青木新門のレビュー一覧
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死を受け入れた人はみな安らかになるというのが印象に残った。全てが光り輝いて見えるのなら、いつか来る死も案外悪いものではないのかもしれない。全然次元は違うが、一度会社でものすごく大きな目標を達成した時に、仕事をする上で関わった全ての人に感謝の気持ちが自然と湧いてきたのを思い出した。それのもっとスケールの大きい感情が起こるのかもしれないと思うと、生きる苦しみを乗り越えた先にご褒美が待っているのかなと思える。
孤独死、淋しい死などはなく、残された人が勝手に決めつけているだけで、どんな死でも安らかである、という考え方はすごく救われる。どんな人も自分の生をやり切って旅立っていくのであって、そこに他人が -
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映画「おくりびと」の「原作」である。
小説、つまりお話の形になっているのかなと思ったら、著者が書き連ねていた日記をもとにした、随想のような本であった。後半は宗教書っぽくなり、また話は宇宙物理学にまで及んだりする(死を突き詰めて考えると、どうもそういうところまで行ってしまうらしい)。
映画では納棺師と言っていたが、なんと「納棺夫」だ。実際、映画のようなきれいな世界ではないし、忌まれる存在であったことは想像に難くない。本にも、(家族などの)素人がいろいろいじっていたら血とか何とかが出て来ただとか、蛆とか轢死体とか、映画ではあり得ない生々しい描写もある(映画でも少しは触れていたけど)。
さてし -
Posted by ブクログ
映画「おくりびと」の原作、ではなく原案になるのでしょうか?
日記、という題ですがエッセイのような感じです。作者が葬儀社に勤めて、遺体の納棺を主にされていた話です。でも半分は宗教・哲学や死生観、親鸞とその著作や、死についての作者の考えが書かれていて、その部分はとにかく私には難解でした。詩人とそのスタンスー生と死、どちらにスタンスをとるかなどーについての話も。
とにかく親鸞と嘆異抄なんて名前しか知らないし(・_・;)
ただ、死に面して世界が輝いて見える、というのは少し実体験? があり、ちょっとわかる気もしました。
腫瘍があります、と言われて病院から帰った翌日、本当に空も見慣れた町並みも異様に澄ん -
Posted by ブクログ
第81回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した映画「おくりびと」の原作的位置付けの本。映画主演の本木雅弘がこの本に強くインスパイアされ、映画化を企画はしたものの、著者の意向により、映画は本とは全く別の話として脚本化されたので、“原作的位置付け”と言う微妙な書き方をしました。とは言っても、元々この本から映画を企画したので、一応、この本と映画は完全に別個の話と言うことにはなっているものの、所々に、同じようなエピソードが見受けられるのは仕方ないんでしょうね。一つだけ決定的に違うのは、この本は、著者の宗教観が本の後段に開陳されているんですが、映画においては、宗教観は語られていないので、そう言う意味では、全