マーケティングは交換。
交換のためにSTPがある。
マーケティングの定義が示唆するように、顧客のニーズをよりよく満たし、提供物の交換価値を高めて取引を成立させ、より高いリターンを得るため。
事業部制組織における「意思決定」を促す→イノベーションとなる。
イノベーションは、新しい試みの結果、生み出されるものです。「新しい」ということは、誰もやったことがないということです。そのため、不確実性が伴います。ラディカルなイノベーションの場合には、不確実性も大きくなります。どんなに小さなイノベーションであっても、新しいわけですから不確実性があるのです。さらに、イノベーションを生み出すためには、ヒト・モノ・カネといった経営資源を動員しなくてはなりません。ここにイノベーションの難しさがあります。誰もやったことがないわけですから、事前に合理的にはイノベーションは判断できません。不確実性が高いのにもかかわらず、経営資源を動員しなくてはならないのです。
ここに企業家の大切な役割があります。不確実性が高く、リスクを伴う状況で、経営資源を動かしていくのです。企業家というと、新しい会社を興した創業者というイメージが強くあります。しかし、企業家の役割は、新しい会社を創るということばかりではありません。「業(ビジネス)」を「企てる」人が、企業家です。すでに大企業へと成長を遂げた企業でも、新しい事業の創造は持続的な組織の競争優位の構築にとって必須です。企業家の役割を、新しい企業を創るという点にのみ絞って考えてしまうと、この業を企てるという本質的なポイントが抜けてしまうのです。
経営史では、「企業家史」としてこの企業家に焦点を当ててきました。アンドリュー・カーネギーやアルフレッド・スローン、日本では渋沢栄一や岩崎弥太郎、松下幸之助、本田宗一郎などがどのように経営資源を動員し、イノベーションを起こしていったのかについての研究が多く蓄積されています。
また、前述のように組織においてどのような意思決定が積み重ねられていったのかも重要になります。企業家史では、どのように組織において経営資源が動員されていったのか(あるいはなぜ経営資源が動員されなかったのか)
を意思決定の積み重ねから読み解いていきます。