遠藤秀紀のレビュー一覧
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ニワトリについて、ひたすら書かれた本。日本人は平均、年間300個の卵を消費し、2羽分の鶏肉を胃袋に収めている。全世界では、総人口の約2倍=110億羽のニワトリが存在していると言われており、文句なく世界で最も繁栄している鳥類である。
とはいえ、ニワトリの運命はあくまで家禽として人間による寵愛を受けることで成り立っている。セキショクヤケイ(赤色野鶏)という、東南アジアに住む野鳥を8000年前の祖先が飼おうと思わなければ、今我々が目にしているニワトリの姿はないのだ。
卵もロクに生まず、肉も大して多くないセキショクヤケイをどうして私たちの祖先は保護し、改良を加えていったのだろうか。そこには時間通り -
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この著者の本は2冊目。『パンダの死体はよみがえる』(ちくま新書)と比較して、より読みやすくなってはいるが、著者の「熱さ」はなお温度を上げている印象。年間500体もの動物遺体を解剖する著者が、人間の体を俎上に載せたということで、迷わず購入。期待に違わぬおもしろさだった。
人間は、もとからあるものをつぎはぎしながら、急速に「二足歩行」へ体の設計図を作り替えた。ということは終章あたりで書いてあるし、今回のウリはそこだと思うのだが、そこへ至るまでの前段階もモチロンおもしろい。骨というのは最初から構造体として生まれたモノではなく、たんに体内にミネラルをため込んでおくためのものだったとか。ほ乳類の内耳 -
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動物の遺体を解剖し、精細に調査することによって進化の歴史を解き明かして行きます。そして、進化の多くはエレガントなものではなく、行き当たりばったりでその場しのぎ的な設計変更であることを解説して行きます。
進化、というと考古学なものを思い浮かべてしまい、どうしても化石の調査によるものと思ってしまいます。
しかし、今生きている動物たちの体を調べ、進化の道筋のヒントを得ることはとても大切なことだという著者の言葉は、ちょっと目からウロコでした。
そうですよね、骨だけになってしまった化石よりも、ちにくのある遺体の方が雄弁に語ってくれそうです。
また、人の体、特に二足歩行はかなり強引な変化であった、と -
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遠藤秀紀の人体 失敗の進化史を読みました。
生物学の研究成果をもとに、動物、ほ乳類そして人類の進化がどのように行われたのか、という解説書でした。
生物が進化するときのメカニズムは、新たに機能を獲得するのではなく、あり合わせの材料を使ってつぎはぎだらけの機能として実現しているというのが面白いと思いました。
肺に適応できる浮き袋を持っていた種が海から地上に上がって呼吸することができた、と言うふうに、たまたま、新しい環境に適応できる機能を開発していた(前適応というそうですが)種が進化の主役になっていくという指摘が面白いと思いました。
人類の進化は劇的な能力向上をもたらしたのですが、地球の自然環境 -
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遺体の解剖から動物の進化の歴史を探るという、その名も『解剖学』。なかなか興味深い学問です。
幾度となく迫られた『設計変更』=進化の系譜を解剖によって解明する。億年単位の生物の歴史を探究する壮大な学問です。
池谷裕二さんが研究する脳について、『脳には機能の使い回しが見受けられる』というような内容がありました。『設計変更』というテーマでいえば、池谷裕二さんと遠藤秀紀さんのリンクが完成したわけです。
内臓や骨格だけが長い歴史の中で『設計変更』を迫られたわけではなく、脳についても同じ事が言えるというのは、言ってみれば当たり前なのかも知れません。
無から新しい機能を生み出すよりも、『機能の使い回し』や -
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[ 内容 ]
地球史上最大の改造作は、どう生まれ、運命やいかに。
「ぼろぼろの設計図」を読む。
[ 目次 ]
序章 主役はあなた自身
第1章 身体の設計図
第2章 設計変更の繰り返し
第3章 前代未聞の改造品
第4章 行き詰まった失敗作
終章 知の宝庫
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 -
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獣医師で東大教授でもある著者の、ニワトリへの愛がほとばしった一冊。なにはともあれ、著者の熱さがヒシヒシと伝わってきて、ニワトリ?そんなに興味ないけど?という私はタジタジとなる。でも、こういう「好きなものについて(特に専門家が)一生懸命語る」本って好きなんだなあ。
これはニワトリ好きな夫が面白がって読んでいたので、貸してもらった。夫はずいぶん前からずっと常に何羽かの鶏を飼っている。チャボ・烏骨鶏・ボリスブラウン・白色レグホン・アローカナ…、まだあったように思うが忘れた。今は岡崎横斑というやつが四羽いる。世話はほとんど夫がしていて、私は卵をいただくだけだが、たまにじっと眺めたりすることもある。特