佐藤直樹のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本書が出版された時がコロナ禍の真っ只中だったため、内容に関してもコロナ禍の話題が多く出てきます。特にSNSでの自粛呼びかけ「自粛警察」については、当時SNSを見ていて怖いと感じました。
「世間」が機能しているが故に治安が保たれている、でも少しでのそこからはみ出してしまった時のバッシング。コロナ禍に関わらず、家庭・親族内や会社の中でも起こりえることだから、息苦しいなと感じてしまうんですね。例えば私は長男なので、「長男だから!」というプレッシャーを家族・親族の中でひしひしと感じます。
この息苦しさの中で生きていくにあたって、本書にも書いてあります「小さな世間」の中にどんどん入っていくというのは -
匿名
購入済み勉強になりました
日本特有の世間について考えさせられる内容でした。ただ、私の勉強不足もあるのでしょうが、一部内容が頭に入り辛い箇所もあったように思います。
-
Posted by ブクログ
〝社会〟と〝世間〟の違い、そして世間が〝同調圧力〟を作り出している、と本書は解説。自粛警察などの現象を踏まえて、コロナ禍は戦時下のようであるとも述べています。震災時もコロナ禍も特別な罰則を設けずとも暴動などが起きずにいるのは日本人の民度というよりも、海外には無い〝世間〟の中にいるからであると。
世間は〝変化を嫌う〟特徴があり、同調圧力は〝異論を唱える者を暗黙のうちに自分たちと同様に行動するよう強制すること〟であり、それぞれ日本特有且つ根強い文化でもあります。
世間には幾つかのルールがあり、一つにはお中元やお歳暮を代表する〝お返し〟。貰ったら返すルールがあるからこそ、LINEの既読スルーが問題視 -
Posted by ブクログ
ネタバレ同調圧力とは、その時の一番強い集団である多数派や主流派と同じようにしろという命令。
日本には社会の他に世間があるから、社会のルールが崩壊しても世間のルールが機能し、緊急時でも略奪や暴動が起きない。
世間とはステークホルダーにより形成される世界と、その集団の力学で、社会は知らない人たちで形成された法的な世界。
社会は一つしかないから排他的にならないが、世間はたくさんあるから排他的になりうる。
日本人はすぐにじゃんけんや多数決をして物事を決めるため、議論が下手になった。
「他人に迷惑をかけない人間になれ」という教えにより、「他人から迷惑を受けること」に敏感になった。
結果を残しても、「世間」(身近 -
Posted by ブクログ
新型コロナワクチン接種後に心筋炎となるケースが稀にあるが、因果関係は不明。そもそも、何故ワクチンが心臓に影響を与えるのか、報告事例の真偽もよく分からぬのは、私自身が圧倒的に医療知識が足りていないからだ。風邪やインフルエンザなどの感染症がきっかけで心筋炎になることはある。微熱であっても発熱すると心臓には大きな負担がかかる。心筋に炎症を起こす急性心筋炎の方がよほど怖いというのは確かだろう。結局、国がワクチンと心筋炎の因果関係を認めない、認められない様に、この本にも、インターネットにも関係性を説明する答えはない。
本著の中身は心不全についての極々基本的な事だ。今の私のレベルには、それが有難い。例え -
Posted by ブクログ
世間についてなんとなくで認識していたけど「世間」をありとあらゆる方向から言語化してくれてる対談形式の本。
世界と比べて日本人はTwitterの匿名性の高いこと、見知らぬ人への不信感が高くその上見知らぬ人を判断できる自信のなさについて書かれているのも面白かった。
日本人の自己肯定感の低さ、自尊心のなさは「個人」というものがないからだ。という話はすごく腑に落ちた。この個人がない話はいろんな切り口で語られる。
日本には社会がなくて世間がある。自己責任という言葉は個人がない日本でよく使われる不思議な言葉というのもすごく歪んでいて面白かった。
出版された時期がコロナ禍だったのでコロナ禍の日本にフ -
Posted by ブクログ
本書は「はじめに」でも記載されている通り、一般的な入門書では飽き足らない人を対象に、東京藝大の講義と同等レベルの内容となっている。
従って「美術史」と言っても時代順に流れを学べるような通史ではなく、作者の興味に偏った作品が選ばれており、それらの個々の作品jから美術鑑賞のコツを教示している。
とはいえ、作品間でどのような影響を与えたり、与えられたりしたのかまで解説されているので、作品単独の視点だけでなく、作品間の影響を鑑賞するコツにも触れている。
繰り返しになるが、通史ではないので美術史全体の流れを眺めるというよりも、各作品や作者がどのような影響を受けて、その作品が描かれたのかを鑑賞するための目