話になってないのが。
小学6年でハルは賢すぎるほど賢い、それは彼が背負うものがゆえ、無邪気に夢を追うことが出来ないと早くに分かってしまったから彼は大人になってしまっている。
三宅とイリス3人のやりとりが可愛い。
あとがきの著者の経験も興味深い。僕たちの青春はちょっと特別といい最近は面白い本が多くて嬉しい。 -
Posted by ブクログ
なんて切なく、悲しく、思いやりのあるお話しだったんだろう。
中学2年の有乃紗耶は親から虐待を受けていましたが、3か月前からパタリと虐待がなくなり、夜に海釣りに行こうと言われ、自分は殺されると思い児相に連絡をします。
その数日後、児相を名乗る「渡辺さん」に誘拐され、警察に身代金要求の犯行声明が届きます。
紗耶の受けた虐待に、心が痛くなりました。
誘拐されましたが、誘拐された日々の方が温かいご飯や布団に幸せを感じ紗耶が受けていた日々の辛さがわかりました。
渡辺さんがどうして紗耶を誘拐したのか、最後にわかりますが、これもまた切なくウルウルきてしまいました。