安田雪のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネットワークサイエンスについてあれこれ紹介してくれる本。
といっても総合的な解説というよりは著者のこれまでの研究とか思い出を中心に語る感じ。
文系の社会学の研究と理系のネットワークとの予算や機器の違いなんかは「まあそうだろうなー」という感じで文系の研究費の低さを改めて実感。
繋がりの中でも、二つのコミュニティを橋渡しするような人がネットワークにおいては重要なのは納得。
有名な6次の繋がりについても色々な条件での実験や説が載ってて面白い。
仕事に活かすところでいうと、
・仕事のメールは「即レス・短レス・頻繁に」。社内のネットワークで中心的な位置を占める。
・重すぎる関わりにはまり込むな、冗長な関係に埋もれるな。むしろ、今存在しない関係の空隙を見つけ、関係を橋渡しする位置を占めよ。
・SNSのターゲティング広告とんちんかんなの多い。人は同質的なつながりだけでなく、一番繋がっていたい集団は異性、ちょっと年上や年下など。
・「入りを制す」自分に入ってくる関係の認知と活用。
出る方は自分でコントロールできる。大事。
あとはネットワークサイエンスにはあんまり関係ないけど、後書きが面白かった。著者の今までとこれからとが語られていた。
その中で興味深かったのが「時間の先に夢を見るか、空間の先に夢を見るか」という話。
今の人・場所との時間の先に何かを求めるタイプの人と、人・場所をどんどん先にいって何かを求める人。
農耕民族は前者で開拓者は後者。
自分がどちらかのタイプか分かっておくといいよと。
自分は空間の先に夢を見るタイプかなぁ。
世界は広いし、今の周囲の環境なんていうのは偶然で出会ったごく狭い人・場所なんだから、それが全てだと思って固執するよりどんどん新しいところへ行ってみればいいじゃん、って思う。
「自分にはこれしかない」「この人しかいない」っていうのは初期条件だけでいうとありえないんじゃないかと感じてしまう。
それが「これしかない」というのは、運命じゃなくて費やしてきた時間や執着の結果ではないのではないか。限られたネットワークの中での最的化みたいな。
もちろんその執着の結果なにかを成し遂げて幸せになることだってたくさんたくさんあると思うのでそれでもいいと思う。
でもそんなネットワークの中だけじゃなくて、どんどん飛び出せばいいじゃん!となってしまう自分は間違いなく時間ではなく空間派でした。
小さい頃から転出入が激しかったから、出会いなんて偶然たまたま近くだっただけだろという思いが身体に染みついてるのかな?
もちろんこんなに広い世界で偶然出会えたこの関係を大切にしたい、というのはあると思う。
前々回のシュタゲの日記とちょっと関連するけど、「ありえたかも知れないいくつもの可能性」に想いを馳せ、その分だけよりいっそう今を大切にするってこと。
でもその今だけに固執して他が見えなくなるのは勿体無いかなあと。
昨日『思想地図』東浩紀×宇野常寛トークショー -インタビュー:CINRA.NETを読んでそこに
『たとえば舞城王太郎の『九十九十九』に「だから僕は、この一瞬を永遠のものにしてみせる」ってフレーズがありますよね。しかし、95年以降は誰もがループの果ての一回性を愛するかのごとく、「この一瞬を永遠のものに」するべく物語回帰していったわけです。ゼロ年代に問われていたのはむしろ「誰もが九十九十九になった世界」「誰もが物語回帰を決断した世界」がどうなるか、じゃないでしょうか。』
という発言があって、この偶然を愛しすぎてしまうことの弊害とかどうなのと思っていた自分にはほーほーときたわけで。
僕たちは可能性は無限だけど、ゲームや物語のように無限のループするわけじゃない。逆にゲームや物語よりもはるか無限に近く世界は広い。
だからこの一回性を愛するのもいいけど、もっと広いところにどんどん出てみようぜ!ってことが言いたかったみたいな。
もちろん世界の全ての人や場所や仕事を経験できる時間は僕たちにはないから、ある程度のところでその中で決める必要は出てくる。
そのときになって初めて一瞬を永遠のものにして、広い世界の偶然の中からこれを選んだという覚悟を持てばいいんじゃないかなあ。
つまり、
若いうちから「これだけ!」と決めつけないで、世界は広いんだから色々やってみなよ!会ってみなよ!そのうちに本当に大切にしたいものが分かってくるから!
