植草甚一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
先週は出張で、今週は当直が2晩もあったものだから、今日は朝から休息日に当てることに決めて、だらだらとだらだらを楽しんでいる。こんなときには未読の本でも紐解いてみようと見ようと思うが、結局面倒くさくて眺めるだけでおわってしまった。
しかしストレス溜まっているナ。何もしないことが出来なくなっている。なにかをしていないと落ち着かなくなっている。Type A personalityの典型的うつ病邁進パターンだ。かといってやる気もあまり無いものだから簡単なネットなどしかできない。今週のようなスケジュールだと、週末金曜日になると胸が痛くなってくる。
ペースをもっともっと緩める必要があるナ。というか今の緊張をほぐすことが必要だ。こんなときにマリファナなど吸うと効果的なわけでが、ここは日本なので、午後からワインでも買いにいって、酒デリックにしよう。
気分だけでも味わうために、植草甚一の「カトマンズでLSDを一服」を読む。植草さんが70年代の初頭、アメリカで起こっていたサイケデリック革命を軽やかな筆致で書き留めてゆくのが心地よい。アメリカの雑誌などから拾い読んだ記事から、その熱気を敏感に感じ取り紹介してゆくそのスタイルは、カルチャージャミングの元祖としてみても面白い。
40年経った今から眺めてみても、驚くほど詳細なそのシーンの現状が語られていて、その後日本の様々な現場で流布されていったサイケデリックなフォークロアも、植草さんのスクラップブックがオリジンではないかと思わせるもの多数。
アンドルー・ワイルド、ティモシー・リアリー、オルダス・ハックスレー、チャールズ・タート、エリアーデ、カスタネダ、ヒッピー、イッピー、ヒップ、スクエア、LSD、マリファナ、スピードボール、ヘイト・アシュベリー盛衰記。植草さんはティモシーリアリーのハチャメチャさがお気に入りだ。やはりセンスがいい。
『若い人たちにリアリー支持者が多い。サイキデリックという最近の流行語は<心のなかの意識を明けっぴろげ、自由にし、拡大する>という意味になるが、サイキデリックスという複数になると、LSD、メスカリン、プシロシビンといった幻覚剤の総称になる。LSD1オンスから二万八千四百人分ができるというが、最近はグリニッジ・ビリッジあたりで角砂糖に浸み込ませたものを、一個五ドル見当で売っているそうだ。無色、無臭で、一回の服用で10時間から12時間というものサイケデリックな世界の中に入りこめる。これを「トリップ」(旅行する)といい、LSDにイカれた者を「アシッド・ヘッド」(酸性の頭)と呼んだりする。
サイキデリックの特色は幻覚状態における色彩の世界が、きわめて超現実的な美しさであって、恐怖感が入りこんだりするが、この特色を利用してサイケデリック・ショーというのがロックミュージックと結びつき、ニューヨーク、シカゴから最近はサンフランシスコに演奏の中心地が移った。日本でもレコードが発売されだしたが、このシスコサウンドという新しいロック・ミュージックは面白い。今まではエレキがかんだかい音を出すだけで、騒ぎまくり、非音楽的だったが、インド音楽の施法が入りこんできたし、ずっと音楽的になっている。これをサイキデリック・サウンドと呼ぶようにもなった。
ところでティモシーリアリーというのは、どんな男なんだろう。この名前はすでに知られているが、ペーパーバッグの「LSD物語」に経歴が詳しく出ているので、簡単に書き留めておこう。』
(LSDの古典的文献となったハックスリーのメスカリン反応記録を読む.p.80.1967)
これが67年だからいかに早かったかがわかるだろう。この頃の日本のスノッブはジャズを聴いていた。もちろん植草さんもジャズ評論の第一人者だから当然だけれども、同時にサイケデリック・ロックの洗礼も受けていた。植草さんは海外のレヴューや雑誌記事を引用して、あくまでもミーハーな新しい物好きのスタンスでサイケデリック体験を日本に伝えたが、いやいやどうして、彼のドローイングを見れば一目瞭然だ。
その時代どんなアンダーグラウンドなコミュニティーが存在していたのだろう。 -
Posted by ブクログ
#昌文社 #植草甚一 ぼくの読書法
ポップカルチャーを中心とした読書遍歴エッセイ。突出感が半端ない
毎月500冊の本を、古本屋を歩きまわり 手にとってから 買っている。雑然とした本売場で 無名の良書を見つけるのは難しいと思うが、本表紙と作家の面構えで選んでいるらしい
思いついたまま展開される文体は、ポップカルチャーの自由さや明るさがある。他人の書評にページをさくことなく自分の所見だけを書く。清々しい個人主義という感じ
*ルトワック「クーデター入門」
*コスモポリタン誌 アーネストハーヴェマン「汚染空気」
*トマスロジャーズ 「幸せを求めて」
は 読んでみたいが、ネットを使わずに出会うのは 奇跡に近い
引越しの際に大型トラック2台とワゴン14台分の本を運んだだけあって、仕事場の本の積み上がりは 圧巻。幼少期に関東大震災を経験しているのに 天井に届くまで積み上がった本は 怖くないのか?
