遠藤武文のレビュー一覧
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後味は悪い。
だがおもしろい。
そういう作品はたくさんある。
私はそういう本が好きである。
久しぶりに後味悪かった〜。
謎がすべてとけてスッキリはしたけど、だれも幸せにならない結末。
ストーリーは時間軸は一定で進み、でも主観となる人物が変わるので、読んでいる途中で「あれっ?あ〜そうかそうか」ってなる。
そして、登場人物の顔を見ることのできない私は、まんまとミスリードされていく。
政治家の裏金。
法律の矛盾。
飲酒運転の死亡事故。
社会問題を詰め込んで詰め込んで、どれを訴えたいのかわからんところもあるが、刑務所を舞台とした殺人は見事!
そんなにうまくいくのかな〜 -
Posted by ブクログ
たぶん読むのは3回目くらい。ようやく細かい部分まで理解しながら、整理しながら読み進めることができた気がする。実在するという市原の交通刑務所が舞台で、密室と取れる現場にて殺人が起きる。被害者も容疑者も懲役中の人間。現場に残されたメモから、二人が誰と誰か、はすぐに判明するものの、そのあとの流れには次々と登場人物が加わり、ついて行くのが必死!!笑 途中、野田や中島(あと石塚の嫁)が、なんともかわいそう。。。なんとなく犯人はこの人なんだなと思いながら読み進めるも、最後のセリフに「むむ!」となる。そして最終章が、ある人物からの手紙で締めくくられている。文庫化する前は、この手紙の章が無かったということで
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Posted by ブクログ
第55回江戸川乱歩賞受賞作
交通刑務所内という密室での殺人事件
その事件を追ううちにまた別の事件の影が見えてきて……といったお話
あとがきによると賛否両論での受賞との事
いや、賛否両論というか、この作品を推していた審査員も「推しはするけどここはどうだろう」といったポイントが多々あった様子
で、検索してこの回の乱歩賞選評を読んだのですが、審査員の皆様が挙げている短所が自分には短所と見えなかったんですよね
例えば「章ごとに登場人物が変わっていき感情移入がしにくい」だとか、あとはまぁネタバレになりそうな部分でのあれやこれやとか、自分はそここそが楽しく読めたポイントでもあったので、結果つまり大 -
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遠藤武文『天命の扉 県警捜査一課・城取圭輔』角川文庫。
警察ミステリー。色々と突っ込みどころもあり、トリックに拘った感が強いが、まあまあ面白かった。県議会で起きた前代未聞の殺人事件と過去に起きた殺人事件の冤罪疑惑が交錯し、一体何がどうなっているのかという興味がページを捲らせてくれた。
刑事が自分の妻を失った事件の捜査に充てられる訳は無いし、そういう状況で冷静でいられる訳も無いし、色々と注文はある。
長野県庁での定例議会の最中に突然、停電が発生し、質問を行っていた議員が狙撃され、殺害される。密室殺人と遺体のポケットに残された謎のメモ……長野県警の城取圭輔刑事の執念の捜査の果てに辿り着いた真 -
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交通事故の加害者側が契約する損保会社の保険査定員・滋野による原調=原因調査。滋野の心情はほとんど窺えず、淡々と調査を進めるデキる査定員という印象。かといって冷ややかなわけでもなく、事故を公平な目でつぶさに見ようという姿勢に好感を持ちました。ただ、事故の真相はやるせないものばかり。なぜこんな事故が起きたのか明かされ、加害者と被害者双方のことを考えてしんみりするというよりは、やるせない気持ちでいっぱいになります。
いい話で終わらせないところが江戸川乱歩賞受賞者なのかしらん。面白かったけれども、私の好みとしては、結末が「めっちゃいい話」か「どん底に突き落とされるほど嫌な話」のほうがいい(笑)。