遠藤秀紀のレビュー一覧

  • 人体 失敗の進化史

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     この著者の本は2冊目。『パンダの死体はよみがえる』(ちくま新書)と比較して、より読みやすくなってはいるが、著者の「熱さ」はなお温度を上げている印象。年間500体もの動物遺体を解剖する著者が、人間の体を俎上に載せたということで、迷わず購入。期待に違わぬおもしろさだった。
     人間は、もとからあるものをつぎはぎしながら、急速に「二足歩行」へ体の設計図を作り替えた。ということは終章あたりで書いてあるし、今回のウリはそこだと思うのだが、そこへ至るまでの前段階もモチロンおもしろい。骨というのは最初から構造体として生まれたモノではなく、たんに体内にミネラルをため込んでおくためのものだったとか。ほ乳類の内耳の骨はアゴからの借り物で、アゴのほうは頭骨や歯の骨を細工してやりくりしたとか。「亀にもへそがある」というあたりはトリビア的にもおもしろかった。あれ、じゃあ蛇にも蛙にもへそがあったりする……のかな。
     人間の体は「動物としては明らかな失敗作」と著者は言い切る。納得する向きもしない向きも、そこへ至る道程についてハリセンバシバシで解説してくれる熱血ガイドの解説っぷりは、いっぺん聞いておいて損はないと思う。

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    2014年03月30日
  • 人体 失敗の進化史

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    動物の遺体を解剖し、精細に調査することによって進化の歴史を解き明かして行きます。そして、進化の多くはエレガントなものではなく、行き当たりばったりでその場しのぎ的な設計変更であることを解説して行きます。

    進化、というと考古学なものを思い浮かべてしまい、どうしても化石の調査によるものと思ってしまいます。
    しかし、今生きている動物たちの体を調べ、進化の道筋のヒントを得ることはとても大切なことだという著者の言葉は、ちょっと目からウロコでした。

    そうですよね、骨だけになってしまった化石よりも、ちにくのある遺体の方が雄弁に語ってくれそうです。

    また、人の体、特に二足歩行はかなり強引な変化であった、という解説もおもしろいです。

    文章もわかりやすく、動物の体の仕組みにつて興味を持つきっかけになる本だとおもいます。^_^

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    2013年10月13日
  • 人体 失敗の進化史

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    動物の遺体解剖を通して、ヒトの身体の歴史をひも解くものです。身体の「設計図」という考え方を用いて、進化の過程を説明していきます。進化史の類が苦手な読者にもとっつきやすい内容になっています。

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    2012年09月29日
  • 人体 失敗の進化史

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    遺体科学の本。
    ヒトの身体を中心に、進化という名の設計変更の例が数多く紹介されている。
    とても面白い。
    特にヒトの進化の失敗について書かれている章は衝撃だった。
    「失敗作」という言葉に対して反論出来ない。
    そうかもしれないな…と思ってしまう。

    でも、この本からはそんな失敗さえも愛おしむ著者の気持ちが伝わってくる。
    とても分かり易く書かれているし、文章の端々に著者のお茶目な顔が覗くのも読みやすい理由の一つ。

    「すごいなぁ」とか「めちゃくちゃだなぁ」とかツッコミながらも、もっといろんな話が聞きたくなっている。

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    2012年09月18日
  • ニワトリ 愛を独り占めにした鳥

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    割と硬派な内容。ニワトリの起原から目的別の畜産の歴史など、そこそこ厚みの本でありながらさらに内容が凝縮している。
    人が家畜を作り出す動機に掲げた「心のエネルギー」論が興味深い。最初から卵や肉のみを求めて家畜化したわけではなく、多種多様なニーズによってアジアの小さな飛ばない鳥が世界中に広まりニワトリになる過程の説明が面白い。

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    2012年08月29日
  • 人体 失敗の進化史

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    遠藤秀紀の人体 失敗の進化史を読みました。

    生物学の研究成果をもとに、動物、ほ乳類そして人類の進化がどのように行われたのか、という解説書でした。
    生物が進化するときのメカニズムは、新たに機能を獲得するのではなく、あり合わせの材料を使ってつぎはぎだらけの機能として実現しているというのが面白いと思いました。
    肺に適応できる浮き袋を持っていた種が海から地上に上がって呼吸することができた、と言うふうに、たまたま、新しい環境に適応できる機能を開発していた(前適応というそうですが)種が進化の主役になっていくという指摘が面白いと思いました。

    人類の進化は劇的な能力向上をもたらしたのですが、地球の自然環境を大きく破壊する行動を繰り返しています。
    以前から思っていたのですが、この本を読んで、人類というのは地球の自然環境にとってがん細胞のようなものなんじゃないか、という思いを強くしました。