銀座のイエナ洋書店 は行ってみたかった
-
Posted by ブクログ
#昌文社 #植草甚一 自伝
日本橋小網町で過ごした幼少期の記録。流行を常に探し続けている感じ
「最初は商人の息子という題にしよう」
「こうしてぼくは嘘つきになった」
「こうしてぼくは与太者にされた」
「こんどいいものを見せるよとニューヨークで約束したんだ」
「それでも自分が見つかった」など
章タイトルが秀逸
洋書の古本や散歩の話が多く出てくるのは 想像できるが、関東大震災や姉のことを語るのは 新鮮。MJBコーヒーと ブドウ餅は 今もあるのか?
「下町育ちの人間が社会情勢に影響されて暗い気持ちになっていく〜関東大震災の影響を受けて〜こづかいがない。だからケチ臭い人間になっていく」
-
Posted by ブクログ
あまりに自分の知らないことの連続で、最初から最後まで圧倒されてしまった。
だいぶ前に書かれた作品だけれど、内容は現代にも通ずるものばかりで驚いた。
麻薬、人種差別、格差社会、LGBTQ...等々。
難しいけれどおもしろい。
小説から話題を引いてくるものもあれば、雑誌からということも多くて、いかに今の現状を言葉にして発するか、ということに力を入れていて、1940〜60年にかけて、海外メディアが日本よりもだいぶ先を歩んでいる気がした。
まだまだ知らないことが多すぎて途方に暮れてしまう。
植草さんは“雑学”なんて言ってしまっているけれど、あって困るものなんてないのだなぁと反省と、これから先どうしようかという気持ちと。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ欧米文学評論家、植草甚一さんによる海外ミステリー書評集。文庫版にして600ページ近い圧倒的なボリュームに加え、巻末には作者名・作品名が併記された索引もついてます。
調べてみたら、この本のオリジナルは1972年出版だったようで、つまりこの本で紹介されている海外文学も必然的にそれより少し前の時代、1950年から1960年代の作品ということになるわけです。
この本で紹介されている作品は、当時はほとんどが翻訳されていなかったようですが、今はだいぶ翻訳が出ているようです。この本を参考に買ってみた文庫サイズのミステリーもいくつかあります。
なにぶんにも読みごたえのありすぎるブックガイドなので、一気に読み切って参考にするというより、折を見てどこかのページを開き、面白そうな作品を掘り起こす、という使い方をするのがいいのかなーと思います。 -
Posted by ブクログ
49歳になってから初めてモダンジャズを好きになってのめり込んだっていうのが先ず驚きだし、とってもいいことだなって思った。
いくつになっても新しい趣味にのめり込んでも良いんだって感じです。
それでまた、そののめり込み方が半端じゃない。半年の間に600時間もレコードを聴いたっていうんだから半端じゃない。
そこまでさせてしまうようなモダンジャズの魅力とは?或いは楽しみ方とは?をとてつもない愛でもって語りかけてくれるので絶対に読んだ人はモダンジャズが聴きたくなる。
僕も更にモダンジャズが好きになったし、以前より、その深みが耳で感じとれるようになったと思う。 -
Posted by ブクログ
J・J植草甚一のエッセイ、特にこのスクラップブックシリーズは凄く好きで読んでいるとワクワクして、古本屋巡りして古本ハンティングしたり、jazzを聴きに行ったり、映画を観たり、その感想や詳細を記録したスクラップブックを作ったり、そんな非生産的なことに没頭したくなるのだけど、それはJ・J自身がそんな非生産的文化的生活をめちゃくちゃ楽しんでいるから。
彼の人生というか生活それ自体が趣味を集めたスクラップブック的で、そんな彼のエッセイを集めたこの本も、そんな楽しみに満ちていて、金が無くても自分の心持ち次第でいくらでも楽しめるんだぜ、人生は。ってのを教えてくれている気がする。
さてさて、この本、片手に神保町に繰り出してやろうか。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
[ 目次 ]
1 植草甚一自伝(最初は商人の息子という題にしよう;小網町の電信柱に大坂甚兵衛はも料理とかいてあった;こうしてぼくは嘘つきになった;下町の不良少女と小学校のきれいな先生;こうしてぼくは与太者にされた ほか)
2 それでも自分が見つかった
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
ちくま文庫 植草甚一 「 いつも夢中になったり飽きてしまったり 」
洋書、ジャズ、映画のコラム。コラムは 短く編集されいる?読みやすいかもしれないが、雑然さが魅力の一つなだけに残念
洋書と映画についての著者のアプローチ方法は 宝探しに近い。広告にまみれた一般市場では見えないアングラな世界で、無名の良品を探しているように読める。ジャズについては、最初から一流に接している
「英語は全部平仮名みたいなもん〜意味が通じればいい〜それを繰り返しやっていると読むのが速くなる」
「見当つかないけど面白そうな安い本は、買ってしまっておくのがいい」は、本棚のスペースを考えると共感しにくいが、この考えが雑然とした面白さを生むのだと思った。たしかに 本棚が整理された人のエッセイは読む気にならない
ジャコテの詩集?は読んでみたい「自分のことばかり考えていると不透明な状態になるのが人生だ。自分のことなんか忘れた瞬間に、不透明な空はみんな透明になって〜自分の重みをまったく感じなくなるものだ」
最近興味を持った問題から、頭の中につめこんで、話す材料を余計にインプットした上で、講演に向かう著者の姿勢は興味深い