森炎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ[ 内容 ]
毎年30万人超、約28年で20歳以上の日本国民全員が、その候補になるという裁判員制度。
もし裁判員に選ばれてしまったら、我々は法廷で何をすればいいのか?
凶悪重大事件をどう裁けばいいのか?
そんな裁く不安を解消するために必要なのは、理念や題目などの抽象論ではなく、具体的な方法論だ。
「最も注意すべきは初公判開始後30分」、「標準的殺人事件の懲役は13~14年」、「死刑が確実なのは、3人以上殺害した場合だけ」など、今まで語られることのなかった具体的な『裁く技術』を、元裁判官の森炎弁護士がわかりやすく明示する。
[ 目次 ]
序章 裁判員はどれだけ大変?
第1章 裁判の流れをつかむ -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
ほぼすべての国民が裁判員となって人を裁く可能性をもつ裁判員制度。
この制度の下、市民裁判員は、「強盗殺人」「放火殺人」「誘拐」など、極刑も想定される罪を裁くことになる。
「市民感覚」「白紙状態」…そんな姿勢で臨んだ法廷で、彼らを待っているのは、「人を裁けるのか」という大きな苦悩だろう。
いかに人を裁くべきか?
その指針、そして大原則となるのが「刑法」である。
実例を豊富にまじえた、あまりにもわかりやすい、裁判員制度時代の刑法入門書。
[ 目次 ]
序章 裁判員にとって必要な条文はこれだけ
第1章 「罪と罰」―「罪」の世界
第2章 正当防衛と緊急避難―許された殺人、許された傷害
-
Posted by ブクログ
国際的には死刑廃止国は90以上、準廃止国(死刑執行停止中や軍事法廷での特別なケースのみ実施)を含めると140ヶ国にものぼる。
こうした単純な統計比較や死刑は残酷だとかの感情論、人が人を裁くのは間違っているなどのべき論に安易に流されるべきではありません。やはり、自分の頭で考え抜いて自分なりの決論を出すべきです。
本書は、被害感情の問題、被殺者の数の問題、更生問題を論じ、死刑判断(被害者の復讐原理、犯罪者の悪性原理、社会の安全原理)にも触れています。
そうした考察の上で、筆者の立場は死刑存置となっており、その背景には「死刑が廃止された社会では、自分が殺されるのは絶対嫌だが、自分が他人を殺すのは構わ -
Posted by ブクログ
死刑の賛否について、多角的な視野から真摯に検討されている。著者は元裁判官であるが、これほど真剣に死刑について考えている裁判官がどれくらいいるか。
もっとも、著者は、結局のところ、死刑賛成の根拠にも穴のあることを認めつつ、死刑制度には生命尊重の規範確立という重大な機能があるとする。これは実に巧みで、死刑制度は凶悪事件の抑止になっていないという統計的事実とは無関係に、生命尊重の規範から死刑制度の正当化を図れる。しかし、死刑は国家が市民を結局のところ殺すのであるから、この世には生命を尊重されない者もいる、という生命尊重の規範への逆効果にもなるはずである。
著者は持論である裁判所の権力志向への懐 -
Posted by ブクログ
■永山基準
①犯行の罪質
②動機
③態様,ことに殺害の執拗性・残虐性
④結果の重大性,ことに殺害された被害者の数
⑤遺族の被害感情
⑥社会的影響
⑦犯人の年齢
⑧前科
⑨犯行後の情状
■死刑の基準の裏にある二つの基本的観点。
①「(殺人の)抜きがたい犯罪傾向」の有無
・なぜ前科の存在が死刑に結び付くかと言えば二度目であることで「抜きがたい犯罪傾向」ありと見極められるため
・二人殺害でも機会の同一性を満たす「同時型」であれば「抜きがたい犯罪傾向」が認められないということがある
・機会の同一性を満たさない「連続型」(巷間言われるところの連続殺人)の場合「抜きがたい犯罪傾向」と直結
・想定されている -
Posted by ブクログ
罪を犯した/全く覚えがない、いずれの場合も容疑者として逮捕されてから先は絶望的であると感じた。
とにかく嫌疑を晴らすのは難しい。自白の強要や捏造を平気で行う警察や検察、裁く立場にある裁判官の生活感覚の欠如、被告席に立つ人間を見ずに事件だけを淡々と見ているにすぎない法廷の人々のなんとうすら寒いことか。ほんのひとつの事柄だけで死刑と無期の分かれ道になることなど、想像もできない。
そして今もなお冤罪にもかかわらず死刑囚として収監されている人々がいる事実。
職業裁判官ですらほとんど思考が停止している現状から考えると、裁判員制度は本当に大丈夫なんだろうか?と思わざるを得ない。