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    2012年07月28日
  • 人体 失敗の進化史

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    遺体の解剖から動物の進化の歴史を探るという、その名も『解剖学』。なかなか興味深い学問です。
    幾度となく迫られた『設計変更』=進化の系譜を解剖によって解明する。億年単位の生物の歴史を探究する壮大な学問です。

    池谷裕二さんが研究する脳について、『脳には機能の使い回しが見受けられる』というような内容がありました。『設計変更』というテーマでいえば、池谷裕二さんと遠藤秀紀さんのリンクが完成したわけです。
    内臓や骨格だけが長い歴史の中で『設計変更』を迫られたわけではなく、脳についても同じ事が言えるというのは、言ってみれば当たり前なのかも知れません。
    無から新しい機能を生み出すよりも、『機能の使い回し』や『設計変更』が進化の常套手段だとしたら、無から有を生み出す創造力というのは莫大なエネルギーと時間を使うはずで、これは人間の永遠のテーマになりそうです。
    『海馬』の感想で書いたように、補助線の引き方が重要で、例えば、僕は中学の頃、数学の証明が好きでしたが、証明を成立させるための補助線の引き方(○○=×××になるため、××=□□□となる、よって合同となる、等)が下手で、友達にヒントをもらって問題を解いた記憶があります。
    数学に限らず、物事を考える時に、補助線の引き方が上手いと、問題の解決がよりスマートになるはずで、この能力の育て方が確立すれば、学問全般の解明スピードが飛躍的に向上するでしょう。

    『使い回し』による進化も、土台(派生要素)が無ければ進化しないわけで、その点で言えば、人間が鳥みたく羽を生やして大空を舞うことは出来そうにありません。そのあたりは『ゾウの時間 ネズミの時間』と併せて読むと面白いと思います。
    しかし、進化の系譜は解明されつつありますが、決定打となる『進化途中』の生物が発見されておらず、所謂ミッシングリングが遺骨や化石で発見されれば、さらに進化史の発展に期待できそうです。そういった意味では、まだまだ学問の途上段階で、今後の発見が楽しみな分野と言えるでしょう。

    しなしながら、解剖学の存続・発展は厳しいようで、成果主義の強引な押し進めによって、なかなか厳しいようです。終章に綴られた著者の語り口には受難に立ち向かおうとする気概が感じられて、応援したくなります。
    成果主義については僕自身疑問に思うところがあるので、何とか是正してほしいと思います。目先の利害にとらわれてしまい、長期的にしか結果の出ない問題を蔑ろにしている風潮、競争心を煽るのは、充実感の伴わない虚無感、徒に疲弊を招くだけです。

    なるほど面白い部分がたくさんあって、勉強になりました。
    とても読みやすく、好感が持てました。僕の評価はA+にします。

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    2011年10月24日
  • 人体 失敗の進化史

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    生物の設計はいつも行き当たりばったりという話。カメにおへそがあるなんてびっくり!人間の親指や月経、鳥の羽根、興味深い話がいっぱい!高校生くらいの頃に読んでいたらこの学問へ進みたくなるかも。著者の語り口も面白いし、なにより動物への愛を感じる。

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    2011年10月05日
  • 人体 失敗の進化史

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    ネタバレ

     「遺体科学」という耳慣れない学問を提唱されている方の科学啓蒙書……というかエッセイ。
     利益のためというか、遺体があるから、それを大切にし、そこから学べるものを得ようという姿勢が格好いい。

     個人的に、先生に食べられたサンマの主役っぷりが可愛らしい。

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    2011年08月01日
  • 人体 失敗の進化史

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    [ 内容 ]
    地球史上最大の改造作は、どう生まれ、運命やいかに。
    「ぼろぼろの設計図」を読む。

    [ 目次 ]
    序章 主役はあなた自身
    第1章 身体の設計図
    第2章 設計変更の繰り返し
    第3章 前代未聞の改造品
    第4章 行き詰まった失敗作
    終章 知の宝庫

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
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    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

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    2011年04月09日
  • 人体 失敗の進化史

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    動物の解剖を通して、生物の進化が如何に行き当たりばったりに進んでいたかを説く。また、人間が二足歩行を始めたが故に生じた無理な進化いより故障を生じやすい事が判るのである。
    人間が予定調和的にエレガンスに進化してきたわけでは無いことがよく理解でき、それでも無理無理にも進化してきた不思議を感じるのである。

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    2010年11月24日
  • ニワトリ 愛を独り占めにした鳥