みたいなありがちな意見が言いたかっただけなんですけどね!w
ただもちろんひとつひとつをおろそかにするわけではなく、もちろんある程度大切にはするけど!
というわけでした。
ネットワークサイエンスからはだいぶ脱線したけど、無理やりまとめて繋げると、ネットワークのハブを伝って広いネットワークを構築してみろ!ってことかな?w -
Posted by ブクログ
ネットワークサイエンスという学問をご存じであろうか。9・11以降米国では、犯罪捜査と軍事関係の仕事をするネットワーク研究者が膨大に増えているという。
ただネットワークサイエンスが身近なものでないかと言えば全くそういうことではない。本書を読めばいかに日々ネットワークサイエンスの分析対象の中で生きているかがわかり、いかにそれが「魅力」的でありかつ「怖い」ものであるということを実感するだろう。ネットワークサイエンスとは抽象的に言えば、多様な関係の型を分析してその特徴を理解し、関係そのものの連鎖、拡散や成長、そしてその上に流れる情報、金、質の変異などを明らかにしようとする学問の分野である。本書で出てくる具体的な例として、恋人、SNS、新型インフルエンザのつながり、対ゲリラ戦略などと多岐にわたっている。「カレシの元カノのカレシを知っていますか」という広告作品ついてはまるまる一章分書かれており、筆者はこの広告を見た瞬間「自分は何かをしなければならない」という本能的な衝撃が走ったという。このお題自体非常に興味深い事ではあるのだが、このようにネットワークサイエンスに対する筆者の使命感というものが本書を読んでいると強く伝わってくる。最後まで一気に読み通させてしまうほどの力強い筆致も魅力的だ。 -
Posted by ブクログ
さまざまな問題を「ネットワーク」の視点から考察していく、ネットワーク研究の本。6degreeの話や、実際の社会実験の話など、身近で非常に面白く読めました。自分から出ていくネットワークだけでなく、自分へ入ってくるネットワークにも目を配り、人間関係を俯瞰的に見るべしというのはそのとおりだと思った。
「およそ上司たるものは、人間関係に鋭敏でなければならない。人間関係オンチな上司を持つと部下が苦労する。」「すきまを埋めるように、人間関係に橋をかけると徳だ(構造的空隙理論)」「旅先で一人、未知の人々のあいだを通り過ぎていく感覚は快感ではあるが、ある程度の深みを持った安定的な他社との関係は、安心感につながるし、かけがえがない。」
それにしても、あとがきの生々しさがすごすぎて「何が起きた!?」と思わざるを得ないな。 -
Posted by ブクログ
ネットワークサイエンスという言葉は初めて知ったけれども、身近なところに対象となる事象がたくさんあって興味を持てた。弱い紐帯の重要性やスモールワールドの話は聞いたことがあったが、シミュレーションを通じて広がり方、関係性を解析していくのは面白い。目に見えない人と人との関係性だけれども、そこには無数に張り巡らされたネットワークがあって、その太さや長さもきっと異なっている中でお互いに影響しあっているのが人間社会なのだと思う。自分が他者に向けて出す関係は制御できるけれども、他者から自分に向けられてくる関係をどこまで認知、制御、活用できるか?という言葉が印象的だった。今後フェイスブックなどでネット上でリアルな人間関係が可視化されるようになっていくと、また面白いのかもしれない。
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Posted by ブクログ
最近は、ネットワークと聞くとWebに関連する話を想起するが、子供時代、一般回線の電話しか通信手段がない時代から、「人間関係」というネットワークについては常に身近で、興味の最もたる対象であったなぁと、この本を読んでつくづく思った。
巻末の夢を空間の向こう側に見るか、時間の向こう側に見るかという言葉は印象的だった。
若かりし頃は、常に空間の向こう側に夢を描いて行動を繰り返していたが、最近年をとると共に、時間の向こう側に思いを巡らせることが増えてきた気がする。
どちらが良い、悪いとは思わないが、ネットワークの向こう側に、空間の向こう側にアクティブに行動することをわすれてはいかんかなと思いなおす良いきっかけになった一冊でした。 -
Posted by ブクログ
少年ジャンプが大好きなので、こういうタイトルの書籍に弱いです。気付くと手に取っている…。
発売は2011年、頂上戦争が終わって魚人島に入った『ONE PIECE』の一つの大きな盛り上がりのタイミングです。
