遠藤秀紀のレビュー一覧
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ネタバレ自分の仕事に誇りを持っていらっしゃる
遠藤秀紀さんの著作が好きで、
数年前に集中して読んだ時期がありました。
最近(養鶏をやってみたいな)と思い始めたため、
改めて読み返してみました。
本書の執筆動機は
・読者へのニワトリに対する関心喚起
だと思いますが、私の読書動機が
・養鶏で成功するためのヒントがないかな?
なので、読書中は常に
(知りたい事がなかなか出てこない)
という感じを持っていました。
ただ、養鶏家にならなくても、
(いつかニワトリを飼いたい!)
と読後に私が改めて感じるほどに
筆者の強烈な“ニワトリ愛”が刺さりました。
また読後の今、ニワトリ以外に類似した家禽が
この世に -
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自分にとって必要なくなったものは早く捨てるという考え方は、自分の身の回りをすっきりさせ、仕事を円滑に進めるためにも大切なことだと今の時代は教えられます。
しかしそれは自分という人間を中心に考えた生き方であって、自分の持ち物や自分の生活空間の中でのごみに対してはそれでもいいけれども、こと動物の遺体に関しては死んだから焼いて捨てればいいという考え方は正しくないのだということを知った。
息は途絶え生物としての役割は果たせなくとも、学術研究として後世に貢献していくという第2の偉大な役目が始まっていることを知り、遺体科学の人類の未来に果たす役割の大きさを感じることができた。
死んでしまったパンダが生き返 -
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ネタバレ-2006.09.02記
著者の遠藤秀紀は、現役の動物遺体解剖の泰斗であろう。動物の遺体に隠された進化の謎を追い、遺体を文化の礎として保存するべく「遺体科学」を提唱する第一線の動物学者である。
この人の著書は初めて読むが、「人体 失敗の進化史」は決して奇を衒ったものではなく、専門の知を真正面から一般に判りやすく論じてくれた好著だ。
失敗ばかり、間違いだらけの進化史、その言やよし、ものごとはひっくり返してみるくらいの方がいいと常々私も思う。諸手を挙げて賛成だ。
「偶然の積み重ねが哺乳類を生み、強引な設計変更がサルのなかまを生み、また積み上げられる勘違いによって、それが二本足で歩き -
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遠藤秀紀さんは獣医師で動物の遺体を通して動物の進化の歴史を研究している方です。
現在の肩書は京都大学霊長類研究所教授となっています。前職は博物館の研究官を務めていたこともあって遠藤さんのところには動物の遺体が持ち込まれる。解剖してひとつひとつのパーツを調べるのは地道な仕事ですが、進化の歴史を示す重要な証拠が隠されています。
この本のところどころには、そんな動物の遺骸や内臓や骨格の写真や図が載っています。
学生の頃の解剖学の教科書を思い出すのですが、あの頃は不真面目だったことが災いし未だにうろ覚えな知識しか持ち合わせていません。しかし、この本を読むと七面倒くさいとしか思えなかった筋肉や骨の名称も -
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「進化」についてまじめに考えたことはあるだろうか。単純な適者生存モデルを鵜呑みにしているのではないだろうか。例えとして正しいかどうかは謎だが、野球において右バッターと左バッターどちらが有利でどちらが生存可能性が高いだろう。どちらかを滅ぼすほどの絶対性のある差異など存在しないのだ。生存可能性とは環境との相関によって生まれるものであって、能力の絶対値が決めるというものではない。もし仮にそういう欠落がある場合、それは、すでに生存していないものであり、それこそが逆に単純な適者生存モデルにあてはまる忘れられた存在になるといえる。
私がこの本のタイトルに惹かれるのは人類が、「失敗」の進化史という何度も書き -
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2010年に感動した本BEST3に入る名著。文体や内容に感動したのではなく、「ニワトリはたった一種類のセキショクヤケイを改良したということ」に感動した。「ニワトリは地域環境社会を選ばないということ」に感動した。「ニワトリは世界中で110億羽いるということ」に感動した。「ニワトリは卵・肉・骨全てが絶対的な『食料』であるということ」に感動した。「ブロイラー(品種名ではない)がいかに効率よく生産されているかということ」に感動した。これらのあらゆる事実は全てタイトル「愛を独り占めにした鳥」に表現されている。
愛するものを食べ(食用)、また愛するものの卵を食べ(食用)、愛するものを戦わせ(闘鶏)、愛する -
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「私たちヒトとは、地球の生き物として、一体何をしでかした存在なのか」二足歩行という、ある意味とんでもない移動様式を生み出した私たちヒトは、そのために身体全体にわたって、「設計図」をたくさん描き換えなくてはならなかった。そうして得た最大の“目玉”は、巨大で飛び切り優秀な脳だったといえるだろう。
ホモ・サピエンスの短い歴史に残されたのは、何度も消しゴムと修正液で描き換えられた、ぼろぼろになった設計図の山だ。その描き換えられた設計図の未来にはどういう運命が待っているのだろうか。引き続き、描き換えに描き換えを続けながら、私たちは進化を続けていくのだろうか。 -
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面白く読んだ。
文章のノリがちょっと好みが分かれそうな感じ。私は別に嫌いじゃないけど、だるいなって思う時はあった。
本のテーマとはズレてしまうのだけど、何故ひどいつわりがあるのか不思議だった。生物の最優先事項は子孫を残すことだ。こんなに進化した生物が、何故生み育てるために体調を崩すのか?
元々、赤ちゃんは卵黄嚢で成長していたものを、ある程度大きくなるまで体内に留めておくことを決めたのが哺乳類だ。
「異なる遺伝子的基盤を持つ細胞が混ざり合い、片時も休まずに物質のやりとりをするのだから」体調を崩すのは当たり前なのかもしれない。
これからの進化の過程で、つわりがなくなれば良いな…と思った。人 -
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ネタバレヒトが二本の足で立ち上がり、自由になった前肢で道具を作り、使い、大きくなった脳で物を考え、文明を作る。
二足歩行がどれだけ画期的で、歪で、奇跡的なものなのか、全然理解していなかった私には、とても新鮮な本でした。
そしてまた、その二足歩行が起こす弊害。タイトルの「失敗」はそういうことかあ。腰痛も肩こりも、そもそも生き物が二足歩行すること自体に無理があったことと、現代人の“ありさま”を「進化」が想定していなかったことから起こった悲劇がもたらしたもの、っていうのもおもしろかった。
そして、筆者のこの先の「進化」についての見解が切ない。
終章で、先日読んだ「沈没船が教える世界史」の筆者と同じく、この -
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ニワトリについて、ひたすら書かれた本。日本人は平均、年間300個の卵を消費し、2羽分の鶏肉を胃袋に収めている。全世界では、総人口の約2倍=110億羽のニワトリが存在していると言われており、文句なく世界で最も繁栄している鳥類である。
とはいえ、ニワトリの運命はあくまで家禽として人間による寵愛を受けることで成り立っている。セキショクヤケイ(赤色野鶏)という、東南アジアに住む野鳥を8000年前の祖先が飼おうと思わなければ、今我々が目にしているニワトリの姿はないのだ。
卵もロクに生まず、肉も大して多くないセキショクヤケイをどうして私たちの祖先は保護し、改良を加えていったのだろうか。そこには時間通り