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    ニワトリってすごいんだね…
    ということはよく分かった。毎日のように食べている卵にもっと敬意を払わないといけませんね。食肉用と卵用と、そもそも違うニワトリだと知ったのは驚き。まるで工業製品のように扱われているニワトリの実態を知ると、ビーガンの主張の一部は理解できる気がしてしまう。
    そうは言いつつ、明日も目玉焼き作るんですけどね…
    途中から読むのに飽きがきてしまったのでこの評価。

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    2026年02月27日
  • 人探し

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    ラミダス、本当にこういうシステムできたら面白いと思う。というかもう存在してそう?母を殺し自分を陵辱した男を見つけるために作られたけど、人を助けるためにも使うことができるし。

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    2025年11月21日
  • 人探し

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    東大教授、遺体解剖学を専門にしている作者ならではの視点が良かった。
    ただ、ツッコミどころ満載です。
    WHO WHY HOW の伏線がないから、読み終えても、余韻が残らない。

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    2024年01月27日
  • 人体 失敗の進化史

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    生物の進化は思いどおりにはいかないが、設計変更のなか適合していく、その不思議。ヒトが類まれな脳容量を持つことで失う未来、それを覆す変化が必要。

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    2021年11月20日
  • 人体 失敗の進化史

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    人体や他の動植物の構造など、結構うまく出来ているという切り口の解説は多いように思うが、逆の、結構進化は行き当たりばったりで、良く適応出来た分、弊害もあって、実は失敗なんじゃないかという視点は新鮮で面白かったです。

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    2019年03月21日
  • 人体 失敗の進化史

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    解剖学の視点から、進化の歴史に迫る。たとえば人類の耳の骨は、爬虫類の顎の骨であり、魚類のえらである。この変異を作者は「失敗の進化史」と位置づけて、このパターンをたくさん提示する。なかなか面白いが、魚や爬虫類、鳥類の解剖写真が載っているので、食事前には読まないほうがよい。

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    2018年10月23日
  • 人体 失敗の進化史

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    進化=設計という設定が面白かった。必ずしも最初から完璧な設計になるわけもなく、少しずつ淘汰されマイナーチェンジしていくもの。その進化のスピードを人間社会の近代化のスピードが凌駕してしまっているゆえに、肩こり、脳卒中などの現代病があるんですね。

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    2019年03月20日
  • ニワトリ 愛を独り占めにした鳥

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    獣医師で東大教授でもある著者の、ニワトリへの愛がほとばしった一冊。なにはともあれ、著者の熱さがヒシヒシと伝わってきて、ニワトリ?そんなに興味ないけど?という私はタジタジとなる。でも、こういう「好きなものについて(特に専門家が)一生懸命語る」本って好きなんだなあ。

    これはニワトリ好きな夫が面白がって読んでいたので、貸してもらった。夫はずいぶん前からずっと常に何羽かの鶏を飼っている。チャボ・烏骨鶏・ボリスブラウン・白色レグホン・アローカナ…、まだあったように思うが忘れた。今は岡崎横斑というやつが四羽いる。世話はほとんど夫がしていて、私は卵をいただくだけだが、たまにじっと眺めたりすることもある。特に懐くわけでもなく(そこが気楽)、愛らしいとは言いがたいけど、生き物って見ていると飽きないものだ。

    飼ったりしてない大多数の人にとっても、卵や鶏肉の形でいたって身近な存在であるニワトリ。本書には、専門家ならではの「へぇ~そうだったの!」という事がいろいろ書かれていて楽しい。新書にしてはボリュームがあるので、さほど鶏に興味のない私はちょっと飽きちゃったけど、日頃そんなに本を読まない夫が熱心に読破していたから、ニワトリ好きにはかなり面白いようだ。そういう人がどれくらいいるのか知らないが。

    この東大のセンセイ、かなりユニークな方のようで、私はそこに興味津々。著者は、「ニワトリとニワトリを愛する人間」について「答えの出ない研究」を続けていると言い、続いてこう書いている。
    「二十一世紀初めの日本社会を雇用不安や低賃金や年間三万人の自殺者で味付けした行革狂いの政治家にとって、答えを出さない学問や答えを出さない大学教員など、真っ先に淘汰すべき対象だろう。だが、残念だが、学者も学問も、資本主義を勝ち負けと拝金でしか受容できない為政者ごときに、滅ぼされはしない」
    いい啖呵じゃないかと、溜飲が下がる思いであった。

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    2017年02月20日
  • パンダの死体はよみがえる

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    グールド「パンダの親指」を読んだものとしては、タイトルに惹かれる。で、本文でもちゃんとこの本に言及していて、この本に書かれていた事項を、自らの観察により修正し、新たな知見をもたらしている。
    なんか「おー、科学が進んでる!巨人の肩に乗ってる!」感があって、興奮しちゃうね。

    著者の筆は相変わらず冴えわたっていて、全編飽きさせない。

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    2015年12月21日