遠藤武文のレビュー一覧
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同一同時刻に起きた事件。
同じ人間が犯人に思われたが、500km離れた二つの現場で同時に事件を起こすことはできない。
たぶん不可能犯罪を解決していく過程で国家的陰謀を絡めた物語にしたかったのだろうと思う。
本多のキャラクターには最初から違和感を感じていた。
偏執的な一面を前面に押し出した描写に始まり、自分が価値を認められない(見出すことが出来な)相手を見下すところもある。
忠告してくれた人もいたのに耳を貸さず、危機感もなく、考え足らずの行動にはしる。
本多に限らず登場人物たちのキャラクターがどれも浅い。
この人はこんな人間ですよ…とでも言いたげなストレートすぎる台詞や描写だった。
閉鎖病棟で -
Posted by ブクログ
偏執的な思考に凝り固まった犯人の人物描写もあり、動機に一応の説得力を持たせてはいるがいまひとつ頷けないものがあった。
とくに共犯者の心理がまるで理解できない。
「可哀想」・・・こんな気持ちだけで人を殺す行為を容認できるものなかの。
もう少し、人間の心理的な動きを「あるかもしれない・・・」と思える方向へと転換できなかったのかと残念に感じた。
犯人像にリアルさがなかった分、被害を受ける人たちの描写はいい。
とくに諏訪部県知事と城取刑事が良かった。
反感を買うようなキャラクターなど個性的な人物がたくさん登場する。
けれど、どの人物もどこか浅い印象しかない。
描写が上滑りしているような・・・とってつけ -
Posted by ブクログ
市原交通刑務所内でひとりの受刑者が殺された。
被害者は着衣から石塚満、同じ日に刑務所から姿を消した宮崎春雄が犯人と思われた。
しかし、捜査に進むにつれ意外な事実が次々と明らかになっていく。
果たして犯人は誰なのか?その狙いは?
飲酒運転による死亡事故を起こしても、殺人事件などに比べると驚くほどに罪は軽い。
大切な家族を奪われた悲しみを、遺族は加害者への怒りに込める。
しかし、悲しみはいつか遺族の心の奥にへばりつき、平穏な生活を送ることが難しくなったりもする。
法律はたしかに加害者を裁いてくれる。
しかし、人ひとりの命が理不尽に奪われた代償としては軽すぎる…と思う人もいるだろう。
ましてそれが、 -
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遠藤武文の初読み。
デビュー作……なのかな。
序盤は間違いなく面白かった。
中盤…、視点が入れ替わり過ぎて混乱しかけるも、示された謎への興味が、ページを捲り続けさせる。。。
後半……明かされてゆく謎。
それに反比例して萎んでゆく本作への読書意欲。
Wikiによると、大沢在昌が選考時に「たいへん厳しい点をつけた」のだとか。
“仕掛け”が成立するために都合の良すぎる展開が繰り広げられ、説得力が無さすぎる……と。
まさしくその通りの感想が、沸々と湧いてきて……読後感はかなり悪かった。
最後の“手紙”……。
これはもう、蛇足。
★3つ、6ポイント。
2016.02.03.古。
巻末解説 -
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第55回江戸川乱歩賞を受賞したというミステリー。市原の交通刑務所で発見された変死体をめぐって、次々にストーリーが展開していき、最後の一行で「えっ?」ということになるという話。
ただ、登場人物が多すぎるし、一人称が次々に変わっていくので、力を抜いて読んでいたら途中から何の話で誰が誰のためにどうなって、どうしたのか、どうされたのか、まったく分からなくなってしまった。なので、あまり面白いとも思えず終わってしまった。たぶん登場人物でもノートに書いて時系列に起こったことを書いていけばすごいストーリーなのかもしれないけど、そんなことするほど暇じゃありません、という感じで、残念だった。だから、最後の一行 -
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ネタバレ乱歩賞受賞作の前作は好みだったが、受賞後第一作の本作は完全に外れ。東京と奈良で同日同時刻に起きた殺人事件の容疑者は同一人物という不可解な状況にその関係者である映画同好会のメンバーが年は違うが同じ日に死んでいるという事実は非常に魅力的だが、それを全然生かし切っていない。妙に信長を引き合いに出す冴えない主人公とか奇抜な服装と言動だが頭はキレる元公安の警視正という主要人物は白けるし、映画研究会絡みが現実的なのに対して、背景に見せるテロ組織とか国家機密だとを持ってくるので不安定さを感じてしまう。極めつけはラストの突飛な演出である。不可能犯罪をやりたいのも分かるし、裏側に大きな秘密を持ってきたいのも分か