こっそりと艦隊をワームホールに通過させる依頼を受けたベリサリウス。彼は詐欺師だ。なぜ詐欺師にこんな依頼をするのだろうという疑問はあるが、物語の肝はそこじゃない。ベリサリウスが特殊な技能や知識を持った仲間を集めて目的を果たすところが面白いのだ。悪いことする連中なので、多少の裏切り行為を織り込んでおかないと作戦は成功しない。裏をかき、裏の裏をかいて進める悪事。いや、悪事という認識は読者にはないだろう。むしろベリサリウスを応援する方向だ。基本は文字を追って楽しむ小説だ。量子もつれ状態について前知識を入れておくと、楽しめると思う。