小川いらのレビュー一覧
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ネタバレ大学二年の春、佐久間智春はバスケ部の勧誘をしていると高校の級友・大友寿志に再会する。
当時親しかった二人は、智春が大友が「ゲイ」であることを不用意にクラスメイトにバラしてしまったことから、気まずい別れ方をしていた。
そのまま転校して行った大友との友人関係を、バスケを通して修復したいと懸命にアプローチする智春に、最初は冷たかった大友も次第に打ち解けていく。だが、二人で過ごす次巻に心地よさを覚え始めたある夜、生理的現象に見舞われた智春は、そのまま大友に触られ達してしまう……。
とにもかくにも、智春は前向きで一生懸命。
ただし、よくも悪くも無邪気で正直なので、大友がゲイだと知っても、偏見はなく「悩んでるのか?」と聞き。
大伴手でしてもらって気持ち好ければ、「またしてほしい」とお願いする……。
正直、智春に気持ちがあった大友からしたらたまったもんじゃないんだろう……と思うんですが……。
それでも、大友は智春のことを大事に思っているから、決して手を出さず、とても紳士。
でも、そんな気持ちを知らない智春は、突然、大友を意識するようになった自分に戸惑ってパニックを起こして、顔も見れなくなっちゃって、悪いと思いつつも自分の頭の中を整理したくて、大友か距離を置こうとするけど、でもやっぱり大友が気になっちゃって……という、とってもストレートな悩み方をしてたので、かわいかったです。
なんかもう、手のひらでぴよぴよパニックを起こして逃げ回ってるひよこみたい。
人を好きになること、が丁寧に描かれた話だと思いました。
穏やかな話が読みたい方にはお勧めです。 -
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「春、君を想う」で、優しくていい人で、かなり不憫だったカフェバーの店長、尚が主人公の続編。
前作の結末では割り切れない思いがやや残った分、その後失恋した尚がどうなったのか知ることができただけでも高評価です。
尚はかなり遠慮気味のやさしいタイプなので、どんなお相手だろうと思ったら、外務省勤務!官僚?しかもしっかりとした志を持つ男前です。
最初は単に酔った相手を介抱したことがきっかけで知り合っただけなのですが、偶然が重なるうちに少しずつ親しくなっていきます。それこそ住む世界が違う二人なんですが、食事が介在して距離が近くなる感じがごく自然。
私生活にまで手が回らず仕事に忙殺されている西浦に、つい世話を焼いて美味しい料理を作ってあげたりする尚がとても微笑ましいです。失恋の傷がまだ癒えていない尚に、いい展開があればと応援したくなります。尚が西浦の仕事のせいで会えないという放置状態にあったりするんだけど、感情の面でのブレが互いに皆無なので安心感があります。初デートからHまでの成り行きも自然。いいcpだな。
ところが今回、尚の恋を阻むのは、人じゃなくて仕事です。
西浦の関わる中国との外交関係から話は不穏な方向へ進んでしまい、尚と西浦がどうなってしまうのか話は意外な展開になっていきます。
外務省とか、日中関係とか、とても今どきな政治ネタでひっぱられ、正直びっくりしました。すっかり和み系のドラマだと思っていたので…収賄容疑でマスコミからも追いかけられる西浦とか、拘置所とか、どこへ話が行ってしまうのか?と、びくつきました…
そんな中で、尚がとてもよかった。世間やマスコミから誹謗されても自分の信念を曲げない西浦を、尚はひたすら信じます。忍耐力も芯の強さもあってほんとにすてきです。
西浦も、自分を飾らず信念があって、尚が好きになるだけの魅力がある男です。尚が世話女房になって尽くしてあげるには絶好のタイプ!落ち着いた昭和なcpなかんじです。
あと、「秋、夢は実る」で西浦が偶然出会った賢吾を一発殴ってくれたのにはスッキリ。そんな西浦を「執行猶予中だからっ」と止めに入った尚のその一言がすごかった。 -
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バイト先の先輩の彼氏に愛されて、戸惑う沙智の揺れる心を細やかに描いたハートフルなストーリー。
沙智は家庭に悩みを抱えているから、毎日が余裕なくて恋愛どころじゃない生活。でも、そんな環境にも負けず一生懸命生きていこうとする姿勢がとても健気です。
そして、そんな沙智に何かとやさしく接するカフェのバイトの先輩尚が、また裏表なくいい人。