社会学者が真面目にルフィの人気を考察してみたという内容でした。実生活に活かすには流石に物足りないかな…。
『ONE PIECE』の詳細な解説が随所にあって、読みながら「本書を手に取る人にこれは必要だろうか?」と思ってましたが、漫画の内容を事細かに覚えてる人はあまりいないだろうし、場面場面の臨場感を感じながら考察を聞いていくのは重要なのかもしれません。
タイトル「仲間力」という言葉をフワフワした状態で最初から最後まで使っているのですが、これは社会学の用語なのでしょうか?少年漫画中に出てくる言葉なら違和感はないのですが…。
売れた理由を語ってると思ったら、仲間のバランスが非常に優れてると言い出したり、読者の視点と売り手の視点が混ざって書かれているので困惑します。
ライトな文体のため、それっぽいことを言ってる本という印象なのですが、ゲーム理論のしっぺ返し戦略など多くの方に知っておいてほしいことも書いてあります。ライトさ故に他人に薦めやすいかもしれません。
以下に、個人的に身近な人に伝えたい箇所を抜き出しておきます。
「目の前にいる人との可能性を最大限に探る」
「敵か味方というラベルを必要以上に長く貼り続けない方がいい」
「信頼している人が信頼している人は、信用した方がよい」
夢を共有するのが仲間だ!(ドン!!) -
Posted by ブクログ
学際的な分野であるネットワーク・サイエンスを社会学の立場から概観している。著者の思い入れが随所に出てきて、発展途上の学問分野のもやもやしながらも期待感を秘めた雰囲気を伝える(やや思い入れが前面に出すぎかも)。
著者が社会学に足場を置いているだけあって、社会心理学との近しさは感じる。登場する研究者には、ゼミ時代に勉強した部分と重複のあるなしはパッとは分からなかったが。
面白かった点
・メールは「即レス、短レス、頻繁に」
・構造的空隙理論(バート)拘束度の高い関係に埋もれず今存在しない人間関係に橋をかけろ
・スケールフリーという紐帯の性質、一部のハブにつながりが集中する
・感染症などつながりを絶ちたい場合も
・虐殺器官にあったケヴィン・ベーコンゲームの出典
・6次の隔たりの原典はミルグラム1967の米国内での研究、過大推定とも過小推定とも言われる。伝言が届かないパターンを評価できていないとすれば過小では? -
Posted by ブクログ
ネタバレ【内容】 仲間の存在は、生きるうえで欠かせないものです。仲間がいるからこそ、どんな逆境であっても頑張ったり、一緒に喜びを分かちあったりできます。誰もが持っている「かけがえのない仲間が欲しい」という欲求が、ワンピースをモンスターマンガに押し上げたのだと私は信じています。本書は、ルフィのように仲間を集め、絆を深め、その仲間たちと大きな夢をかなえる方法を突き詰めたものです。
ゾロやウソップたちがルフィのために体を投げ出すのはなぜか……。心に傷を負っていたナミやロビンが、ルフィに心をひらいたのはなぜか……。麦わらの一味は、何と闘っているのか……。
私たちが日常の世界を生きる知恵として、ワンピースに描かれた知恵を形にすることが本書の目的です。(「はじめに」より)
【感想】 約2年ぶりに再読。以前はワンピースを全く読んでない状況で読んだが、今回はワンピースを全て読んだ状態で再読。やはり、「ワンピース」という人気漫画の世界を、「社会ネットワーク分析」の専門家(大学教授)が解釈して、分析・執筆したというのは面白い。
本書では「仲間とは、1人では到底かなえられないような夢を共有する人たち」(P9)とされている。そして、仲間を「集め」「助け合い」「信頼を強化し」「一緒に成長していく」という4章構成で、書かれている。
書かれている内容は、一般的だがワンピースの世界観・ネットワーク分析をとおして、仲間の意義(仲間力)について論じているのは、読者の幅も広がりおもしろい試みだと思う。シンプルな内容ではあるが、ルフィ達の言葉を多数引用しており、かなり感動するフレーズに、自分が感化されるのを感じる。
自分にできないことは、仲間を信じる。託して任せる。自分は、自分にできることをする。仲間のために、自分を信じて。ということだ。ワンピースをとおして、仲間について改めて考える良いきっかけになる1冊である。
・ルフィから学べること。①自ら旗を揚げること。②わかりやすい旗を揚げること。③一度揚げた旗は決して下ろさないこと。(P70)
・強いチームを作るために必要な三つのこと。①共通目的、②コミュニケーション、③貢献意欲。(P109)
・バランスのいい仲間関係は、1人ひとりの能力の足し算以上の力を発揮。(P158)