遠藤秀紀のレビュー一覧

  • 人体 失敗の進化史
     この著者の本は2冊目。『パンダの死体はよみがえる』(ちくま新書)と比較して、より読みやすくなってはいるが、著者の「熱さ」はなお温度を上げている印象。年間500体もの動物遺体を解剖する著者が、人間の体を俎上に載せたということで、迷わず購入。期待に違わぬおもしろさだった。
     人間は、もとからあるものを...続きを読む
  • 人体 失敗の進化史
    動物の遺体を解剖し、精細に調査することによって進化の歴史を解き明かして行きます。そして、進化の多くはエレガントなものではなく、行き当たりばったりでその場しのぎ的な設計変更であることを解説して行きます。

    進化、というと考古学なものを思い浮かべてしまい、どうしても化石の調査によるものと思ってしまいます...続きを読む
  • 人体 失敗の進化史
    動物の遺体解剖を通して、ヒトの身体の歴史をひも解くものです。身体の「設計図」という考え方を用いて、進化の過程を説明していきます。進化史の類が苦手な読者にもとっつきやすい内容になっています。
  • 人体 失敗の進化史
    遺体科学の本。
    ヒトの身体を中心に、進化という名の設計変更の例が数多く紹介されている。
    とても面白い。
    特にヒトの進化の失敗について書かれている章は衝撃だった。
    「失敗作」という言葉に対して反論出来ない。
    そうかもしれないな…と思ってしまう。

    でも、この本からはそんな失敗さえも愛おしむ著者の気持ち...続きを読む
  • ニワトリ 愛を独り占めにした鳥
    割と硬派な内容。ニワトリの起原から目的別の畜産の歴史など、そこそこ厚みの本でありながらさらに内容が凝縮している。
    人が家畜を作り出す動機に掲げた「心のエネルギー」論が興味深い。最初から卵や肉のみを求めて家畜化したわけではなく、多種多様なニーズによってアジアの小さな飛ばない鳥が世界中に広まりニワトリに...続きを読む
  • 人体 失敗の進化史
    遠藤秀紀の人体 失敗の進化史を読みました。

    生物学の研究成果をもとに、動物、ほ乳類そして人類の進化がどのように行われたのか、という解説書でした。
    生物が進化するときのメカニズムは、新たに機能を獲得するのではなく、あり合わせの材料を使ってつぎはぎだらけの機能として実現しているというのが面白いと思いま...続きを読む
  • 人体 失敗の進化史
    遺体の解剖から動物の進化の歴史を探るという、その名も『解剖学』。なかなか興味深い学問です。
    幾度となく迫られた『設計変更』=進化の系譜を解剖によって解明する。億年単位の生物の歴史を探究する壮大な学問です。

    池谷裕二さんが研究する脳について、『脳には機能の使い回しが見受けられる』というような内容があ...続きを読む
  • 人体 失敗の進化史
    生物の設計はいつも行き当たりばったりという話。カメにおへそがあるなんてびっくり!人間の親指や月経、鳥の羽根、興味深い話がいっぱい!高校生くらいの頃に読んでいたらこの学問へ進みたくなるかも。著者の語り口も面白いし、なにより動物への愛を感じる。
  • 人体 失敗の進化史
     「遺体科学」という耳慣れない学問を提唱されている方の科学啓蒙書……というかエッセイ。
     利益のためというか、遺体があるから、それを大切にし、そこから学べるものを得ようという姿勢が格好いい。

     個人的に、先生に食べられたサンマの主役っぷりが可愛らしい。
  • 人体 失敗の進化史
    [ 内容 ]
    地球史上最大の改造作は、どう生まれ、運命やいかに。
    「ぼろぼろの設計図」を読む。

    [ 目次 ]
    序章 主役はあなた自身
    第1章 身体の設計図
    第2章 設計変更の繰り返し
    第3章 前代未聞の改造品
    第4章 行き詰まった失敗作
    終章 知の宝庫

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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  • 人探し
    東大教授、遺体解剖学を専門にしている作者ならではの視点が良かった。
    ただ、ツッコミどころ満載です。
    WHO WHY HOW の伏線がないから、読み終えても、余韻が残らない。
  • 人体 失敗の進化史
    生物の進化は思いどおりにはいかないが、設計変更のなか適合していく、その不思議。ヒトが類まれな脳容量を持つことで失う未来、それを覆す変化が必要。
  • 人体 失敗の進化史
    人体や他の動植物の構造など、結構うまく出来ているという切り口の解説は多いように思うが、逆の、結構進化は行き当たりばったりで、良く適応出来た分、弊害もあって、実は失敗なんじゃないかという視点は新鮮で面白かったです。
  • 人体 失敗の進化史
    解剖学の視点から、進化の歴史に迫る。たとえば人類の耳の骨は、爬虫類の顎の骨であり、魚類のえらである。この変異を作者は「失敗の進化史」と位置づけて、このパターンをたくさん提示する。なかなか面白いが、魚や爬虫類、鳥類の解剖写真が載っているので、食事前には読まないほうがよい。
  • 人体 失敗の進化史
    進化=設計という設定が面白かった。必ずしも最初から完璧な設計になるわけもなく、少しずつ淘汰されマイナーチェンジしていくもの。その進化のスピードを人間社会の近代化のスピードが凌駕してしまっているゆえに、肩こり、脳卒中などの現代病があるんですね。
  • ニワトリ 愛を独り占めにした鳥
    獣医師で東大教授でもある著者の、ニワトリへの愛がほとばしった一冊。なにはともあれ、著者の熱さがヒシヒシと伝わってきて、ニワトリ?そんなに興味ないけど?という私はタジタジとなる。でも、こういう「好きなものについて(特に専門家が)一生懸命語る」本って好きなんだなあ。

    これはニワトリ好きな夫が面白がって...続きを読む
  • パンダの死体はよみがえる
    グールド「パンダの親指」を読んだものとしては、タイトルに惹かれる。で、本文でもちゃんとこの本に言及していて、この本に書かれていた事項を、自らの観察により修正し、新たな知見をもたらしている。
    なんか「おー、科学が進んでる!巨人の肩に乗ってる!」感があって、興奮しちゃうね。

    著者の筆は相変わらず冴えわ...続きを読む
  • 人体 失敗の進化史
    軽快な文章ですいすい読める。でも中身は濃厚。
    なるほど~っと唸る箇所はたくさんあるし、ミステリを読むような知的興奮も味わえる。

    でもまあ、生理の話は無理やりすぎるやろ~、と思う。
  • パンダの死体はよみがえる
    「遺体科学」という、聞きなれない科学について書かれた本。

    ゾウ、パンダ、モグラ、コウモリ… ありとあらゆる動物の遺体を調べてきたことに関するエッセイ。たまに専門的な話が入るが、基本的に難しい話ではないので読みやすい。

    何より、ゾウが息絶えた後に解剖を始め、目的の心臓まで達するのが数時間後になると...続きを読む
  • 人体 失敗の進化史
    「遺体科学」として様々な生物を解剖した経験などから、「白紙の設計図から作り直すのでなく、既にある構造を環境の変化に合わせて転用した」生物の進化史を描写する。二足歩行する「ヒト」まで。全体に文体は回りくどいが、内容はダイナミックで興味深い。終章は若干木に竹を継いだ感あり。筆者の主張ではあるのだろうが。