神山典士のレビュー一覧
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全国に店舗を持つイタリアンのチェーン店「カプリチョーザ」創業者の一代記。創業シェフの本多征昭氏の生い立ち、北海道の出身と知ってまず驚き。
単身イタリアに渡って料理を学ぶ経緯が、1960年代ならではの破天荒さ。今でこそ、イタリアで修行してきました!なんてシェフはたくさんいるけど、その先駆けだったんですね。帰国して1970年、大阪万博のイタリア館でシェフを務め、1978年に渋谷でカプリチョーザを創業。わずか6席の店が味と手頃さで注目され、芸能人やメディアの贔屓になり、イタメシブームの一角として波を興し、どんどん名を上げていく。このへんの展開は痛快・胸熱!
シェフの神業的な技術やセンスあってのレ -
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石破茂が地方創生について語るのかなと思ったが、その内容はごく僅か。本書の大部分は、地方創生の事例紹介。それで目的を果たせる人もいるだろうが、石破節を期待していた私には少し物足りなさも。と思ったが、ジワジワと噛めば噛むほど滲み出るような石破目線を発見して嬉しくなる。別に石破茂ファンではないのだが、彼のマニアックな面が好きなので。
ー 地方創生の現場では「よそ者・ばか者・若者」が必要とよく言われます。これは、地元にずっと住んでいる方々だけでは気づくことのできない視点を取り入れる必要があるということ。
で、石破茂が滋賀県をプロデュースするならという話に。滋賀には、すごく特徴があって、国宝とか重要 -
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北斎の生涯や画業に関する本は数あれど、この本は北斎が如何にパリで評価されるようになり国内でも認められるようになったのかがテーマ。
明治開国間もない頃にパリで画商をした林忠三。彼によって印象派の画家達に浮世絵が広がった。浮世絵を海外に流出させた売国奴的な評価されていた忠三が、本作では真逆の評価に。
晩年の肉筆画のパトロンとなった信州小布施の豪商高井鴻山。彼が江戸から北斎を呼びよせ庇護した事で、かの地に沢山の北斎の作品が残された。そして近代になり鴻山の子孫が、今の小布施の街づくりに携わってきた経緯が克明に書かれている。
美術書と言うよりも経済的なノンフィクション。 -
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佐村河内守の偽作事件の経緯をまとめたノンフィクション。佐村河内守の生い立ちから、ゴーストライター新垣隆との出会い、偽作や経歴詐称の実相、発覚に至る経緯まで、時に目を背けたくなるような生々しい事実が、関係者間のメール記録や広範な取材で得た証言から明らかにされている。元が週刊誌の記事であるため、佐村河内の特異なパーソナリティーの「暴露」に力点を置く一方、佐村河内の「物語」を受容した大衆社会の構造的問題への追究は薄い。現在の新垣隆の「天才」に対するマスメディアの扱いや、あっという間に何事もなかったかのように事件を葬ったクラシック音楽界の状況を考えると、人びとはこの事件から何も学んでいないとしか思え