都築響一のレビュー一覧
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明快で痛快。著者の編集者魂が炸裂している一冊。
『POPEYE』や『BRUTUS』の編集に携わった著者は、「おもしろいとわかっているから」取材に行くのではなく、「おもしろそう」だから行く、編集会議は集団責任回避にすぎないから一切不要、そんなことしている間にネタの鮮度はどんどん下がる、と一刀両断。雑誌を作るのに読者層は想定しないし、マーケットリサーチなど一切しないと、にべもない。
読者を見るのではなく、自分を見る、「スキマ」ではなく、「大多数」を見る、その自分の目を信じて取材に突き進む。有名建築家がデザインした豪邸に住んでいるひとより、狭い賃貸マンションに住んでいるひとの方がずっと多い。デートで -
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ネタバレブックカフェでふと手に取ったところ、一気に読んでしまった。前から気になってたけど、読む機会がなかった。
Tシャツにまつわる話というよりは、持ち主が自分の人生を語る中でちらっとTシャツに触れる、という感じのスタイル。
著者はポール・オースターの「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」と同じような試みになったと書いていたが、僕は昔、中島らもがフリーペーパーか何かの取材で、軽い気持ちで近所の商店の人達に人生を語ってもらう企画を始めたが、あまりにも話を聴いた人の話が重たくてシャレで済まなくなった、と書いていたのを思い出した。
著者の周辺の人達に話を聴くことから始めているので、編集者とか業界人が多 -
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東京に住んでいる頃は中央線が大好きだった。
中央線沿いの初めての一人暮らしの部屋は6畳一間のワンルームでも私にとってはお城だった。今は地方に住んでいるが、ROADSIDEは十分に面白い。わざわざ旅行で来たら王道しか行かないけれど、住んでいれば寄り道ができる。その寄り道に、深みがある。本当に激渋な地元民しか知らない情報は、インターネットには載っていない。地元民も、あまりに当たり前すぎて特に注目していないものも多く、確かになかなか表に出て来ない。よそ者である自分だからこそ見えるものがあると思っているので、作者の視点には共感するところがあった。
勝ち組負け組、というくくりにとらわれず、自分なりのスタ -
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大学で就職活動が迫ってきたころ、「なんだかこの先の人生、タイヘンで、めんどくさくて、つまらなそうだなぁ…」と鬱々としていた時に、「TOKYO STYLE」と出会った。「あ、こんなふうにテキトーに生きてもいいんだ?」「こんな人が現実にたくさん存在してるんだ!」と救われる思いがした。自分も「多数決で負ける子」の方の人間だったから。
出版とはまったく無関係の仕事をしているけれど、この本に書かれている著者の仕事に対するプライドや愛情は、とても素敵で、その姿勢を見習いたいと思った。自分の仕事を全うするためなら、60歳になっても人に頭を下げられる、「毎月の振込よりも、毎日のドキドキの方が大切」とか言い切 -
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森本あんりさんの「反知性主義」を読んだあとでしたので、都築さんの一貫した立ち位置が良く分かる気がしました。美術館で展示されている絵が、コンサートホールで聴く音楽が、俳人・歌人・詩人といわれている方は発表するものが俳句・短歌・ポエムである…という権威、特定の領域を、特定の大学や特定のルートで修めたことを持って、それ以外のルートから誕生するものに対して、越権行為を働いていないか。都築さんは、たくさんのものを示すから、おのれの物差しで良さを感じとることをずっと訴えているように思いました。『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』の取材で思うに、地方出身の東京在住者、地方に住みつづけている人、前者は
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とても面白い編集者、物書きとしての語り。
聞き書きの形なので、内容的には、さっきと言ってること違うじゃん!みたいなとこもあるけど、概ね一本筋のとおったロックな生き方をしてるなぁと思う。
こんなふうに生きていける、食べていける仕事人は少ないし、とても魅力的に映る面もあるけれど、組織に属している多くの人がそれぞれの枠のなかでしっかりと堅実に作っていくものもまた、世の中に必要とされ、消費されることで、バランスが保たれている気がする。
どちらのスタイルが良い悪いとか、多くの編集者、出版社がダメなわけでもなく、それぞれの領分のなかでできる仕事があるんだろう、と思う。 -
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ヒップホップがファッションでもスタイルでもないコトバの表現行為であることに改めて撃たれました。むかしむかしロックに日本語の歌詞が乗るか?という論争があったそうですがR.U.M.DMCやエミネムの圧倒的な存在があったとしてもこの国のヒップホップは、はじめに日本語ありき、なのだと思いました。ラッパーが言う「リリック」(インタビューでは誰もが絶対「歌詞」とは言わない!当たり前?)とは、まだ言霊が信じられていた万葉の時代の「歌」なのではないでしょうか?いまヒップホップは安定という幻想の底が割れた時代の万葉集!万葉集に東歌というジャンルがあるように地方での仲間、生活を中心にリリックを紡ぐという表現活動は
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地方の美術館 田舎の不良 でんがりゅう田我流 ほんとのワルはけっこう、音楽が好き 石和 甲府 ブロックパーティ なえふきし苗吹市
コンサバ (思想) : 保守 (Conservative) 、「保守主義」(Conservativism) の略。対義語はドラスティック(革新)。
ロー‐ファイ【lo-fi】《ハイファイをもじった語。low fidelityの略》録音環境や再生音質が悪いこと。また、意図的に質の悪い音響機器を使ったり、雑音や不明瞭なリズムなどを取り入れたりしたポピュラー音楽。→ハイファイ
ノリキヨ 相模原市 座間市 米軍基地 団地 墓石屋 茅ヶ崎市 スケボー ひとのアラをつくのがう -
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現代の路上詩人とも呼ぶべきラッパー15人についてまとめたものです。それぞれの「生き様」から放たれる言葉たちは「ストリート」の中から産み落とされたもので、個人的にはその全てには共感できませんでしたが…。
正直なところを言うと、僕はヒップホップをほとんど聴きません。大学時代にエミネムを少し聴いたことがあるくらいでしょうか?本書は、「現代の路上詩人」とも呼ぶべきラッパー15人のインタビュー記事をまとめたものです。
なぜこれを僕が手に取ってみようかと思ったのはまったくの「第6感」からだったのですが、特集されているラッパー15人はその殆どが「ワル」と呼ばれる人たちで、「ヤンチャ」して、お決