後正武のレビュー一覧
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戦略系コンサルタントとしてマッキンゼー・アンド・カンパニー等で活躍し、その後独立したやり手の著者が、経営に資する「分析の技術」について、その整理・体系化を試みたもの。
戦略系コンサルタントが実践している「分析」の切り口や方法論、ノウハウについて知ることができ、勉強になった。特に、「大きさの程度」(オーダー・オブ・マグニチュード)の考え方、クリティカル・マスの考え方、MECEの考え方、マネジメント・インプリケーションを考えて分析の切り口を考えるということ、アップル・ツー・アップルの考え方、デルファイ法の考え方などは、これまでに聞いたことがあるものもあったが、改めて整理して認識することができ、参考 -
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元マッキンゼーの後正武さんによる分析の技術。初版発行は1998年なので扱っている事例や図表はやや古いけれど、分析の手法自体は今でも古びていない。その意味で普遍性のある方法論を扱った著作と言えるだろう。
何より印象的なのは、まえがきのウフィツィ美術館で出会った画学生の話。彼によればルネサンス絵画は絵を描く技術に満ちているという。絵の細部を分割して筆使いや色の重ね方などを捉えていくことでその絵の豊穣さが理解できる。それ以来、著者は絵の見方が変わったという。
著者によれば経営者として必要になる分析の技法というのも同じであって、何となく事象を眺めるのではなく、方法論をもって分割して捉えることでより深く -
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【選読理由】
内定先からの課題図書の一冊。
【感想】
この本が1998年発行の本ということもあり、もしかすると一部分では、見当違いなことが書かれているかもしれないということを念頭において読んだ。結論からいうと、全ての内容が現在でも変わらず有用であると思われたので、この本に関しては発行年を気にする必要はないと感じている。特に昨今のビジネス書等に関しては、1つの分野について狭く深く記述されている書籍が多いように感じているが、この書籍は「分析」という抽象度の高い事柄に関して、リッチな図表とともに非常に具体度の高い内容で記述されているため、分析という事柄の全体感を掴むにはもってこいの一冊だと言える。 -
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問題解決における「解読」→「創案」→「評価」→「選択」(別著「問題解決の全体観」より)の中の、「解読」について詳説した本。種々解析の具体的手法の列記ではなく、解析の全体像を捉え、提示している点で価値が高いと思う。
前半は比較的リジッドな数字として扱えるものを対象に、
・全体(=大きさ)を考える
・分けて考える
・比較して考える(変化・時系列、バラツキ、過程・プロセス)
といった考え方の基本を述べている(ツリーによる思考も一章使って概説)
後半では、より不確定・あやふやなもの(特に人の行動については別立てで一章あり)について、どう判断していくべきかについて述べている。
たまに引っかかる部分( -
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「分析」は、ともすると「数値の集計」や「グラフ作成のこと」と勘違いしてしまう誤解も多い。
しかし、分析は問題解決と意思決定のためにある。そして問題解決や意思決定に資する分析を行うため重要となるのが、分析の「切り口」を見出す力だ。
本書は、元マッキンゼー&カンパニーのコンサルタントが「分析のハウツー」はもちろん、分析を行う上で必要となる「切り口」の重要性を解説している名著だ。
本書の発刊は1998年に遡る。
変化の激しい時代を経て今なお読み継がれているのは、時代を越えて揺るがない本質が描かれているからだ。
分析の視点には、「大きさを考える」「比較して考える」「時系列で考える」「分解して -
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ロジカル・シンキングとしてはバーバラ・ミント著『考える技術・書く技術』が有名だが、その次に是非読んで欲しい本。「客観的に意思決定する」ことに焦点を絞りそのための分析技術をここまで公開しているのは凄い。筆者自身「ロジカル・シンキングは一朝一夕には成らず、かつ磨けば磨くほど光る」と語っているのでその自信の表れかもしれない。「本当の経営戦略」を示し戦略コンサルタントの力量を日本に知らしめたのは大前研一著『企業参謀』であるが、それに通じる風格を感じさせる。
分析の技術はざっくりいえば「影響度合い」「比較」「分解」「ばらつき」「仮定」「構造」「不確定」「人」であるが、それらがつまりはどういうことかが述 -
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先生である筆者が、生徒である経太君と有価さんの2名に教える形で話が進んでいく、ストーリー形式の会計解説書。
だが教科書というよりも、より具体的に、日産とトヨタ、キリンとアサヒの決算書から、会計から見える事業状態を見ていく形になっている。内容は、損益分岐点、損益計算書、賃借対照表、連結財務諸表、キャッシュフローについて、キャッシュフロー徹底編の6章だてになっている。
決算書を教科書通りに習うより、実際に実務面から見てみたいと思う人や、教科書的な知識は身に着けたのだが、その知識の実務面でどのように活用すべきかをわからない人に最適ではないかと個人的には思った。