なので、尚の彼氏である賢吾に好意を持たれても、拒絶するしかすべがない状況。沙智も彼に好意を持っているけど、尚のことを思いやる真面目でいい子なんです。
賢吾も第一印象とっつきにくそうで不遜な感じですが、読んでいくうちに意外に優しく男らしい性格であることがわかります。沙智に対する気持ちも、嘘がつけない真っ直ぐさがアダになっている気がしますね。悪い男じゃないから、かえって始末が悪い。
そんなメイン登場人物すべてがいい人なので、これはどんな風に決着つけるんだろう??と、何だかこっちが心配になる成り行きでした。
誰かがすごく嫌な、裏のある人間だとすんなりいったかもしれないけど。
沙智がちょっと可哀そうで幸薄い日々を送っていたから、ささやかでも幸せに包んでくれる相手にめぐり逢えたんなら、それでよかったと思わせるところはよかったかな。
「春、それから」は賢吾目線でのショートストーリー。不器用攻めの心の内がよくわかる。恥じらって可愛い反応する沙智に、ちょっとSっ気をそそられる賢吾の気持ちに納得。 -
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ネタバレ弁護士の大澤は、遺産相続専門の弁護士。
母子家庭の家に生まれ、なんとか母親を楽にさせてあげたいと考えて「弁護士」という仕事を選んだけれど、司法修習が終わった直後、母親は末期のガンで帰らぬ人となってしまう。
それ以来、心の芯がぽっきり折れた状態で何をやってもいまいち張り合いがない。
なんとか自分の事務所を住宅街の一角に立ち上げ、食べて行くのに苦労はしなくなったけれど、日々は淡々と過ぎて行くだけだった。
そんな時、戦後最後の大富豪と呼ばれた男の遺産相続に関する問題についての相談を彼の親族から受ける。
それというのも、その大富豪は遺産をすべて「愛人」へ相続させるという遺言を残していたのだった。
当然、親族はそれに納得するはずもなく、なんとか彼に遺産を相続させるのを止めようと大澤へと相談しに来たのだ。
早速、大澤はその「愛人」へと会いに行くが、愛人こと「アズキちゃん」は、露出度の高い服を着たつかみ所のない青年・敦樹だった。
アズキは、敵対関係にあるはずの大澤に無防備に懐いてきて、大澤はそれに戸惑う。
おまけに、アズキは遺産には執着はないようなのだけれど、何か故人との約束があるようで――
という話でした。
アズキと大澤とでは生い立ちに共通点が多く、何となく惹かれ合う……という設定。
正直、法律的なことはよくわからないけれど、ラストのオチでそんなにうまくいくのかな……というところと、私設美術館の収益がいくらくらいになるのかイマイチよくわからないんですけど、それで納得ができるのかなー……という感じ。
まあ、一時の収入よりもこれからも続く収益をとったと思えばいいのかな……というところで納得しないといけないのかな……と。
そんな感じで、実際の法律と比べてよくわからないところは多々あるんですが。
物語のあらすじとしては、よくわからない青年に振り回される心に傷を持つお堅い弁護士様という感じでしょうか。
アズキのぶっ飛びっぷりは、格好だけは相当なところがありますが、そんなに言うほど気になりませんでした。
でもちょっと頭の弱い受けが苦手な人は苦手かもしれません。 -
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ネタバレヤクザの愛人の子として生まれた宇佐美英志は、一見勤勉なサラリーマンだが、暴力団の一員。
横浜の事務所を任されてはいるものの、英志は自分を取り巻く今の状況を不本意だと思っていた。
おまけに自分はどうなってもいいと考えているから、実は自分の美貌と身体を利用していたりもした。
そんな英志の事務所にフリージャーナリストの国木田哲夫という男が怒鳴り込んで来た。
実は戦場カメラマンを主にしている、というその男はヤクザにもまったく物怖じせず、それどころか英志に無理やりキスを仕掛けてきて……。
挙げ句、泊まるところがないから部屋に泊めてくれと言い出す……
という話でした。
育ってきた環境のせいで、まったく自分を大事にできない英志が、久々に誰かと一緒に生活することになって。
自分のテリトリーを明け渡すうちに、徐々に侵入されて、結局いなくちゃならない存在になってしまう……という流れかな?
あんまり甘くもないし。
ひたすらに自分を傷つけたがる英志がちょっと辛いんですが、もちろん最後はハッピーエンドです。
でも、英志の環境ならばしょうがないかな……と思う感じではありました。
そんな感じで、ちょっと薄めなこともあってさらっと読める感じの話でした。